バイオ
新規二段階乳酸菌発酵・精製法を利用した微生物制御剤等の開発
福岡県
オーム乳業株式会社
2020年3月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 新規二段階乳酸菌発酵・精製法を利用した微生物制御剤等の開発 |
---|---|
基盤技術分野 | バイオ |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、食品 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加) |
キーワード | 乳酸菌、発酵、抗菌ぺプチド |
事業化状況 | 研究中止または停滞中 |
事業実施年度 | 平成22年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本研究では食品廃棄物(焼酎粕)資源を利用し、発酵残渣を出さない新規二段階乳酸菌発酵・精製法の工業的規模生産を確立する。昨年度開発した新規製法の課題(ナイシン分離と安定性)を新分離技術を導入して解決し、従来より高回収かつ低コスト化を行う。一方、高純度ナイシンの安定化は、リポソーム技術を導入し、従来より安定性および抗菌持続性を高める。最終的には新規製法を利用した安全・安心な微生物制御剤等を開発する
開発した技術のポイント
焼酎粕を利用し、発酵残渣を出さない「新規二段階乳酸菌発酵・精製法」の工業的規模生産を確立する
・新規二段階乳酸菌発酵・精製法の確立:1t以上スケール
・ナイシンA抽出液に関する検討(高純度ナイシンA抽出液を配合した微生物制御剤の開発):2種以上
・機能性発酵調味液の開発:2種類以上
(新技術)
特徴
・食塩フリー、高純度(応用範囲広い)
・ナイシンの安定性(リポソーム技術)
・非可食原料培地(低コスト)
・発酵残渣を出さない
・原価コストを4製品に分散可能なので、1製品当たりのコストは低い
・商品の多様化
具体的な成果
新規二段階乳酸菌発酵・精製法(新規製法)の確立
・一次・二次発酵の培養条件の検討により、工場での実生産レベルで2,400U/mlのナイシンAを安定して生産できる条件を確立
・ナイシンA含有二次発酵液からナイシンAを分離する方法を検討し、品質を落とさず、溶剤を1/3低減化することに成功。抽出液は従来品と同等のナイシンA回収率、精製度であることを確認
・工場スケールにおいて高純度ナイシンA抽出液と機能性発酵調味液を、発酵残渣をほとんど出さずに同時生産することができる新規二段階乳酸菌発酵・精製法の技術を確立ナイシンA抽出液及び機能性発酵調味液に関する検討
・試作抽出液の安全性評価と性能評価を実施。安全で競合品以上の性能を持つ抽出液であることを確認
・上記2評価の結果を基に、ナイシンA抽出液を利用した微生物制御剤2種類を開発。開発製剤は、本来ナイシン単独では効果のないグラム陰性菌の大腸菌に対して優れた抗菌活性を示した
・ナイシンA回収後の乳酸菌発酵液を機能性発酵調味液(発酵液NO)として活用する方法を確立。発酵液NOは、保存安定性が高く、アレルギー表示不要な魚肉のマスキング剤として商品化できることが判明
高純度ナイシンA抽出液と競合品の40℃保存安定性比較
~高純度ナイシンA抽出液(工場試作品)と競合品(食品添加物ナイシン製剤)の活性を20,000U/mlに調整し、40℃保存安定性試験を行った。保存90日目、抽出液のナイシンAの残存活性は、67%であったのに対し、競合品は著しい活性の低下が見られ、残存活性は23%まで低下していた。抽出液の方が液状安定性は高かった(目標値達成)~
アジフライの官能評価
~無添加をコントロールとする官能評価の結果、発酵液NO、発酵液NO(新規樹脂)は甘味の向上効果、マスキング効果、肉質軟化の効果を有していることが判明。デリーモアは既存のマスキング素材~
研究開発成果の利用シーン
・微生物制御剤→グラム陽性菌全般に対する抗菌活性に加え、本来ナイシン単独では効果のないグラム陰性菌のに対する抗菌活性を有しているので、殺菌剤等が使用できない食品製造現場や、サニタリーなどでの応用が期待できる。
・機能性発酵調味液(発酵液NO)→食品へ添加することにより、食品の保存性が向上、また魚肉のマスキング効果も期待できる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
当該事業で必須となる膜装置が破損し、修繕を断念したため、研究は中断。
提携可能な製品・サービス内容
共同研究・共同開発、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
・環境負荷削減→酎粕を有効利用でき、ゼロエミッションが実現できる新規製法
・新製法の実現→乳酸菌がつくる新規な抗菌物質を利用した抗菌商品
今後の実用化・事業化の見通し
当該事業で必須となる膜装置が破損し、修繕を断念したため、事業化は中断。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | オーム乳業株式会社 開発部 |
---|---|
事業管理機関 | 公益財団法人福岡県産業・科学技術振興財団 |
研究等実施機関 | 熊本製粉株式会社 国立大学法人九州大学 微生物工学研究室 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | オーム乳業株式会社(法人番号:3290001053759) |
---|---|
事業内容 | 乳製品製造業 |
社員数 | 90 名 |
生産拠点 | 福岡県大牟田市新勝立町1-38-1 |
本社所在地 | 〒836-0895 福岡県大牟田市新勝立町1-38-1 |
ホームページ | http://www.omubrand.co.jp |
連絡先窓口 | 開発部 野田祥子 |
メールアドレス | sh-koga@omubrand.co.jp |
電話番号 | 0944-52-8282 |
研究開発された技術を探す