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接合・実装

ガラス棒を利用してガラスの接合を行う溶接技術で、信頼性が求められる用途・市場に対する有機ELの展開に貢献!

熊本県

新日本ステンレス工業株式会社

2020年4月11日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 有機EL素子の高品位封止技術の構築とその装置化に関する技術開発
基盤技術分野 接合・実装
対象となる産業分野 エレクトロニクス、有機EL
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、デザイン性・意匠性の向上
キーワード ガラス接合、極細ガラス棒、レーザー溶接
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 平成24年度~平成26年度

プロジェクトの詳細

事業概要

有機EL素子の保護封止には、従来、水分や酸素の遮断力が小さい有機系接着剤が用いられているため、素子の長寿命化を妨げている。本研究開発では、無機物による有機EL用ガラス基板の封止技術を実現するためにガラス溶接棒を用いたレーザーによるガラス接合の工法を開発し、寿命・信頼性の工場のために欠陥および歪を低減させるとともに、スパッタが出ないクリーンなガラス溶接封止技術を確立する。

開発した技術のポイント

欠陥のないガラス同士の接合部を形成し、大気中の水分や酸素の無透過を実現することで、有機EL素子の信頼性向上および長寿命化を実現するとともに、製造歩留まりを向上させることで有機ELを高品位・低価格化できるガラス溶接技術を開発する
(新技術)
ガラス封止にガラス棒を用いた溶接を利用し、有機EL素子内部を大気から隔離する
(新技術の特徴)
連続体であるガラス棒に入熱するため、溶融が均一となり封止に適した接合部を形成する
従来の有機系接着剤よりも狭い幅で封止の接合部を実現する

ガラス溶接封止部の近傍で発光する有機EL
具体的な成果

1.ガラス溶接棒の成形技術の開発、形状最適化、品質管理技術の構築
高密度かつ欠陥の少ない連続体である極細ガラス棒(図2,3)を用いることで、溶接前の作業が効率化できるとともに欠陥やひずみの少ない高品位なガラス溶接を実現する。
2.レーザ溶接工法および被溶接材料の開先形状の最適化
フリットガラスを用いた従来のガラス接合とは異なり連続した溶接ビードが得られる(図4)ことに加えて、ガラス端面に開先を設けた拝み溶接することが可能である(図5)。
3.微小欠陥のインライン検査技術の開発
接合されたガラス基板の内面の閉口き裂、および溶接部の欠陥を検出する画像処理技術を検証し、製造ラインに架装を目的とした試作装置を開発した(図6、7)。

開発した極細ガラス棒
ガラス棒の表面性状
レーザー溶接によるガラス基板接合部の状態
拝み溶接によるガラス基板接合部の外観
ガラスの微小欠陥検査装置外観と構造
ガラスの微小欠陥検査の処理フローとソフトウェア画面
知財出願や広報活動等の状況

【出願番号】特願2012-132733(P2012-132733)
【公開番号】特開2013-258006(P2013-258006A)
【発明の名称】表示パネルの製造方法

研究開発成果の利用シーン

・ガラス棒を利用してガラス接合を行う溶接技術を利用した溶接サービス
・極細のガラス棒
・ガラス板の溶接部の欠陥を検出、定量評価する装置

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

研究で獲得した成果を展示会等で積極的にPRした結果、国内外問わない幅広い業種の企業や研究機関からサンプルの提供依頼を受けることができた

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、素材・部品製造、試験・分析・評価、技術ライセンス

製品・サービスのPRポイント

‐無発光部の狭小化による有機EL素子の高品位化に貢献
・従来の接着封止技術よりも封止部の幅を狭くかつ有機膜に近接できるため、無発光部を狭小化することができる
‐有機EL素子の無発光部の枠が目立たず、タイリングによって照明の大型化が実現できるため、有機EL素子の高品位化に貢献する
・有機EL素子の低価格化に寄与
‐接着剤やガラスフリット溶接よりもハンドリングが容易で、かつ清浄な封止を実現できる
‐ガラス基板の特長として、透明度が高く、廉価かつ長寿命であるため、有機EL素子の低価格化に寄与する

今後の実用化・事業化の見通し

・サポイン事業での研究開発成果は有機EL照明の封止のみならず、ガラス接合技術及び微細ガラス成形体製造技術として様々な分野への応用が期待できるため、これらの出口を見据えた研究を引き続き行う予定である
・溶接工法の見直しにより無発光部分を狭小化することに成功したことにより、小型素子のタイリングにより照明の大型化を実現できると見込まれ、パネル製造設備の大型化は必要なくなり、さらに全体寸法及び面形状に自由度が増したため、ガラス基板有機EL利用の新たな分野の開拓に寄与できる。

実用化・事業化にあたっての課題

照明用有機ELは市場自体が停滞気味あることに加え、柔軟性タイプが市場の中心となりつつあることから、ガラス基板デバイスの新たな利用分野開拓が必要と思われる。開発品であるガラス棒を電極部品として用いる他製品への応用について多くの引き合いがあり、こちらの開発が注目されている。

事業化に向けた提携や連携の希望

有機EL照明をターゲットに進めてきた取り組みではあるが、ガラス板同士あるいは他材料との接合が可能な工法であるため、異形のディスプレイなどにも転用可能であることから、自動車業界との提携や連携を希望する。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 新日本ステンレス工業株式会社
事業管理機関 公益財団法人くまもと産業支援財団 企業支援部 産学連携推進室
研究等実施機関 熊本県産業技術センター ものづくり室

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 新日本ステンレス工業株式会社(法人番号:8330005003940)
事業内容 ・半導体製造装置用精密板金・フレームおよび機械加工・自動車製造ライン設備・工作機械用部品加工・航空機部品の機械加工および溶接部品加工 (MIL規格準拠)
社員数 80 名
生産拠点 本社(熊本市)、合志事業所(合志市)
本社所在地 〒861-8037 熊本県熊本市東区長嶺西1-1-67
ホームページ http://www.shin-nippon.co.jp/
連絡先窓口 新日本ステンレス工業株式会社本社
電話番号 096-382-3101