複合・新機能材料
高強度で耐熱性に優れた航空機用スーパーエンプラ複合材料
京都府
旭金属工業株式会社
2020年3月21日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 薄層プリプレグシートを用いた航空機構造部品用熱可塑性樹脂複合材料の成形技術及び工程管理・検査技術の開発 |
---|---|
基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 航空・宇宙 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化) |
キーワード | 開繊炭素繊維、熱可塑性PEKK樹脂、機体構造部品に適用、高強度(2700MPa)、耐熱性(300℃以上) |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成28年度~平成30年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
低コスト化を目標として、熱可塑性スーパーエンプラをマトリックスとした炭素繊維強化複合材料を開発し、航空機の2次構造部品に適用する。軽量性、高強度、耐熱性及び耐衝撃性を有する複合材を成形するため、炭素繊維束を開繊した薄層プリプレグシートを積層して、プレス成形することを特徴とし、熱硬化性樹脂複合材あるいは金属による部品を熱可塑性樹脂複合材に置き換えることによりコスト低減を図る。
開発した技術のポイント
航空機機体の2次構造部品にスーパ-エンプラ熱可塑性樹脂CFRPを適用する技術及び工程管理・検査技術などを取り上げ、現在の熱硬化性樹脂CFRP部品を熱可塑性樹脂に置き換えることを目指した。
(熱可塑性樹脂CFRPの特徴)
・Tier2あるいは3による製造が可能
・設備投資額が小さい
・製造時間短く、生産性が高い
・開繊繊維の利用による薄層部品が可能
具体的な成果
・薄層プリプレグシートの製造
‐樹脂の含浸性に優れ、2500MPa以上の引張強度を達成(従来材料と比較し、約10%の高強度化)
‐PEEK以上に耐熱性の良いPEKK(ポリエーテルケトンケトン)を使用
・ホットプレス成形
‐脱オートクレーブによるハイサイクル化
‐航空機構造部品形状の成形技術の確立
・工程管理・検査技術
‐航空機部品用として材料規格化
‐超音波探傷検査体制を確立
知財出願や広報活動等の状況
2019年パリエアショー出展
研究開発成果の利用シーン
従来の複合素材では果しえなかった高強度、高耐熱性の炭素繊維/熱可塑性ポリエーテルケトンケトン樹脂〈PEKK〉及びポリエーテルエーテルケトン樹脂〈PEEK〉等のスーパーエンプラの熱可塑性CFRPの製造及び生産性の良い成形技術
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
開発した技術を駆使して航空機部品モデルをCATIAV5で3次元化し、それをベースに図面寸法を出して金型の設計図を作成し、金型の製作、成形を行い、試作品を作製した
提携可能な製品・サービス内容
加工・組立・処理、素材・部品製造
製品・サービスのPRポイント
・開繊炭素繊維を用いた、機械的特性に優れた熱可塑性樹脂プリプレグの製造技術を確立
・ホットプレスによる難形状部品の成形技術を確立
今後の実用化・事業化の見通し
今後も引き続きプロジェクト参加3機関は、課題解決に向けた取り組みを続けると共に、各種イベントへの出展で受注が成功した場合、試作あるいは多品種少量生産の注文であれば、現時点でも対応していく。一方、量産型受注については、新たな設備投資が必要となり、その対応には時間がかかる。新たな企業の参加を含めることも考えて、3年後を目標に量産設備を整え、いかなる注文にも対応していきたいと考えている。さらに、複合材料のNadcap認証取得、機体メーカの認証取得を視野に入れたJIS Q 9100の取得も1年前倒しで実現する。また、航空機部品は部品全数の非破壊検査が義務付けられているため、レベル3を目指した技術力の向上を目指す。
実用化・事業化にあたっての課題
試作品は形状的に満足でき、内部欠陥もなく完成度の高いものと判断したが、寸法精度検査等で問題点が現れ、対応できないものについては、ビジネス化に向けての量産化を検討する段階で解決すべき課題とした。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 旭金属工業株式会社 岐阜安八工場 スピック株式会社 本社(神奈川県秦野市) |
---|---|
事業管理機関 | 公益財団法人岐阜県産業経済振興センター 技術振興部 開発支援課 |
研究等実施機関 | 福井県工業技術センター 新産業創出研究部 先端複合材料研究グループ |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 旭金属工業株式会社(法人番号:7130001002439) |
---|---|
事業内容 | 航空・宇宙機器部品の製作 |
社員数 | 319 名 |
生産拠点 | 岐阜安八工場 |
本社所在地 | 〒602-8176 京都府京都市上京区下立売通智恵光院西入下丸屋町503番地 |
ホームページ | https://www.akg.co.jp/ |
連絡先窓口 | 生産管理部 表面処理技術課 |
メールアドレス | ytakagi@akg.co.jp |
電話番号 | 0584-64-5061 |
研究開発された技術を探す