研究開発された技術紹介

新規開発の六価クロムレス樹脂めっき対応PDナノ分散マスターバッチ材を使ったPA/PPアロイとPPとの2色成形めっき法により、自動車業界で需要の高い軽量低価格PP樹脂を使い、マスキング工程を使わずに部分樹脂めっき部品を作製する基本的な手法を確立している。この手法を用いて、大型バンパー等の高意匠部分樹脂めっき部品の創製を目指す。デザイン性の拡大や、低コスト化、軽量化、環境負荷軽減も期待できる

Pdナノ分散マスターバッチ材を使ったPA/PPアロイとPPとの２色成形めっき法により、自動車業界で需要の高い軽量低価格PP樹脂を使い、マスキング工程レスの部分樹脂めっき部品を作製する
(新技術)
・Pdナノ分散MBを用いたクロム酸エッチングレスめっき
・めっき用PA/PPアロイ材料
(新技術の特徴)
・クロム酸エッチングレスで高密着強度のめっき膜を形成可能
・2色材料間の密着強度とめっき性を両立可能
・マスクレス部分めっき技術

・めっき用PA/PPポリマーアロイ材料の開発
‐マクセルが開発したPdナノ分散MBを、PA/PPアロイ材にブレンドして射出成形することで、PPを含む樹脂に容易にめっきすることが可能となった
‐PAとPPの材料組成、混練方法を検討し、機械特性、めっき性に優れた材料を開発
‐めっき性と２色材料間の密着強度を両立可能な条件を検討しPP比率30%に最適比率を見出した
‐平均で10N/cm以上の密着強度が得られた
・Pd微分散マスターバッチ添加PA/PPポリマーアロイ(めっき部)とPP(非めっき部)との２色成形技術の確立
‐量産形状の2色成形金型を用い、表面性、2色の見切り性、樹脂材料間の密着性に優れた成形技術を確立した
・低温処理におけるめっき反応性、密着性、安定性の優れた無電解NiP液を開発した
・膨潤処理レスプロセスの開発
‐PAと比較して低吸水性を示すPP系材料を使用するため、これまでのような膨潤効果が期待できない
‐そこで、樹脂内からの十分なめっき成長性と高密着強度が得られるめっきプロセスを開発した
・開発したPA/PPアロイを用いて２色成形部品を作製し、めっき性と２色樹脂材料間の密着強度を両立可能なめっき条件を見出した
・完全六価クロムフリー化のめっきプロセスを構築した

自動車用マスクレス部分めっき品
・材料組成、加工条件、アロイ比率を最適化し、2色材料間の密着強度とめっき性(皮膜強度と外観)を両立可能なPA/PPアロイ材料
・開発したPA/PPアロイ材料に適しためっきプロセス

環境規制（REACH）が延期になった動きを受け自動車メーカーではペンディングになっているが
PAに対して安定的にめっきが出来る特徴を活かして非自動車分野で試作検討中

完全六価クロムフリー化でREACH規制に対応
・クロム酸エッチングレスで高密度強度のめっき膜の形成が可能
・前処理から装飾めっき工程における全てのプロセスで六価クロムフリー化を実現し車載規格を満足する耐久性と耐食性が得られる
・自動車業界でニーズの高いPPを使用している

製品開発が完了し非自動車分野で量産検討中
製品形状や材質に合わせて条件の最適化が必要なため、案件に応じて個別対応していく

REACHによる規制が延期になっているため、環境対応技術への緊急性が薄れている