材料製造プロセス
ガラス表面の洗浄液あるいはエッチング加工液からの廃酸再生、フッ素回収、フッ酸再生からなるフッ素を完全にリサイクルするプロセス
熊本県
株式会社旭製作所
2020年4月21日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | フッ素を廃棄しないエッチング薬液再生装置の開発 |
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基盤技術分野 | 材料製造プロセス |
対象となる産業分野 | 産業機械、化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(精度向上)、低コスト化 |
キーワード | 廃液回収、高純度化、溶剤回収 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成26年度~平成28年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
ソーダ石灰ガラスの洗浄や加工に利用され、多量に排出されるフッ化水素酸を含むカ゛ラス洗浄液の洗浄能力を回復させることにより、廃酸を削減すると同時に、エッチングで消費されたフッ素を完全にリサイクルし、スタート材料を安価な化学物質におきかえ経済性の高いシステムを目指す
開発した技術のポイント
エッチングレートの低下した廃酸のリユース、並びに消費されたフッ酸のリサイクル、さらには廃酸ゼロ化によるフッ酸と硫酸のリデュースによって、酸消費量と廃棄物コストの削減を実現する
(新技術)
廃酸再生、フッ酸再生Si排出、フッ素回収によってエッチングレートの低下した廃酸リユース、消費したフッ酸リサイクル
(新技術の特徴)
省資源化、省コスト化に向けて酸の消費を抑えることで、川下企業が経費の抑制、環境基準の高まりへの対応ができる
具体的な成果
・除去剤の再生とフッ素回収工程の構築として、Na2SiF6とNaOH水溶液を反応させてNaFに戻す試験を行い、反応開始温度は60℃で、反応熱により反応粗液は80℃まで上がり、反応時間は10分未満であった
・未反応のフッ化ナトリウムの割合を1%以下に抑える方法により、反応温度を100℃以下で実施することを可能とした
・パイロット装置構成としては、模擬エッチング槽は140L、廃酸再生を行う反応濾過器は15Lとした
・パイロット運転では、再度再生してエッチング液で調整したものでも問題なくエッチングを行うことができた
・太陽光パネル製造業界、半導体業界から出てくるフッ酸をモデル廃液とした蒸留再生法では、Si濃度を10ppbオーダーに抑え、標準的な装置耐用年数を5年とした
知財出願や広報活動等の状況
出願は行っている
研究開発成果の利用シーン
・廃酸再生⇒Si排出、フッ素回収⇒フッ酸再生からなるフッ素を完全にリサイクルするプロセス
‐フッ酸の処理プロセスを完全リサイクル化することでフッ素排出量ゼロをめざす
‐酸消費量を抑えエッチング液の原材料費と廃酸処理にかかっていた薬剤、エネルギーの消費を抑える
‐フッ素の消費場所に設置可能な設備とし、フッ酸及び廃棄物の移動を極力減らしリサイクルに必要なエネルギーを削減する
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
ガラス加工、半導体業界に加えて、金属精錬業界でのフッ酸回収に向けてもアプローチを開始した。エンジ会社との協力関係も築きながら顧客要望に応じた再生装置の提供を試みている。現在は、1社(三井金属様)より、依頼があり、現在は先方での希望再生スペック(経済性が確保できる要求)を検討いただいている。対応としてはサポインの技術と大同ケミカルエンジニアリングの既存技術とをあわせてソリューションを提供できるように連携を取っている。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、共同研究・共同開発、技術ライセンス、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
・中和処理を行わないので廃棄物はほぼゼロ
・エッチング装置に合わせた再生装置とすることで、輸送エネルギーをゼロ、再生にかかるエネルギーとあわせると従来比約80%のエネルギー削減・廃水量が1/10以下
・フッ酸消費量の削減、廃棄物の削減により経費削減
・経費削減効果に対する装置回収年限は約1.9年
・金属精錬などで、Siを除去するために利用されているフッ酸についても、廃液の状況により回収可能である。
・HFを経由しない形で、鉱石からSiを除去する方法についても開発ベースになるが相談・対応の可能性がある。(プロセス開発提案、サポート)
今後の実用化・事業化の見通し
・ガラスエッチング加工業界以外から排出される廃酸としては、半導体業界、太陽光パネル製造業界がある
・台湾の半導体業界向け酸供給メーカーでの高度フッ酸再生案件として検討を開始している
・金属精錬で利用されているフッ酸の回収を検討する。
・太陽光発電の製造利用されているフッ酸は、ガラス製装置で再生がされ、循環している。ガラス製で精製しているためにSiの残存量がおおく、精製循環しているわりにはHFのエッチング能力がひくく、不必要にHFのリサイクルがまわっている。ここにSi濃度を抑えた再生プロセスとして提案を始めている。
・エンドユーザーとしては海外になる。(タイなど)
実用化・事業化にあたっての課題
フッ酸利用ユーザーでのフッ酸を投入する濃度は、55%から高いものでは、85%と濃度が高い傾向にある。より高純度で再生する技術にめどを立てつつあるが、エネルギーコストを鑑みて、回収できる濃度は、10~35 %程度のフッ酸になる。ユーザーには回収フッ酸の利用できるラインやプロセスの検討の協力を仰ぐことが必須になっている。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社旭製作所 |
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事業管理機関 | 公益財団法人くまもと産業支援財団 企業支援部 産学連携推進室 |
研究等実施機関 | 株式会社クライミング 学校法人関西大学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社旭製作所(法人番号:1330001018362) |
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事業内容 | 理化学用ガラス製品の製造販売、石英ガラス製品の製造販売、ガラスプラント設計製作・メンテナンス等 |
社員数 | 228 名 |
本社所在地 | 〒864-0025 熊本県荒尾市高浜1978 |
ホームページ | http://www.theglassplant.com/index.html |
連絡先窓口 | 角田翔生 |
メールアドレス | shousei.tsunoda@agi.co.jp |
電話番号 | 0968-68-2121 |
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