複合・新機能材料
水系の薬剤によって繊維処理を従来比20~30℃低温で行うことで、省エネルギー・環境負荷の低減に貢献!
京都府
明成化学工業株式会社
2020年4月10日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 低温硬化型水系繊維処理剤の開発 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 自動車、衣料・生活資材 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(耐久性向上)、環境配慮 |
キーワード | 低温架橋、低温硬化、接着 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 平成21年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
日本における繊維加工は、高機能、高付加価値製品の開発だけでなく、環境や省エネルギーに配慮した製品と加工プロセスの開発を行っていく必要がある。そこで今般、従来の繊維処理剤よりも高い性能を有し、1.有害性物質の発生が低減できる繊維処理剤の開発、2.エネルギー消費量を低減できる繊維処理剤の開発を行い、3.この繊維処理剤を使う加工プロセスを行う。
開発した技術のポイント
高性能かつ風合いの良い硬化処理が可能な、低温硬化型繊維処理剤を開発
・短工程での低温硬化型水系繊維処理剤製造プロセスを開発
・適切な浸透剤の開発→処理剤と浸透剤との併用効果で20%以上の性能向上
・風合いの向上→処理後の繊維の柔軟性を20%向上
(新技術)
<低温硬化型水系繊維処理剤>
・無害な水系の処理剤であり、環境への負荷がなく、作業環境にも影響しない
・低温での加工が可能であり、加工に必要なエネルギー(加工コスト)を低減させる
・衣料品や生活資材に用いるのに適性のある風合い、堅牢度
・自動車のタイヤに用いるのに適切な耐熱接着性
具体的な成果
・低温硬化型繊維処理剤の製造プロセスを開発
-硬化剤の特定の分子設計に加え、反応条件と処方・触媒を検討し、従来制御できなかった反応を制御可能とした
-撥水分野の従来品と比較し、従来品を170℃で処理するのと同等の性能を、130℃で処理した開発品によって得ることに成功した
-天然皮革分野の従来品と比較し、従来品と同様の染色堅牢度を発揮した
・併用する浸透剤を検討
-疎水性繊維であるポリエステルに対し、300ミリ秒で表面張力を臨界表面張力値(43mN/m)以下に下げる(短時間で濡らすことができる)浸透剤を開発
-一般衣料繊維やマイクロファイバー素材、天然皮革、タイヤコードに対する浸透剤の効果を検討
-開発浸透剤の利用により、濡れ性の向上や耐久撥水性の向上効果があることを確認
・高耐久性と風合い向上の両立
-低温硬化剤と柔軟剤を単純に併用しても高い耐久性や柔軟風合いを得られないことを確認
-低温硬化剤成分と、柔軟成分(シリコーン化合物)とのハイブリッド硬化剤を開発
-ハイブリッド硬化剤の使用により、低温硬化剤以上の柔軟性を持ち、風合い測定機による20%以上の柔軟性効果を確認
研究開発成果の利用シーン
本開発の低温硬化型繊維処理剤は、基材を架橋させることができるので幅広い分野で使用できる。例えば、洗濯しても、撥水性の低下しない耐久性のある衣料を提供したり、洗濯や摩擦に対して強いプリントを衣料に施すことが可能になる。また低温で架橋できることから、お客様での使用時に以下のような効果が発揮できる。
・繊維加工時に使用する、エネルギー消費量を減少させることができる。
・低温でしか、加工できなかった素材(天然皮革、人工皮革、ポリプロピレンなど)に対応できる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
サポイン事業実施時に得られた知見から派生した技術は弊社の製品開発に応用し、派生製品として自動車関係のお客様に採用され事業化を達成している。また現在、低温硬化型繊維処理剤について採用に向けたお客様でのパイロットスケールテストが数社で実施され、それに伴って供給数量が増加している。また、新たにサンプルワークを行ったお客様についても良好な結果が得られており、今後の採用が見込まれる。このような状況から、低温硬化型繊維処理剤は近々複数のお客様に採用され、継続的な使用が開始されると見込んでいる。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・耐久性向上→開発した硬化剤は、従来の硬化剤より性能が優れているため、繊維に加工する薬剤の耐久性向上が可能となる
・省エネルギー化→開発した硬化剤は、従来の硬化剤より20~30℃低温の熱処理で効果を発揮するためエネルギーコスト削減につながる
・環境負荷削減→水系かつ安全性の高い薬剤のため、環境にやさしい
今後の実用化・事業化の見通し
サポイン事業実施時に得られた知見から派生した技術は弊社の製品開発に応用し、派生製品として自動車関係のお客様に採用され事業化を達成している。また現在、低温硬化型繊維処理剤について採用に向けたお客様でのパイロットスケールテストが数社で実施され、それに伴って供給数量が増加している。また、新たにサンプルワークを行ったお客様についても良好な結果が得られており、今後の採用が見込まれる。このような状況から、低温硬化型繊維処理剤は近々複数のお客様に採用され、継続的な使用が開始されると見込んでいる。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 明成化学工業株式会社 |
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事業管理機関 | 公立大学法人大阪(大阪府立大学) |
研究等実施機関 | 公立大学法人大阪(大阪府立大学) |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 明成化学工業株式会社(法人番号:8130001002025) |
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事業内容 | 1.一般化学工業薬品の製造および販売2.染料ならびに顔料の製造および販売3.医薬品中間物の製造および販売4.医薬部外品ならびに化粧品原料の製造および販売5.機械および雑貨の販売6.前各号に関連する輸出業務7.前各号に附帯関連する一切の業務 |
社員数 | 227 名 |
生産拠点 | 本社工場(京都府)、津工場(三重県) |
本社所在地 | 〒615-8666 京都府京都市右京区西京極中沢町1 |
ホームページ | http://www.meisei-chem.co.jp |
連絡先窓口 | 技術開発部部長 橋本貴史 |
メールアドレス | t.hashimoto@meisei-chem.co.jp |
電話番号 | 075-312-8107 |
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