表面処理
次世代ガス浸炭法及び設備の開発により品質・生産性向上とコスト削減を実現
埼玉県
株式会社日本テクノ
2021年2月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | アセチレン添加によるガス浸炭法及び設備の開発 |
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基盤技術分野 | 表面処理 |
対象となる産業分野 | 自動車、産業機械 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(生産性増加)、環境配慮 |
キーワード | 熱処理、表面処理、自動車用部品、浸炭、量産設備 |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成28年度~平成30年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
主に自動車向け部品で多用されている「RXガス浸炭」は長らく表面熱処理の主流である反面、近年の環境ならびに品質のニーズに答えられないまま今日に至っている。そこで従来技術の高度化のため、浸炭能力が極めて高い「C2H2(アセチレン)」ならびに不活性ガスの「N2(窒素)」を用いた次世代ガス浸炭技術を開発する。開発技術は表面品質向上や環境負荷低減を達成しつつも、生産性向上ならびにコスト削減を実現する
開発した技術のポイント
C2H2浸炭法
・プロパンやブタンだった従来の浸炭ガスに、反応性の優れたアセチレン(C2H2)を採用する事で浸炭能力向上
・キャリアガスをRXガスからN2に切り替える事で、RXガスで発生していた酸化由来の不完全焼入れ層が大幅に低減すると同時に、RXガス変成炉から出るエネルギーロスも削減。
・送入するガスに[O]が含まれないため、炉内からの排気ガスにCO2およびCOが一切無く、環境負荷低減を実現。
・N2供給は空気中からN2を抽出する窒素発生装置を選択可能にする事で、ガスコスト削減や設備の簡略化を実現
・H2センサーによる雰囲気管理手法開発により、品質の安定化、ならびに浸炭ガス量の最適化
具体的な成果
【処理条件設定・雰囲気管理方法確立】
‐熱処理条件の最適化および条件計算式を確立し、実操業でリードタイム15%以上の削減を達成
‐H2センサーによる雰囲気管理手法の開発し、C2H2ガスの総量としては60%を実現
‐C2H2浸炭プロセスの解明を行い、RXガス浸炭品における表面酸化による悪影響が認められないことを確認
【開発技術品における機械的特性評価の課題への対応】
‐開発技術品の金属組織解析を行い、不完全焼入れ層が無い事を確認
‐耐疲労性ならびに摩擦・摩耗特性の向上について、浸窒焼入れ品並の耐摩耗性を実証
‐実製品での耐久性向上について耐久試験を実施し、既定の耐久評価基準をクリア
【量産性・品質安定性低下における課題への対応】
‐窒素発生装置の条件最適化を行い、50%以上減まで窒素ガスコストを低減
‐熱処理バラつきへの対応を行い、炉内の硬さバラつきが工程能力 Cpk≧1.33を大幅にクリア
知財出願や広報活動等の状況
鉄鋼協会、金属学会等の連合講演会地区大会での発表
研究開発成果の利用シーン
自動車向けの歯車やシャフト、工具などの表面硬化処理に用いられるガス浸炭
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
R1年12月時点で、設備の概仕様と設計は完了しており、実験炉納入に向けた設備的な改良を進めている
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
・ガス浸炭の高度化というニーズに対応
・高Cr鋼等の酸化影響の大きな鋼種への適用可
・排気ガス内、燃焼ガスのCO2排出がゼロになり環境負荷を軽減
今後の実用化・事業化の見通し
・既存のガス浸炭炉の国内向け出荷台数を、これまでの累積でみると約6,000台であり、これらの入替え需要が当面の市場規模と想定。
・主として販売のターゲットとなるのは当社の従来からの顧客であり、特に比重の大きな(1)自動車完成車メーカー、(2)自動車部品メーカー、(3)熱処理専業メーカーの3分野への売込みを重点的に実施。
実用化・事業化にあたっての課題
・大別すると、コストや環境負荷等の計算、営業的な権利系・広報活動、設備的な改良。
・設備単価の優位性、操業コストの削減量、CO2の排出量低減、ならびに操業ライン全体でのエネルギー低減量などの算出。知財・権利系の整理。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社日本テクノ |
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事業管理機関 | 公益財団法人さいたま市産業創造財団 |
研究等実施機関 | 国立大学法人九州大学 尾﨑由紀子教授 |
アドバイザー | トヨタ自動車株式会社 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社日本テクノ(法人番号:7030001006557) |
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事業内容 | 1.熱処理設備の製造販売2.自社製造設備による熱処理受託加工3.自社製造設備による試作及び研究4.他社(国内外)への技術供与5.中国合弁会社への出資及び技術供与6.タイ合弁会社への出資及び技術供与 |
社員数 | 48 名 |
生産拠点 | 本社工場(埼玉県, 開発プロセスの受託可)、その他に埼玉県及び新潟県に2拠点。中国及びタイの海外2拠点に合弁会社を展開。 |
本社所在地 | 〒349-0114 埼玉県蓮田市大字閏戸3968番地 |
ホームページ | http://www.nihon-techno.co.jp |
連絡先窓口 | 営業部 中岡 |
メールアドレス | sakigake@nihon-techno.co.jp |
電話番号 | 048-767-1113 |
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