研究開発された技術紹介

3Dプリンタは急速に市場に出回ってきたが、1)時間がかかる2)細部の正確な造形ができない。すなわち、基本的には、フィギュアやインテリアのような、実用性のないオブジェ的なものや装飾品にとどまっているのが、現状である。また、多くの3Dプリンタは海外製となっている。このため、多品種少量生産に対応出来る工業製品製造に適した「革新的な多次元制御方式による3Dプリンタの技術開発」を行う

以下の要求に答えていくのが目標である。
・造形制限のないフレキシブルな立体造形
・高速、高精度、高詳細な立体造形
・フルカラーを実現する立体造形

(新技術)
・サポート材レスを実現する高精度多自由度ステージの開発
・高精細、高安定を実現するカチオン重合UV硬化型樹脂インク
・フルカラーを実現する色構成法

(新技術のポイント)
2D積層でなく、3D構造単位(voxel)を自在に配置するベクトルスキャン方式を実現した。これによりサポート材レスやフルカラーを実現した

・サポート材を不要にし、造形時間やサポート材コストの削減を実現するベクトルスキャン方式を可能にする多自由度造形機構を開発し、基本的な仕様を満たす機構を実現した
・造形体に反応残渣が残らず、安定性を担保するカチオン重合モノマーの開発と最適なインク組成の開発を行った
・フルカラー化を実現する色構成方法を開発し、特許出願し権利化を行った。又、自由曲面を持つ既存の構造体に構造付加を行う、3次元の付加造形技術を確立した
・カチオン重合UV硬化型のインクに適正のあるインクジェットヘッドと硬化用UV光源の選定及び、最適配置を行い、検証実験機を作成した

【フルカラー造形に関する特許】
（3次元造形方法及び3次元造形機）特願2017-559479　特許6329332号　（国際公開番号WO2018154767）米国出願(15/574086)ドイツ出願 (DE11 2017 007 132-1)
【点字造形に関する特許】
（3次元造形装置及び3次元造形方法）特願2018-2371314DFF研究会（日本画像学会の分科会）でVoxelを用いたフルカラー化技術の講演

・3Dプリンタ
・フルカラー3次元構造体(内部着色)

フルカラー化特許に関しては国際出願を行い、日本で権利化完了。米国に出願し、今年度ドイツに出願を行い、特許ビジネスを目指している。この為、様々な展示会、講演会で技術の発表を実施中。又、技術の応用としては点字造形に関する特許も出願している。

・多自由度造形機構
・インクジェット適正と実用性を両立させたカチオン重合UV硬化型樹脂インクと適合するヘッド
・フルカラー造形の特許をベースにしたビジネスの技術供与とコンサルティング

・武藤工業の方針として自社開発は樹脂溶融積層方式と光造形方式に特化する事になった。確立した技術は特許権利化と併せ実施者を探す方向で、技術のブラッシュアップを行う。法政大学との追加検討からは新しい特許を出願し、点字等の微細構造の造形やフルカラー造形に関し特許ビジネスを目指す。
・事業化に対してはまず当社の2Dプリンタへの応用を優先して進める

フルカラー特許をベースにしたビジネスモデルの構築が課題。3Dプリンタ以外での実用化も課題である。

取得特許は構造体内部にまで色を付ける技術で、この技術を必要とするアプリケーション（動物などの生体モデル等）の開発を共同で行ってもらえる研究機関と連携を図りたい。