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製造環境

医療インシデントの少ない人工肺結露防止装置の開発

愛知県

株式会社 河合電器製作所

2025年1月22日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 人工肺の結露を防止する機能を備えた加温機の開発
基盤技術分野 製造環境
対象となる産業分野 医療・健康・介護
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)
キーワード 人工肺,ウェットラング,結露防止,温風法,加湿器
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 令和2年度~令和4年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本研究は、体外式心肺補助装置に使用される人工肺のガス相出口で発生する結露を防止するための加温機の開発を目指している。2019年から森ノ宮医療大学との共同研究を開始し、必要な温度や風量を収集した。人工肺に直接的に加熱装置を取り付けず、間接的な温風加熱方式を採用し、医療機器として規制を受けない装置を開発することを目標としている。

開発した技術のポイント

人工肺の結露防止のため、必要な熱量を算出する技術を確立した。
人工肺の温度と加温機の温度を比較して制御する温度コントローラーを開発。
自動追尾が可能な可動制御機構を開発したが、事業化においては必要機能を絞り込んだコントローラーに変更。
直接加熱せず、間接加熱方式を採用し、規制をクリアした。

具体的な成果
開発品(試作機)

・人工肺の結露を防止するため、最適な加温機の風量や温度、ケース形状を見出し、専用カバーを用いて人工肺に加温機を装着した際の結露防止条件を導き出した。
・温度コントローラーの開発により、複数点での温度測定と制御が可能となり、安全性が向上した。
・自動追尾機能の開発により、多様な用途での活用可能性が示されたが、事業化においてはシンプルな装置が採用された。

知財出願や広報活動等の状況

本研究開発に関する知的財産権の出願は、名古屋産業科学研究所との協議の上で進めている。人工肺加温機の製作に関する特許出願はまだ完了していないが、侵害予防調査を行った結果、特許の侵害がないことを確認した。
広報活動としては、臨床工学技士や病院関係者へのワークショップの開催、第61回日本人工臓器学会大会、第34回日本臨床工学会への登壇、病院施設への訪問を通して製品PRを行っている。

研究開発成果の利用シーン

本開発により、医療現場での人工肺の結露防止に加温機が活用される見通しである。特に、救急医療や長時間にわたる体外循環装置の使用が必要な手術や治療において、人工肺の結露防止技術が重要な役割を果たす。また、今後は同様の結露問題を抱える他の医療機器にも応用できる可能性がある。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

本プロジェクトでは、人工肺の結露を防止する加温機の試作品を完成させ、臨床工学技士とのワークショップを通じて現場のフィードバックを反映した設計が行われている。加温機は医療現場における使用が見込まれており、既に複数の医療機関での基礎研究評価を進めており、研究結果を踏まえて加温機の改善・見直しを行っている。販売予定は2025年を目指す。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

本製品は、人工肺の結露を防止し、ガス交換性能の低下を防ぐ革新的な装置である。専用カバーと加温機を組み合わせることで、医療機器としての規制を受けず、導入コストを抑えつつも高い性能を実現している。人工肺の結露防止に特化した温度制御と形状により、血液への熱影響を抑えながら安全に長期間の結露対策を行うことができる。また、医療従事者が複雑な設定を行う必要はなく、専用カバー取付後は電源ボタンを押すだけで結露防止に最適な温度、風速の加温をすることができる。

開発品使用時 ガスフラッシュ後ガス出口様子
結露対策なし ガスフラッシュ後ガス出口様子
開発品使用時の結露防止効果
今後の実用化・事業化の見通し

現在、病院施設と共同で製品の基礎研究を行っており、2025年に臨床試験を実施する予定である。臨床研究のフィードバックを基に更なる改良を行いながら、事業化を進める。加温機は、人工肺の結露防止に加え、他の医療機器への応用が期待されている。今後も製品の改善とマーケティング活動を進め、国内外での市場拡大を目指していく。

実用化・事業化にあたっての課題

加温機の事業化に向けた課題としては、製造コストの抑制や市場ニーズに応じた製品のバリエーション展開が挙げられる。また、臨床試験でのフィードバックを反映し、さらに操作性や機能の改善を進めることが重要である。特に、医療現場での使いやすさと安全性のバランスを取ることが今後の課題となる。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社 河合電器製作所
事業管理機関 公益財団法人名古屋産業科学研究所 中部TLO
研究等実施機関 学校法人 森ノ宮医療大学

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社 河合電器製作所(法人番号:6180001023423)
事業内容 工業用電気ヒーターの設計・製造・販売/熱のコンサルタント事業
社員数 145 名
生産拠点 名古屋市天白区、東郷町、瀬戸市に生産工場を保有
本社所在地 〒470-0162 愛知県愛知郡東郷町春木勘右衛門新田113
ホームページ https://www.kawaidenki.co.jp/
連絡先窓口 矢木 茜吏
メールアドレス yagi.akari@kawaidenki.co.jp
電話番号 0561-39-1151