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接合・実装

溶接・非破壊検査技術の開発を通じて新合金を用いた高性能なメンテナンスフリー制震ダンパーの実用化が視野に!

兵庫県

淡路マテリア株式会社

2020年4月12日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 長周期地震動にも対応できる建築用超高性能メンテナンスフリー制震ダンパーを実現するためのFe-Mn-Si系合金制震材料の溶接・非破壊検査技術の開発
基盤技術分野 接合・実装
対象となる産業分野 環境・エネルギー、産業機械、建築物・構造物、工作機械
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、環境配慮、低コスト化、デザイン性・意匠性の向上
キーワード 溶接、非破壊検査、ダンパー、制震、制振、高疲労特性
事業化状況 事業化に成功
事業実施年度 平成23年度~平成25年度

プロジェクトの詳細

事業概要

我が国は常に大地震の脅威に曝されており、昨今の大震災では超高層ビルが共振して激しく揺れる長周期地震動の問題も注目され、制震技術の高度化による安心・安全な都市づくりが喫緊の課題である。本研究は、我々が開発した疲労特性に極めて優れるFE-MN-SI系制震合金に関して、溶接・非破壊検査技術を確立し、世界初の低コストな長周期地震動対応メンテナンスフリー制震ダンパーを実現させるための技術課題を解決するものである

開発した技術のポイント

(新技術)
・Fe-Mn-Si系合金母材(制震材)の量産化
・Fe-Mn-Si系合金圧延材の表面きず発生挙動と外観検査基準
・Fe-Mn-Si系合金と建築用鋼材との異材継手における冶金的現象の解明
・Fe-Mn-Si系合金と建築用鋼材との異材継手用溶接材料
・Fe-Mn-Si系合金と建築用鋼材との異材継手の最適溶接条件
・Fe-Mn-Si系合金の共金継手用溶接材料
・Fe-Mn-Si系合金母材の共金継手の最適溶接条件
・Fe-Mn-Si系合金と建築用鋼材の異材継手溶接部に対する超音波探傷技術
(新技術の特徴)
・極めて疲労耐久性に優れ、被災後もメンテナンスフリーで使用できる制震ダンパーの実現が可能になる
・長周期地震動に対しても安心・安全な建築構造物の実現が可能になる

具体的な成果

・Fe-Mn-Si系合金母材および溶接材料の作り込み
-母材、溶接材料の製造手法を確立するとともに、安定した溶接継手性能を得るための溶接条件を最適化した
・溶接部の非破壊検査技術と低ヒューム作業環境を実現するための溶接機の開発
-Fe-Mn-Si系合金溶接部の健全性を評価できる超音波探傷技術を確立した
-低ヒューム作業環境を実現しながら部材製造を可能とする専用溶接機を開発した
・本技術を用いたメンテナンスフリー制震ダンパーの試作と性能検証
-本技術を用いた製作工程管理手法を確立して試作した実機サイズ制震ダンパーの優れた耐久性能を実証できた

知財出願や広報活動等の状況

特許出願 発明の名称 「制振合金」 出願番号 特願2012-287955 登録番号 特許第6182725号
     発明の名称 「FMS鋼用溶接ワイヤおよび溶接継ぎ手」 出願番号 特願2014-26400 登録番号 特許第6384708号
平成27年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞受賞(2015年)
   業績名 「疲労耐久性10倍の新合金と耐疲労制振ダンパーの開発」 
   受賞者 澤口孝宏(NIMS)・櫛部淳道(竹中工務店)・丸山忠克(淡路マテリア)・津﨑兼彰(九州大学)
第29回 独創性を拓く先端技術大賞 産経新聞社賞受賞(2015年)
   論文名 「世界最高峰の疲労特性を有するFe-Mn-Si系新合金を用いた長周期・長時間地震動対応制振ダンパーの開発」
   受賞者 井上泰彦・櫛部淳道・梅村建次(竹中工務店)/杉村誠一・千葉悠矢(淡路マテリア)/澤口孝宏(NIMS)/水野幸隆(日本高周波鋼業)/津﨑兼彰(九州大学)
2016年日本建築学会賞(技術)受賞
   業績名 「疲労耐久性に優れた新合金鋼制振ダンパーの開発」
   受賞者 ・櫛部淳道(竹中工務店)・澤口孝宏(NIMS)・丸山忠克(淡路マテリア)・津﨑兼彰(九州大学)

研究開発成果の利用シーン

・開発した量産型Fe-Mn-Si系合金母材や同合金に最適化した溶接材料との組み合わせにより、制震デバイスの疲労耐久性を既存品に比べて5~10倍程度向上することができる。高層建築物やインフラ系鋼構造物の制振デバイスに活用が可能。
・Fe-Mn-Si系合金の加工難削性に培われた加工技術や特異な冶金特性を示すFe-Mn-Si系合金溶接に関する技術指導が可能。
・Fe-Mn-Si系合金圧延材特有の不均質な超音波伝搬特性対する探傷技術指導。
・Fe-Mn-Si系合金溶接部の特性に基いた非破壊検査技術を利用したサービス。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・電炉系材料メーカーへの委託製造により、大型のFe-Mn-Si系合金母材の製造を実現した。
・前項のFe-Mn-Si系合金からせん断パネル型制震ダンパー用心材を16体製作し、制震ダンパー製作社へ納入した。その後納入先でダンパー完成品として16基組み立てられ、2014年度に商用建築物への設置を完了した。
・その後のNEDO助成事業を含む共同研究により、Fe-Mn-Si系合金と建築用鋼材との異材溶接に最適化した溶接ワイヤの開発を進め、最適溶接条件を確立した。
・Fe-Mn-Si系合金の普及を目指して高炉系材料メーカーへの委託製造により連続鋳造と圧延による同母材の本格的な量産製造技術を確立した。
・前項までの実績をベースに、2017年度に量産型制震材料(FMS合金)と建築用鋼板を組み合わせ、溶接工作によって全長6m級のブレース型制震デバイス心材16体を製作した。
・前項の心材は制震デバイス製作メーカーへ納入後、2018年にブレース型制震デバイスとして16基完成し、商用建築物への設置を完了した。

ブレース型制震デバイス
提携可能な製品・サービス内容

加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価、技術ライセンス

製品・サービスのPRポイント

・制震ニーズを満たした建造物の提供とメンテナンスコストの削減に貢献
-優れた低サイクル疲労特性を持つ新開発Fe-Mn-Si系合金を使用した制震ダンパーは、従来品と比較して地震後の使用材料の累積ひずみによる疲労損傷が低減される
-昨今長周期地震動への対策に関する需要が増加している中で、制震ダンパーとしての疲労耐久性がより強化された当該制震ダンパーを導入することで、制震ニーズを満たした建造物の提供をサポートすることが可能である
-制震ダンパーのメンテナンスフリー化により、被災後の建物の復旧期間、復旧コストが大幅に低減され、事業継続性向上に寄与する
-Fe-Mn-Si系合金は建築用鋼材に比べて疲労特性に加えて防錆面でも優位性があるため、外部露出環境となるインフラ系構造物用メンテナンスフリータイプの制震ダンパーへの応用が可能である
・作業員の安全確保のために要するコストを削減
-Fe-Mn-Si系合金のような高マンガン鋼の溶接時に発生する人体に有害なヒュームを吸引する機構を持つ溶接機を開発した
-作業員のヒューム吸入を防ぎ溶接作業環境の改善と労働衛生上のリスクを低減して安全性を確保することができる

今後の実用化・事業化の見通し

・2017年~2018年に納入したFe-Mn-Si系合金製心材の実績をベースとして、2019年では形状改良を加えた心材の評価試験体(小型試験体、実機サイズの縮小試験体)を製作して納入し、現在は客先で疲労耐久性等の評価が進行中である。
・2020年には前項の評価結果をもとに製品認定(材料評定)を進めるとともに、性能を損なうことなく製作上のコストダウンを図るための検討に取り組む。
・さらに2021年~2022年には具体的に搭載計画としている建築プロジェクトに向けてFe-Mn-Si系合金製心材(全長7m級)の商用製作に取り組むこととしている。
・前項を実現するために高炉系材料メーカーへFe-Mn-Si系合金母材の連続鋳造+圧延による材料製造を委託するが、予定プロジェクトだけで消化しきれない当材料は、当材料の機能応用を検討している複数の企業や大学等の研究機関へ材料の販売という形でのビジネスにも展開する。

実用化・事業化にあたっての課題

・Fe-Mn-Si系合金が製造難易度の高い材料であるため、規格品に比べて1回あたりの製造量が多くならざるを得ず、一方でその消費量は中長期になることからおのずと入荷時点で中小企業にとっては財務インパクトのある高額の材料費の支払が生じ、その資金回収の期間が長くなる点
・建築材料として使用する場合は、母材、溶接材料ともに国土交通省の認定が必要であるが、一般認定されるためには、製造(溶解)回数を積み重ねる必要があり、長期間を要し、かつ財務的負担が大きい

プロジェクトの実施体制

サポイン事業者 淡路マテリア株式会社 本社・工場
事業管理機関 株式会社竹中工務店
研究等実施機関 株式会社竹中工務店
国立研究開発法人物質・材料研究機構

サポイン事業者 企業情報

企業名 淡路マテリア株式会社(法人番号:5 1400 0108 5022)
事業内容 鋼製突合せ溶接式管継手、油井管用カップリング、高耐力マイクロパイル、鋼管製ねじ加工製品、鉄系形状記憶合金製品、超電導バルク体
社員数 70 名
本社所在地 〒656-0015 兵庫県洲本市上加茂4番地2
ホームページ http://www.awaji-materia.co.jp/
連絡先窓口 東京支社 開発グループ
メールアドレス info@awaji-m.jp
電話番号 03-3295-1731