複合・新機能材料
耐湿・耐熱性に優れ、パネルの高耐久性に資する偏光フィルムの開発
大阪府
昭和化工株式会社
2020年3月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 耐熱耐湿性偏光フィルム材料に資する二色性色素の合成技術の確立と当該色素からなる偏光フィルムの創製 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上) |
キーワード | 耐湿性、耐熱性 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成22年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
情報家電分野の基盤を担う中小製造業の基盤技術の高度化を目的として、ディスプレイの高効率化、高耐久化のために、構成部材の偏光フィルム用二色性色素を工業的に創製する基盤技術開発を行う。さらに、得られた二色性色素を一軸延伸されたポリエステルフィルムに染色することによって、偏光度、耐熱性、耐湿性に優れた偏光フィルムの開発及び偏光フィルムの機能評価に関する基盤技術開発を行う
開発した技術のポイント
・高純度高配向性アゾ系二色性色素の合成技術の開発
-二色性色素の効率的合成ルートの確立を通じ、純度が100%に近い化合物を低コストで創製
-フィルムへの染色性及び耐候性の観点から、基準値(熱安定性200℃以上、紫外線に対して全く劣化しない事)を満たす化合物を創製
・ポリエステルフィルムのアゾ系二色性色素による染色技術の開発
-ポリエステルフィルム(厚さ200μm)に二色性色素を染色し単色偏光フィルムを作製
-フィルム染色条件(色素の拡散係数等)の評価を通じバッチ染色方法を確立
(新技術)
(特徴)
・温度80℃、湿度90%で耐久時間1、000時間を保証
・軽量化(TAC、セパレータ層は不要)
・紫外線でも劣化しない
具体的な成果
・二色性色素の大量合成基盤技術の開発に成功
-ベンゾチアゾゾール及びチエノチアゾール型アゾ系二色性色素(イエロー、マゼンタ、シアン)について、効率的合成ルートの確立及び精製プロセスの精査により、純度が100%に近い化合物を創製
-既存物質を母骨格とするアゾ系二色性色素に加え、高配向性アゾ系二色性色素の迅速な開発を行い、純度が100%に近い化合物を創製
-染色性と対候性の観点から基準値を満たす二色性色素を開発し、高配向性アゾ系二色性色素の新規合成法を確立することに成功
・アゾ系二色性色素による染色基盤技術の開発に成功
-染色に最適な温度(130℃)、染色性に影響を及ぼす色素の粒度等、結晶形の条件を最適化することに成功
-ジメチルホルムアミドを染色液の20~30%程度まで入れると十分な効果を得る事を見出した
-染色技術で98%の偏光度を超える偏光板を作成する染色技術を確立
-偏光フィルムとして応用可能な二色性を有する材料を検索するとともに、二色性、偏光度はもとより、樹脂への相和性についても基準値(95%)を満たす材料の選定に成功
知財出願や広報活動等の状況
・受賞:中澄博行・八木繁幸「色材協会賞(論文賞)」(H24.9)
・論文:赤木伸生・八木繁幸・中澄博行「ポリエチレンテレフタレートフィルムを基材とする二色性色素を用いた偏光フィルムの作製とその特性」(色材協会誌、84、341-345、H23.10)
研究開発成果の利用シーン
耐湿潤性および耐熱性に優れた偏光板や偏光フィルムを作製できる。従来は、水溶性のポリビニルアルコールを使用している為に、偏光フィルムは高湿度の条件では使用できなかったが、高湿度の環境下でも偏光板の使用が可能となる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・実用化に成功、事業化を目指し補完研究を実施中
・サンプルについて:事業化へ向け特定ユーザーへの独占的供給を目指しており、特定色素サンプルの供与は現在のところ1社に限っている
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
・耐久性→ポリエステルフィルムを基盤とした偏光フィルムは従来のポリビニルアルコールを用いた偏光フィルムに比べて耐湿・耐熱性に優れる
・新規色素の合成→ユーザーの要望に応じ、新規色素の開発をラボ~量産化レベルで対応している
今後の実用化・事業化の見通し
新たな二色性色素の開発などを継続実施中
・二色性色素は川下ユーザーの開発製品の部材として採用され、顧客評価用サンプルに使用されている
・採用決定の色素の量産化に向けて原料調達・製造ラインの確保と生産を計画中。
・新たに開発した色素は川下ユーザーへの色素提供を行い、その他の用途展開を図る
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 昭和化工株式会社 |
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事業管理機関 | 公立大学法人大阪(大阪府立大学) |
研究等実施機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 公立大学法人大阪(大阪府立大学) |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 昭和化工株式会社(法人番号:8120901017453) |
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事業内容 | 有機酸・無機薬品・化成品・染料中間体・機能性材料・局方品・試薬・バイオ製品等の開発、製造、販売 |
社員数 | 146 名 |
本社所在地 | 〒564-0054 大阪府吹田市芳野町18-23 |
ホームページ | http://www.showakako.co.jp |
連絡先窓口 | 技術部ニーズ・シーズ課係長鈴木敏久 |
メールアドレス | suzuki@showakako.co.jp |
電話番号 | 06-6384-1563 |
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