材料製造プロセス
基本構造である「セル」を集積することで、小規模な手動型から大規模な全自動搬送型まで対応を可能にする高効率な植物工場の実現
兵庫県
伊東電機株式会社
2020年4月15日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 閉鎖環境セルを基本としたユニット型完全自動高効率植物工場の開発 |
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基盤技術分野 | 材料製造プロセス |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、農業、産業機械、物流・流通 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | セル式、自動化、搬送、エネルギー、コスト |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成27年度~平成29年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
完全閉鎖型人工光植物工場は、天候に左右されず最適な栽培環境で短期間で定常的に作物生産ができる。問題はコストで全自動植物工場の場合、人工光と空調のエネルギーコストである。大規模植物工場では空調容積の大きさが課題であった。本事業では栽培に必要な最小限の空間だけに作物に必要な栽培環境を再現するセルによって人工光照射と空調のエネルギーコストを50%以下にすることができる全自動植物栽培ユニットを開発する。
開発した技術のポイント
工業製品基準で高品質の自動搬送ユニットとソフトウエアとしての栽培条件の一体化による全自動化に対応した運転コストの低い植物工場を目的とする。
(新技術)
大型の植物工場に必要な自動搬送システム、全ての植物工場に要求される、コンピュータを利用した栽培管理の省力化システムの導入
(新技術のポイント)
栽培に必要な部分のみを空調環境とするセル型とすること、照明・温度の最適化で省エネ達成
具体的な成果
植物工場の構造を根本的に見直し、工場全体を照明・空調の対象とせずに、栽培空間の最小単位として“セル”を構築し、セル内部にのみ照明と空調のエネルギーを注入することで運転コストの最小化を図った。また、この“セル”構造を設備構築の最小単位とし、縦方向に接続して栽培ラインを構成し、上下に積み重ねることで多段式の栽培ラインを構築する方式として植物工場の構築を標準化及び簡素化した
・大型植物工場における自動搬送の要求に対しセル内で栽培トレイを自動搬送する駆動機構を有する自動タイプを開発した。
・小規模営農者に採用可能な小規模の植物工場として、設備費を抑えた手動タイプを開発した。
・自動/手動のいずれのタイプにもコンピュータによる栽培環境の管理と制御の自動化を導入し、省力化を可能とした。
・栽培装置の後工程における自動化装置として「自動刈り取り機」を開発し、展示会に出展した。
知財出願や広報活動等の状況
2019年1月~12月の活動
1.特許出願(2019年1月~12月)2件出願(未公開)
2.展示会への出展 伊東電機(株)の自社ブランド内覧会 宇都宮、東京、刈谷、大阪の4か所で開催され、都度「セル式植物工場ユニット」の展示を行った
3.最近のテレビ取材の放映 ・TBS「Nスタ」2019年10月16日、・テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」2019年11月19日
4.最近の新聞報道 ・日経産業新聞、神戸新聞等多数
研究開発成果の利用シーン
1.大規模植物工場の案件に対して主に全自動型セル式ユニットを提案する。
2.小規模植物工場の案件に対して主に手動型セル式ユニットを提案する。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
2017年3月 「まんてんファーム」様(兵庫県養父市)の新工場に手動型セル式植物工場ユニットを納入(一次)
2017年12月 社内実証試験設備として「千葉幕張ファーム”ベチカ”を千葉県習志野市の地下共同溝に設置し、稼働を継続中
2018年7月 「東光アグリファーム」様(千葉県)にベビーリーフ栽培用の小規模手動型栽培装置を納入
2019年12月 「まんてんファーム」様(兵庫県養父市)の増築工場に手動型セル式植物工場ユニットを納入(二次)
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、製品製造、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
・新規事業者や高齢農業経験者でも運営でき、運転コストの低い植物工場・自動搬送とセル式で限られた領域のみの空調
・照明環境制御による運営コストの低減
・自動搬送ユニットとソフトウエアとしての栽培条件の一体化により全自動化
1.栽培工程以外の収獲工程、洗浄工程等の自動化を推進するため、自動収獲機、パネル洗浄機、等の開発に着手
2.イチゴ栽培のためのセル式栽培ユニットの開発に着手
今後の実用化・事業化の見通し
・国内外の高温でレタスなどの高原野菜の栽培不適格地での近郊栽培事業の提案を進めていく予定
・セルシステムの設置の容易性を活用し、利用されていない既存の地下空間等に植物工場を設置して温度・湿度変化の少ない環境を利用することでエネルギーコストを抑えた農作物の生産を推進して行く予定
2019年12月12日に兵庫県との間に「連携と協力に関する協定」を締結し、その具体例として県内の2個所(加西市、宍粟市)に当社独自の地下植物工場と研究施設を設置し、レタスやイチゴ等を栽培する計画を公表した。2022年度に加西市、2023年度に宍粟市の施設にて各々稼働を開始する予定。
実用化・事業化にあたっての課題
果菜類であるイチゴの栽培方法の確立。 レタス等の葉菜類よりも工程が複雑で難易度が高く、植物工場での実績が希少である。
事業化に向けた提携や連携の希望
3.2の通り、兵庫県との間に「連携と協力に関する協定」を締結した。 今後も、植物工場事業の展開に必要な提携や連携を進めて行く方針である。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 伊東電機株式会社 植物工場開発本部 |
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事業管理機関 | 公立大学法人大阪(大阪府立大学) |
研究等実施機関 | 公立大学法人大阪(大阪府立大学) |
アドバイザー | 特定非営利活動法人・経営支援NPOクラブ |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 伊東電機株式会社(法人番号:1140001076058) |
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事業内容 | 搬送関連機器の開発・製造・販売・設置、植物工場設備の開発・製造・販売・設置 |
社員数 | 314 名 |
生産拠点 | 伊東電機株式会社 本社、東山第二工場、丸山第三工場 |
本社所在地 | 〒679-0105 兵庫県加西市朝妻町1146-2 伊東電機株式会社 |
ホームページ | http://www.itohdenki.co.jp |
連絡先窓口 | 植物工場開発本部 田中政樹 |
メールアドレス | m.t@itohdenki.co.jp |
電話番号 | 0790-47-1645 |
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