研究開発された技術紹介

船舶、洋上標識、海洋エネルギー機器、構造物の係留で使用される鋼製チェーンの代替え技術として、スチールと同等の強度を持ち、軽量で耐食性、メインテナンス性に優れる超高分子量ポリエチレン繊維ロープが注目されている。当該ロープの耐摩耗性と繊維の集束性を向上させるため、密着性に優れた樹脂被覆を行うことにより、軽量・高強度・耐摩耗性・屈曲性を持つロープを開発する

軽量で高強度な超高分子量ポリエチレン繊維を主材として、当該繊維の耐摩耗性や屈曲性を向上した、耐久性と柔軟性がともに優れた海洋構造物係留ロープの製造技術を開発する
(新技術)
超高分子量ポリエチレン繊維に樹脂を被覆し、耐久性と柔軟性を有するロープを開発する
(新技術の特徴)
・軽くて高強度
・腐食がなく耐摩耗性がある
・耐久性と柔軟性を有する

・基本素材となる超高分子量ポリエチレン繊維の撚糸、撚糸されたヤーン表面からの収束剤である油剤の除去、油剤が除去されたヤーンへの表面改質を経た樹脂被覆、及び樹脂被覆されたヤーンの製綱の各工程を最適化することによって、耐久性と柔軟性を共に有するロープの製綱条件を見出した
・繊維と被覆樹脂の接着力は20MPa以上、耐摩耗性については樹脂被覆のない繊維による同径ロープの3倍以上、屈曲寿命については、樹脂被覆のない繊維による同径ロープの2倍以上を達成した
・「従来の係留に用いられている鋼製チェーンと同等の強度を有し、かつ使用可能期間(耐久性)が2倍以上」という高度化目標を達成した
・実証試験から、ロープの強度保持のためにはヤーンへの樹脂被覆が有効であることが明らかとなった

PCT出願を行い、米国特許・日本特許取得済。EPO出願中。

・超高分子量ポリエチレン繊維表面を活性化し樹脂を被覆する技術
・樹脂被覆した繊維を撚り合わせ耐久性と柔軟性が向上したロープ

実用化のための性能試験を実施中

・耐久性と柔軟性が向上した海洋構造物係留ロープ
-繊維と被覆樹脂の接着力は、20MPa以上
-耐摩耗性は、樹脂被覆のない繊維による同径ロープの3倍以上
-屈曲寿命は、樹脂被覆のない繊維による同径ロープの2倍以上
・従来の係留で用いている鋼製チェーンと同径で同等の強度を有し質量は約1/16、かつ使用可能期間(耐久性)が2倍以上(見込み)

・市場へサンプル投入し、川下企業のニーズに合わせて開発した樹脂被覆ロープの改良を行っている
・量産化体制の整備を目指している
・国際規格の確立に向け準備を進めている