複合・新機能材料
従来の1/20以下の焼入れ時間で高強度化を果たす連続高周波焼入れ技術
佐賀県
株式会社YSK
2020年3月21日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 高周波加熱によるシャフトの高強度化熱処理法の開発 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、産業機械、半導体、工作機械、印刷・情報記録 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、低コスト化 |
キーワード | GRシャフト・YSK、YSK微細化シャフト |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成21年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
工作機械用シャフトではその高耐摩耗・高強度化とともに、加工熱処理時間の短縮と省エネ化が求められている。本研究では、組織制御による高強度化・高耐摩耗化を高周波を使った短時間熱処理で達成するシステムを開発する。このシステムは局所加熱・冷却により応力集中部を集中的に高強度化することも可能であるため、従来法に比べ、より複雑な工作機械・建設機械用大型シャフトにも適用可能である
開発した技術のポイント
連続高周波焼入れにより、シャフトを構成する結晶粒を微細化
・丸シャフトの微細化⇒粒径:20ミクロン→10ミクロン以下
・細微化時間の短縮⇒150分→20分
・旧オーステナイト粒子20μm→10μm
(新技術)
・従来の50%の高強度化
・耐久性向上が実現
具体的な成果
・連続高周波焼入れ技術により、1/20以下の微細化時間の短縮を実現
‐φ20mm及びφ30mm丸シャフトの連続高周波焼入れ技術を開発
‐従来のコイルを使用した熱処理条件の変化で組織の微細化に成功
‐特殊コイルを使用することで微細化と1/20以下の微細化時間の短縮を実現
・焼入れ装置を高度化
‐焼入れ装置を高度化する開発を実施
‐熱処理性能をUPさせるように、特殊コイルを用いて空冷領域、冷却水の設定、コイル本体と鋼材との位置関係を見出し、機能向上に取り組んでいる
‐高周波加熱における制御システムの基礎データーベース化を行うことで、各種微細化に必要な条件選択を確立
・焼入れ条件により、細微化が進行、強度が増加
‐特殊コイルによる焼入れで、従来よりも微細化され、強度が増加
‐組織評価の結果、従来のコイルを用いても熱処理条件の選択で微細化が進行することが判明
‐疲労強度を測定した結果、特殊コイルと熱処理条件の融合で強度増加に成功
知財出願や広報活動等の状況
・特許:「加熱処理方法及び加熱処理装置」(特願2010-130998)
論文:TakashiHonda,et.al,「microstructualEvaluationof13Cr-2Ni-2mOStainlesssteelquenchbyInductionheating」(Adv.mat.Res.,457-458,525-530.H24.1)、EdsonCostaSantos,et.al,「FatiguestrengthimprovementofAISIE52100bearingsteelbyinductionheatingandrepeatedquenching」(mat.Sci,H24)
・出展:第13回SHANGHAIINT'LmACHINETOOLFAIR2011、第14回関西機械要素技術展
研究開発成果の利用シーン
・金属の板をロール同士の間に挟み圧延させる機械に用いられる、圧延ロールの耐摩耗性、高強度を実現(従来より2倍の寿命)
・スライドシャフトの耐久性向上
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・H24年度の実用化に向け、補完研究を継続
・製造ライン用コンベアに用いられるローラでサンプル品を製作(有償)
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、製品製造
製品・サービスのPRポイント
・低コスト化:熱処理時間を従来比1/10以下まで削減
・強度向上:同材質で5倍の耐摩耗、強度を持つ
今後の実用化・事業化の見通し
H24年度のサンプル品提供を目指す
・強度・耐摩耗性のデータ取得を中心に補完研究を継続中。時間を要するので短期間で評価できる改善策を実施する予定
・現在の試作品をもとに、実用評価を頂き、H24年度には圧延ロールメーカー、耐摩耗性が必要であるメーカーをターゲットにサンプル品を提供予定
実用化・事業化にあたっての課題
微細化した組織の証明書の発行と、高周波では微細化した組織を見つけるには時間がかかる
事業化に向けた提携や連携の希望
直動メーカーと、ボールねじの微細化に共同で取組んでいる
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社YSK 九州工場 |
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事業管理機関 | 公益財団法人佐賀県地域産業支援センター |
研究等実施機関 | 国立大学法人九州大学 工学研究院 木田 勝之 准教授 |
アドバイザー | 滋賀県立大学 田邊 裕貴 准教授 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社YSK(法人番号:7122001020685) |
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事業内容 | リニアシャフトの製造・販売、他スピンドル軸、台形ネジ、リニアブッシュ等 |
社員数 | 171 名 |
生産拠点 | 九州工場、福島工場、大阪本社、タイ工場 |
本社所在地 | 〒849-4166 佐賀県西松浦郡有田町北ノ川内乙3103-6 |
ホームページ | http://www.shaft.co.jp |
連絡先窓口 | 生産技術課課長渋川卓矢 |
メールアドレス | t-shibukawa@shaft.co.jp |
電話番号 | 0955-46-5115 |
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