研究開発された技術紹介

金属とゴムとの積層加硫接着では、金属表面にスプレー等で加硫接着剤を塗布して接着処理を行うが、接着剤の溶剤に揮発性有機化合物(VOC)を含んでいるためVOC削減対策が急務となっている。本研究では、VOC削減に対応するため、加硫接着剤を予め薄膜化してポリエステルフィルム等にはさみ、両面テープのように接着面に熱転写ラミネート処理できる新規接着フィルムおよび本フィルムを用いた新規接着工法を開発する

金属とゴムとの積層加硫接着工程において、加硫接着剤を予め薄膜化してポリエステル等に挟み、接着面に熱転写できる新規接着剤フィルムと本フィルムを用いた接着工法を開発する
(新技術)
新規接着剤フィルムとその接着工法を開発する
(新技術の特徴)
加硫接着工程において、VOC削減とコスト低減の双方を実現する

・加硫接着剤フィルムの開発
‐接着剤を離形フィルムに塗布し、強度を確認した
・離型フィルムの開発
‐再生品を混ぜた無延伸PETによりコストを削減した
・新接着工法の開発
‐条件を最適化、3次元形状への熱転写を確認した
・新接着工法による防振ゴムの開発
‐接着力を確認、防振ゴムのコスト削減も実現した

・新規加硫接着剤、接着剤フィルム
・接着剤フィルム製造装置
・加硫接着剤塗布装置、加硫接着剤塗布サービス

・VOCの発生濃度を抑え、IPN構造を加えた11種類の加硫接着剤を配合した
・3種類の加硫架橋系接着剤を離型フィルムに塗布した接着剤フィルムを作成した
・表面処理等を最適化し、離型性、製造コストの面から、無延伸PETを離型フィルムとして選定した
・スロットダイコーターテスト機の条件を最適化し、接着フィルム製造条件を確立した
・熱転写条件を最適化し、3次元形状への塗布を行った

・新規接着剤フィルムによる加硫接着市場の拡大へと寄与
‐VOCの発生を低レベルに抑制・廃止する接着剤フィルムを実用化したことにより、加硫接着プロセスの適用範囲が大幅に拡大する
‐適用範囲が拡大することによって需要の拡大が予想されることから、市場が拡大する
・新規接着剤フィルム・工法の開発によるコスト削減
‐安価なPETを離型フィルムに用いることで、接着工程のコストの大幅な削減が可能となる

今後は、この事業で開発された接着剤フィルムを早期に事業化すべく、各サブテーマの継続研究を続けていく
・複雑形状(3次元形状)に対応できる真空ラミネート成形技術の開発する
・防振ゴム製造と性能・コストの評価を行う
・今後は5年以内に国内外で販売を行い年商5億円以上を目標とする(商標名:ACULAH)
・ケミカルタンクや鋼管ライニング用接着剤フィルムとしても拡販する

複雑な3次元形状への適応

免震装置メーカ-の設計部門・製造技術部門との連携（実施中）