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立体造形

生産工程の損失を削減!真空圧空方式プラスチックシート成形加工システム

香川県

株式会社トーコー

2020年4月9日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 真空圧空方式によるプラスチック成形加工システムの開発~温度制御システム及び、装置成形システムの開発~
基盤技術分野 立体造形
対象となる産業分野 自動車、食品
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮
キーワード 真空圧空、成形機、高応答ヒーター、ドローダウン、温度制御
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 平成23年度~平成24年度

プロジェクトの詳細

事業概要

プラステック成形加工では、安価な海外製品との競争、多品種少量発注の定着年に伴い製品のコスト競争力の強化が緊急の課題となつている。この分野では、長年の経験を重ねた熟練技術者に温度制御の最適条件設定を頼っているが、設定時間に長時間を要するドローダウン現象での材料損失などが生産性に影響を与えている。そこで、高応答性加熱板などを開発し、高効率・高品質・低コストを有する生産体制を構築する

開発した技術のポイント

・真空圧空方式による高効率・高品質・低コストなプラスチック成形加工システムの開発
-下ヒーター炉の開発→カーブ形状加熱板、上下可動制御システム
-高応答性ヒーターの開発→昇温・降温時間:従来の1/10
-生産工程中の損失削減→従来の1/2
-温度制御システムの開発→シート面の温度制御:±1.0
(新技術)
<真空圧空方式によるプラスチック成形加工>
(特徴)
・温度制御システムの確立(開発)
-カーブ形状加熱板(ドローダウン対応)
-高応答性ヒーター・シート温度測定機能
・熟練技術者のノウ・ハウのデータベース化
・簡便な成形条件設定機能

成形工程イメージ図
具体的な成果

・弓形状下ヒーター炉、上下可動システムを開発
-加熱されたシートのドローダウン現象に対応するため、ヒーター取付面をドローダウン形状に合わせてカーブ形状にした下ヒーター炉を開発
-シートとの距離を一定に保つため、サーボ駆動による上下可動機能(±0.1mm単位)を有する
-シート全面をムラなく均一に加熱する精度が高まり生産不良を低減、さらにシート加熱時間を大幅に短縮
・昇温・降温時間を短縮した高応答性ヒーターを開発
-高応答性ヒーターを開発、昇温時間は従来の1/7以上に短縮、降温時間は1/10に短縮
-ヒーター自体も、従来の30%軽量化
・生産工程中の損失(時間(人件費)・原材料・エネルギーなど)を、従来の損失の1/2に低減
-成形時間の短縮による生産効率の向上はもとより、省エネ(シート材料≒石油、電気)、省スペースという効果も大きく、7.5%以上の損失低減を達成
・シート面の温度制御は±1.4℃
-上記の高応答性ヒーター(上下計306ケ)、カーブ形状かつ上下可動の下ヒーター炉、5箇所に放射温度計を装備した真空圧空成形機を開発
-運転試験の結果、シート面の温度制御は±1.4℃

成形工程の参考写真
成形機の内部写真
成形機の外観写真
知財出願や広報活動等の状況

・新聞:日本経済新聞四国版(H24.2.1)
・雑誌:包装タイムズ(H24.2.20)

研究開発成果の利用シーン

開発した熱可塑性樹脂の真空圧空成形技術により、食品樹脂容器・工業製品の搬送用容器・自動車用内装部品の生産性を増加することができる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・H24年度に事業化に成功
・H25年1月末に試作機を再度製作
・販売実績、引き合い状況
-1年目(H24年8月~H25年3末)売上実績:Dragon成形機3台(139,250千円)。
-2年目(H25年4月~H26年3月末)売上実績:真空圧空成形機10台(394,780千円)、うちDragon成形機6台。Dragonヒーター及びヒーター炉を取り入れた自動車内装材の成形ライン1台(133,100千円)。
-3年目(H26年4月~H27年3月末)売上実績:真空圧空成形機4台(169,015千円)、うちDragon成形機2台。Dragonヒーター及びヒーター炉を取り入れた自動車内装材の成形ライン2台(219,380千円)。
-4年目(H27年4月~H28年3月末)売上実績:真空圧空成形機4台(182,200千円).。Dragonヒーター及びヒーター炉を取り入れた自動車内装材の成形ライン1台(95,500千円)。
-5年目(H28年4月~H29年3月末)売上実績:真空圧空成形機7台(353,530千円)、うちDragon成形機4台。
-6年目(H29年4月~H30年3月末)売上実績:真空圧空成形機4台(175,680千円)、うちDragon成形機3台。Dragonヒーター及びヒーター炉を取り入れた自動車内装材の成形ライン1台(238,000千円)。
-7年目(H30年4月~H31年3月末)売上実績:真空圧空成形機4台(188,140千円)、うちDragon成形機3台。Dragonヒーター及びヒーター炉を取り入れた自動車内装材の成形ライン1台(205,500千円)。
-8年目(H31年4月~)の状況としては、売上実績:Dragon成形機1台(43,700千円)。Dragon成形機を2台(97,200千円)受注し、現在製作中である。

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造、製品製造

製品・サービスのPRポイント

・多品種少量生産→今回開発した高応答性ヒータ、カーブ形状かつ上下可動の下ヒータ炉、シート加熱の自動化システム等の技術により、最適成形条件設定を短時間で設定可能
・納期・製作時間短縮→試作機の試運転において、従来機と比べて、8.3%の生産量UPを実証
・省エネルギー化→高応答性ヒーターの開発により、従来ヒーターと比べて、昇温時間を1/7以上・降温時間を1/10に短縮

開発したヒーター及びヒーター炉の新旧比較写真
今後の実用化・事業化の見通し

・営業展開を進めるとともに、試作機を改良
-試作機を実際の生産設備として長時間の連続運転を行い、耐久性・性能評価を検証。発生した不具合・要望を組み入れて再度試作機を製作、またコスト面での更なる低減に取り組んでいる
-既存の取引先を中心に営業展開中であり、既に開発技術を搭載した成形機を受注・納入済
-また、前述の試作機の製作により、実機によるPR見学会を実施
・H24年8月事業化開始以降、販売実績26億円
-販売したユーザーの声を聴いて、随時細かな改善を繰り返し取り組んでいる。

実用化・事業化にあたっての課題

・高機能・高付加価値な仕様のままで、いかに顧客が受け入れ易い価格で製品を提供できるかが課題
ー高性能・高付加価値機として、価格面では従来機と比較すると高い販売価格設定であるが、弊社としてもすべてを価格転嫁できておらず、採算面ではかなり低水準である-生産設備の増強等生産性の向上、内製化により、生産コストの低減に取り組んでいる

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社トーコー
事業管理機関 株式会社トーコー
研究等実施機関 三菱電機システムサービス株式会社
独立行政法人国立高等専門学校機構香川高等専門学校
国立研究開発法人産業技術総合研究所 四国センター
香川県産業技術センター
アドバイザー 赤松化成工業株式会社

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社トーコー(法人番号:2470001011435)
事業内容 裁断機・成形機の製造販売
社員数 96 名
生産拠点 本社工場(香川県)
本社所在地 〒769-2693 香川県東かがわ市横内6891
ホームページ https://www.k-toko.com
連絡先窓口 総務川田英治
メールアドレス kawada.eiji@k-toko.com
電話番号 0879-25-4125