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バイオ

アルパカ由来のVHH型抗体に細胞膜透過能を付与し細胞内タンパク質をも標的にすることができる技術の開発

京都府

株式会社COGNANO

2022年1月28日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 生きた細胞内へ導入可能な細胞膜透過性VHH型タグ抗体の開発・実用化
基盤技術分野 バイオ
対象となる産業分野 医療・健康・介護
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)
キーワード 抗体医薬、細胞膜透過性抗体、Nanobody、次世代抗体、細胞内タンパク質の可視化
事業化状況 事業化に成功
事業実施年度 平成29年度~令和1年度

プロジェクトの詳細

事業概要

人工的に生産されるタンパク質はタグ(荷札)と呼ばれる短い付加配列で管理されている。このタグを認識する抗体がタグ抗体で、バイオ系の研究に不可欠なツールとなっている。このタグ抗体を次世代抗体として注目され、より安定で低コストな小型VHH抗体で置き換え、従来のタグ抗体では実現できなかった細胞膜透過性で細胞内タンパク質をも可視化できるVHH型タグ抗体を開発する。

事業の概要と特徴
開発した技術のポイント

・生きた細胞及び生体に投与可能なレベルの高純度のVHH型タグ抗体を得るための精製法
-ほ乳類培養細胞でVHH型タグ抗体の量産に成功し、量産抗体は90%以上の抗原結合活性を有した。
-アフィニティークロマトグラフィーとゲルろ過を組み合わせ、VHH型タグ抗体を精製した。純度は98%以上であった。
-生産した抗体はパイロジェンフリーであり、毒性も認められなかった。
・VHH型タグ抗体に膜透過性機能を付与する技術
-VHH型タグ抗体に膜透過配列を付与してもタグ結合活性が90%以上保持された。
-CPPの電荷を変化させた誘導体(CPP*)をVHH型タグ抗体のC末端に挿入することで、膜透過能の付与に成功した。
-CCDカメラや肉眼で、30分以内に細胞内への取り込みが確認された。
・VHH型タグ抗体に核内移行機能を付与する技術
-純度は98%であり、未加工のVHHタグ抗体と比較してタグ結合活性が80%以上保持された。
-CCDカメラや肉眼で、6~12分以内に核内への取り込みが確認された。
-事業化に向け、Pichia酵母株によるタンパク質発現系を構築した。

具体的な成果

・パイロジェンフリーのVHH型タグ抗体の生産・精製法を確立した。
・VHH型タグ抗体のC末端に既知の膜透過配列の誘導体CPP*を付加することにより、細胞膜透過能を付与し、生細胞内に導入することを可能にした。
・この成果は、VHH型タグ抗体に限らず、VHH型抗体(ラクダ科動物由来の単鎖抗体)一般に応用できることから、抗体の応用範囲を大きく広げるものである。

膜透過性VHH型タグ抗体の作製と膜透過の観察
知財出願や広報活動等の状況

知財出願準備中

研究開発成果の利用シーン

バイオ系の基礎研究を行う大学、研究機関、及び企業の研究者は、今回開発したVHHタグ抗体の細胞内導入技術を用いることで、細胞内や核内で働く分子に対して抗体を利用して研究を行うことができるようになる。つまり、研究における抗体の応用範囲を各段に広げることができる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

連携できるパートナー企業を募集中

提携可能な製品・サービス内容

共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

従来の技術では抗体を生きた細胞内に効率よく導入することは出来ず、研究や治療標的としては細胞外分子に限定されていた。本研究開発の成果は 、抗体の応用範囲を細胞内や核内で働く分子にまで広げるものであり、基礎研究のみならず抗体医薬の開発等にも大きな可能性を開くものと期待される。

今後の実用化・事業化の見通し

・本事業化において製品化する細胞膜透過性VHH型タグ抗体の有用性が市場で認知されるまでの最初の2年間(2021~2022年度)は当社の設備で生産するが、それ以後の急速な市場の拡大に対しては、抗体の製造・販売に関して国内最大手メーカーに徐々にライセンスしていく比率を増やし
ていく。
・2025年度以降は市場規模が10~20億円と飛躍的に伸びていると思われるので、川下製造業者のプラントでのライセンス生産に移行し世界に向けた供給体制を整える計画である。

実用化・事業化にあたっての課題

VHH型タグ抗体の分泌発現系を構築し、量産と精製プロセスを簡素化することが今後の課題である。これは以下のように対応する計画である:〔 1 〕シグナル配列やコドンの最適化・タグ位置の変更、及び〔 2 〕酵母発現株の変更(X-33, GS115株等)。

事業化に向けた提携や連携の希望

VHH抗体は次世代抗体医薬として注目されているが、抗体医薬等の基礎研究においても細胞内分子の活性阻害やライブイメージングを可能にするので,抗体医薬に興味のある製薬会社及び研究用の抗体を扱っている抗体試薬メーカとの連携を希望する。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社COGNANO
事業管理機関 一般財団法人大阪科学技術センター 技術振興部
研究等実施機関 国立研究開発法人産業技術総合研究所 創薬分子プロファイリング研究センター 主任研究員 新木 和孝
アドバイザー 東和薬品株式会社 事業開発部長 立木 秀尚氏
株式会社チヨダサイエンス 代表取締役社長 木崎 慎一郎氏
京都大学医学部附属病院 血液・腫瘍内科 病院特定助教 伊村 明浩氏(現 株式会社COGNANO 共同代表取締役)

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社COGNANO(法人番号:2130001054063)
事業内容 VHH抗体に関する研究開発、ユーザーのニーズに対応した抗体の作製と改良
社員数 1 名
生産拠点 本社と同じ。本社研究所に加えて、新たな生産拠点として、クリエイションコア京都御車へ入居予定。(2021年3月下旬)
本社所在地 〒601-1255 京都府京都市左京区上高野東山 64-101
ホームページ http://www.cognano.co.jp/
連絡先窓口 伊村 泰子
メールアドレス cognano@cognano.co.jp
電話番号 090-3849-7017