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複合・新機能材料

活物質用の新規バインダーの開発による次世代の高性能リチウムイオン電池(LIB)の高性能化、低価格化

愛知県

中京油脂株式会社

2020年4月12日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 革新的電池部材評価技術に基づく次世代リチウムイオン電池向け新規水系バインダーの研究開発
基盤技術分野 複合・新機能材料
対象となる産業分野 自動車、情報通信、電池、エレクトロニクス
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、環境配慮
キーワード 水系バインダー、正極、負極、三元系
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 平成25年度~平成27年度

プロジェクトの詳細

事業概要

車載用を代表として、リチウムイオン二次電池(LIB)は用途の広がりとともに更なる高性能化、低コスト化を要求されているが、電極を形成する部材、特に、バインダーについては次世代LIBの要件を満たすものがない。革新的な電池部材評価技術をもとに、高性能で低価格な新規活物質による次世代リチウムイオン電池に対して最適化された水系バインダーを開発する

開発した技術のポイント

次世代の高性能LIBに向けた活物質をターゲットとし、(1)粒子分散性、(2)pH制御、(3)耐電気分解性といった複数の機能特性を持った新規水系バインダーを開発
(新技術)
従来の乳化重合法による製造方法と比べ、高分子を乳化によりバインダーとする手法を用いて、種々のポリマーアロイをバインダーとして適用可能とする技術。
(新技術の特徴)
ポリマーの種類や比率を任意に変更することで、歩留まり向上、電極劣化防止、ポリマー成分の電気分解防止が可能である

具体的な成果

・バインダーの設計を行い、熱的安定性、電気化学的安定性の評価を基に使用する樹脂の選定をい、正極用には、スチレン-飽和炭素鎖子ポリマーとアクリル系コポリマーの複合化、負極用にはスチレン-飽和炭素鎖+不飽和側差コポリマーを用いたバインダーが適し、乳化技術を用いたバインダーの製造方法によってバインダーとした
・正極においては、三元系活物質に着目し、強度、均一性に優れた塗膜が得られること、負極においては、活物質へのCMCの吸着が課題となることを見出し、スラリーの組成と混合工程の影響が大きいことを示し、これらの検討により安定した正常の塗膜が得られ、各種評価結果が安定して行えた
・ユーザーからのヒアリングなどを基に、正極は三元系活物質、負極はグラファイトを用いた電極についての評価を行った結果、残留水分、活物質表面の変質などが今後の課題となり、負極向けに関しては、強度を改善した塗膜を用いた評価などを実施する必要がある

研究開発成果の利用シーン

溶剤名バインダーからの置き換えにより、環境負荷の低減が期待される。また、(1)粒子分散性、(2)pH制御、(3)耐電気分解性といった複数の機能性を有するバインダーにより、リチウムイオン電池の生産性向上、並びに性能向上が期待される。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

電池メーカーにて小量ながら採用を受け、継続的に販売中。また、派生技術として固体電解質用のバインダーなどの引き合いを受けている。

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

・リチウムイオン電池(LIB)の高性能化と低価格化に貢献するバインダーの提供
・粒子結着性、粒子分散性、pH制御、耐電気分解性の機能を保有

今後の実用化・事業化の見通し

・ユーザー2社において良好な評価結果を得て、採用に向けた評価が進み、そのうち1社では正極向けバインダーとして、他社水系バインダーよりスラリー安定性、塗工性、塗膜強度、電池特性の各点でバランスが良いとの評価を受けている
・電池メーカーでは、塗膜強度、電池特性ともに他社品より良好との評価を受け採用され、現在、販売を継続している。
・平成28年4月より、LIBでの検討が予定され、採用実績が重要視されることが多いため、上記2社での採用を確定し実績化することで、他社や大きな市場となっている中国への展開を図る

実用化・事業化にあたっての課題

・量産性の改善

事業化に向けた提携や連携の希望

・電池の設計・性能評価技術を持つ企業との連携・提携

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 中京油脂株式会社 開発センター
事業管理機関 一般財団法人ファインセラミックスセンター
研究等実施機関 公立大学法人首都大学東京 都市環境学部 分子応用化学コース 金村研究室
一般財団法人ファインセラミックスセンター

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 中京油脂株式会社(法人番号:3180001020076)
事業内容 機能性油化学品を主体とした各種工業化学品の製造・販売
社員数 105 名
生産拠点 名古屋工場(愛知県あま市)、愛知工場(愛知県半田市)、アメリカ、ドイツ、タイ
本社所在地 〒490-1212 愛知県あま市小橋方大屋敷5番地
ホームページ http://www.chukyo-yushi.co.jp/
連絡先窓口 加藤丈明(カトウトモアキ)
メールアドレス j-kato@chukyo-yushi.co.jp
電話番号 052-442-3330