製造環境
微細パターンの線幅計測とエッジ情報の収集を随時行う測長用電子顕微鏡の徹底的な装置小型化と低コスト化
福岡県
株式会社TCK
2021年2月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 超小型電子光学系と異形小型高真空ポンプを内蔵した小型・低価格な測長用電子顕微鏡(CD-SEM)の開発 |
---|---|
基盤技術分野 | 製造環境 |
対象となる産業分野 | 産業機械、半導体、エレクトロニクス |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(使用機器削減) |
キーワード | 小型化、省電力化 |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成25年度~平成27年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
半導体や電子機器関連分野等の川下企業では、多品種少量生産への対応が急務である。実現には製造品の信頼性確保が不可欠であり、それには測長用電子顕微鏡(CD-SEM)が必須となる。しかし、その装置は非常に高額で川下企業の低コスト化ニーズは高い。本提案では、小型化による低価格化(従来比1/10)を達成する為に、超小型電子光学系、異形小型真空ポンプ、線幅判定技術を開発し、小型CD-SEMを実現する
開発した技術のポイント
徹底的な装置小型化と低コスト化に必要な要素技術の開発を推進し、それらを応用集積したCD-SEMを実現
(新技術)
従来と同等の熱電界放出型電子銃採用、全長の短縮のための電子光学系レンズの複合化技術、空間の高効率化が可能な高性能真空ポンプ、高速処理アルゴリズムの開発
(新技術の特徴)
小口径ウェハに特化した装置の超小型化と軽量化および低コスト化
具体的な成果
図1は開発した装置外観
・超小型電子光学系の開発:
‐熱電界放出型電子銃を搭載した電子光学系全長の短縮化および筐体内に内蔵できるほどの小型化・軽量化を実現
‐ウェハを全自動でウェハ内蔵ケースから観察場所となる真空チャンバ内まで搬送する機能や大気中から高真空内へ搬送した際にも真空レベルを悪化させず待機時間をゼロとする機能などを順調に開発できた
‐電子光学系の分解能は現時点で8nmまで達成し市場投入が可能な結果となり、今後は補完研究による更なる高性能化を目指す
・異形小型化高真空ポンプの開発:限定された狭空間内で搭載が可能であり、必要な超高真空を作り出せたことでCD-SEMとしての製品安定度が格段に向上し、小型にも関わらず排気性能が優れていることから本ポンプは単体のみで製品化が可能であり、いくつかの引き合いがある
・線幅判定アルゴリズムの開発:取得したCD-SEM画像の評価を繰り返し、線幅計測用ソフトウェア体系を完成させると共に、必要な処理をアルゴリズムとして再構築し、高速化指針となる処理時間を達成。開発した線幅計測用ソフトウェアを図2に示す。ただし、高精度化のCD測定平均値は、電子光学系の高分解能化におけるノイズに影響を受け、わずかに目標に届かず現在継続中である
研究開発成果の利用シーン
半導体製造における前工程のパターン直接加工やマスク製造、およびデバイス製造における微細パターンの線幅計測を低価格で実現することができる。また、小型高真空ポンプは電子線を代表とする応用装置に不可欠な超高真空環境の生成に低電力かつ省スペースで活用が見込める。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
顧客の設備投資コストなどを鑑みて、開発した測長用電子顕微鏡に加工機能を追加し、さらなる高機能化を図り、近年中の事業化を目指していて開発を実施している。また測長用電子顕微鏡に投資した小型高真空ポンプを単体で事業化するために性能評価試験を実施している最中である。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価
製品・サービスのPRポイント
・徹底的な装置小型化と低コスト化要求に対応して、設備投資に負担を掛けない品質管理計測装置と運用方法を提供する
・多品種少量半導体製造(ミニマルファブ)や小口径化合物半導体製造(~2インチ)の市場拡大に貢献
今後の実用化・事業化の見通し
・本CD-SEMは他の市場流通品と比較すると低価格であるが、購入障壁を下げるための低コスト化を図る
・デモンストレーションの中でユーザの声に耳を傾け、さらなる高度化を図っている
・小型高真空ポンプは既にいくつか引き合いがあり、製品化に向けた取り組みを早急に実施する
・展示会や学会への出展を積極的に行い、市場でのメーカ認知度を高めて販路拡大を目指す
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 有限会社テック・コンシェルジェ熊本 |
---|---|
事業管理機関 | 公益財団法人福岡県産業・科学技術振興財団 |
研究等実施機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 株式会社山口光半導体研究所 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社TCK(法人番号:9330002020723) |
---|---|
事業内容 | 精密機械、情報産業機械等の製造販売 |
社員数 | 12 名 |
本社所在地 | 〒812-0066 福岡県福岡市東区二又瀬1-17 |
ホームページ | http://www.tck-i.jp/ |
連絡先窓口 | 代表取締役 小坂光二 |
メールアドレス | info@tck-i.jp |
電話番号 | 092-710-4100 |
研究開発された技術を探す