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複合・新機能材料

アスベスト含有建築用仕上塗材を安全に完全に除去できる剥離剤の開発

愛知県

三協化学株式会社

2023年2月4日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 建築物におけるアスベスト含有仕上塗材を安全かつ完全に除去できる革新的剥離工法の開発
基盤技術分野 複合・新機能材料
対象となる産業分野 建築物・構造物、化学品製造
産業分野でのニーズ対応 高性能化(信頼性・安全性向上)、環境配慮、低コスト化
キーワード アスベスト、剥離剤、建築用仕上塗材、外壁塗装、湿潤化
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

建築用仕上塗材には古くからアスベストが含有されており、建物を解体、改修する際には、安全に除去することが近年義務付けられ、安全な除去工法として、剥離剤工法が認定された。一方、従来の剥離剤は、仕上塗材によっては完全に除去できない、外的環境により性能が低下するなどの問題がある。本研究開発では、1回の施工でどの仕上塗材でも完全に除去できる剥離工法の開発と剥離剤の除去性能を評価する試験方法を確立をする。

アスベストが含有されている建築物の外壁塗装
建築用仕上塗材の例
開発した技術のポイント

・従来技術より剥離性能が高く、安定性の高い剥離剤の設計に成功した。
・剥離性能及びアスベスト除去率の有効な評価方法を確立した。
・品質安定性の高い生産プロセスを確立した。本生産プロセスにより、製造時間を約55%短縮し、全体の製造コストを約45%削減することに成功した。

具体的な成果

・剥離性能の向上
‐樹脂系仕上塗材の除去率100%となるマルチ対応型剥離剤を設計
・評価方法の確立
‐ラボ試験において有効な剥離性能評価方法を確立
‐ラボ試験と実現場では、剥離剤の剥離性に関して同様の傾向を示すことを確認
‐アスベストの残存量評価において、模擬繊維としてセピオライトを使用できることが明確化
・生産プロセスの確立
‐原料の調整方法、撹拌方法、増粘方法等を検討し、製造時間を約55%短縮することに成功
‐週当たりの生産可能バッチ数が向上し、製造コストを約45%削減
‐液温管理を行い、均一かつ安定性の高い剥離剤を製造する生産プロセスを確立

剥離剤塗布作業の様子
剥離作業中の様子
セピオライトによるアスベスト残存量評価試験
研究開発成果の利用シーン

・年々増加する建築物の解体・改修工事の現場での需要が見込める。
・海外でもアスベスト問題が深刻化しており、海外での需要が見込める。
・橋や鉄塔などの土木鋼構造物や、航空機、船舶、塗装治具など、他用途、他業界へ応用が可能。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

開発した剥離剤は実現場においてサンプル評価を繰り返し、川下企業から好評を得て、製品化を行った。
全国各地の建築物の改修・解体現場で採用されており、事業化に成功。

リペアソルブN-3として製品化
提携可能な製品・サービス内容

製品製造、共同研究・共同開発、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

・人体や環境への負荷が少ない溶剤を選定している。
・従来品より、高い剥離性能を発揮。樹脂系仕上塗材の除去率100%。
・開発した剥離剤を使用することで、仕上塗材の除去時における粉じん量を減少させることができる。

今後の実用化・事業化の見通し

・WEBサイトや業界紙、展示会等を活用して開発品のPRを行うとともに、1,000社以上の既に取引のある川下企業や販売店を通じて製品を拡販予定。
・アスベスト問題は海外でも深刻化しているため、現地販売店を活用した市場調査を行い、海外の展示会への出展やWEBサイトを通じて海外市場への展開も視野に入れる。

実用化・事業化にあたっての課題

・セメント系仕上塗材に対しては、溶剤が単純には塗膜に浸透しないことを確認。仕上塗材の構成によっては、剥離できることを確認しているため、引き続き検証を行う予定。
・塗装の塗り替え回数や劣化状況、施工時の温度環境により剥離剤が最下層まで浸透しない場合が確認されている。今後、実現場での複雑な条件についても検証を進める。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 三協化学株式会社
事業管理機関 公益財団法人名古屋産業科学研究所
研究等実施機関 学校法人日本大学 生産工学部 建築工学科
アドバイザー 一般財団法人 東海技術センター 参与 菊谷 彰
株式会社杉本組 専務取締役 川田 彰
サムシングニュー研究所 代表研究員 喜嶋 安彦

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 三協化学株式会社(法人番号:1180001016729)
事業内容 有機工業薬品・工業用洗浄剤・剥離剤の製造・販売、塗料・シンナーの製造・販売、工業用アルコール類の製造・販売
社員数 50 名
生産拠点 名古屋市守山区
本社所在地 〒461-0011 愛知県名古屋市東区白壁4-68
ホームページ https://www.sankyo-chem.com/
連絡先窓口 三協化学株式会社 専務取締役 石原 賢
メールアドレス info@sankyo-chem.com
電話番号 052-931-3111