立体造形
柔軟で応力緩和性を有する軟質複合化フィルムの開発により、密着して皮膚と一体となる全く新しい粘着フィルムを実現
滋賀県
東洋化学株式会社
2020年3月24日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 次世代絆創膏に不可欠な軟質複合化フィルム成形技術の開発 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、情報通信、印刷・情報記録 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加) |
キーワード | 応力緩和、低弾性、フィット感、目立ちにくい |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 平成22年度~平成24年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
肌に密着して菌の侵入を阻止する柔軟性の高いプラスチック材料を母材とし、破れにくさと剥がれ易さを両立する弾性プラスチックを強化材として複合化することにより、これまでになかった非常に柔軟な軟質複合化フィルムを開発する。これには、柔軟な領域で異なる二つの特性を持つ材料を複合化するため、新たな複合化手法が必要であり、通常のフィルム成形技術にはない微小荷重制御を始め高度な連続成形制御技術を確立する。
開発した技術のポイント
湿潤療法の理論に基づく、新しい高機能絆創膏(次世代型絆創膏)の開発に不可欠である肌に隙間なく密着して外部からの水や雑菌の侵入を防ぎ、違和感なく体の動きに追随する柔軟な高性能粘着フィルムを開発する
(新技術)
大きく異なる二つの特性を持つ異種材料を複合化した高精度・超軟質テープを開発する
(新技術の特徴)
菌の浸入を阻止する柔軟性とムレやかぶれなどを防止する高透湿性の両立、フィット感を確保する薄膜化等が実現する
具体的な成果
・性能と樹脂特性との相関関係の研究
-医療用ドレッシング材として必要な評価方法をモニターテストと比較することにより確立した
・低弾性率樹脂の開発
-確立した評価基準をクリアする樹脂を合成した
・複合化フィルムの開発
-複合化手法により貼付に適したフィルムを開発し、塗工装置等を改良し、目的とする絆創膏を連続的に製造できることを確認した
知財出願や広報活動等の状況
特許2件取得済み、商業誌に記事を2件掲載
研究開発成果の利用シーン
関節等の動きのある部位に貼付しても、違和感を感じず、皮膚と密着することで防水性が高く、まったく目立たない絆創膏(接客業、理美容業界あるいは、おしゃれを楽しむ女性など見せることを意識したハンドケア(さかむけ、あかぎれなど)に最適)、柔らかく違和感のない貼付性能を発揮するため、長時間にわたって貼付する医療用センサーの固定用テープや、従来フィットしにくい複雑な形状部位(手指の股や肘、膝などの可動部位)にも密着して貼付できる大型絆創膏などに活用できるものと考えられる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・医療用ドレッシング材として必要な物性の評価方法を、モニターテストと比較することにより確立した
・低弾性樹脂として最適な樹脂組成を確立した
・最適な複合化形態・複合比率を明らかにし、製造装置を設計・据え付け、目的とする絆創膏が連続的に製造できることを確認した(試作段階)
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
・貼付時の違和感を感じさせない粘着フィルムを実現
-非常に柔らかく、応力緩和作用をもつ樹脂を開発したことで、体の関節等、動きのある部位に貼付しても、ほとんど違和感(つっぱり感)を感じない粘着フィルムを実現した
・透明で、皮膚のシワにまで馴染み、皮膚と一体化することで、貼付時にほとんど目立たない粘着フィルムを実現
-一般的なウレタンフィルムと比較しても非常に目立たないフィルムである(写真参照)
・皮膚のシワにまで入り込み、密着して高い防水性を発揮
-皮膚に貼付した場合、そのフィルム特性により、皮膚のシワにまで入る込むことで皮膚と一体化して高い防水機能を発揮する
今後の実用化・事業化の見通し
・弾性が低く蒸れにくいため、皮膚かぶれのリスクが低いと考えられ、救急絆創膏や医療機関向けのドレッシングフィルムとして期待され、また皮膚に馴染んで目立たない特性から、化粧用のシミ・そばかす隠しなど、医療分野以外の展開も想定されている
・現在、フィルム成形・粘着加工後、微粘着タイプの工程フィルムに貼替えてハーフカット加工を行っているこの原反を用いた絆創膏加工が可能であることを確認している
・サンプルの無償提供や技術資料の部分開示を行っている
・展示会で紹介等を行い、事業化に向けたPRを実施
実用化・事業化にあたっての課題
粘着テープとしての取り扱い性を向上させるための加工がうまくできず、製品化への障害となっている。
事業化に向けた提携や連携の希望
工程フィルムの加工技術を持つ加工会社と連携しながら、問題点を検証し、解決策を模索している。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 東洋化学株式会社 栗東開発室 技術部 |
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事業管理機関 | 公益財団法人滋賀県産業支援プラザ |
研究等実施機関 | 滋賀県工業技術総合センター |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 東洋化学株式会社(法人番号:9160001010081) |
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事業内容 | 救急絆創膏(一般医療機器)の製造販売及び一般用医薬品の製造販売 |
社員数 | 95 名 |
生産拠点 | 日野本社 |
本社所在地 | 〒529-1606 滋賀県蒲生郡日野町寺尻1008番地 |
ホームページ | http://www.toyokagaku.com/ |
連絡先窓口 | 品質保証部 矢野昌彦 |
メールアドレス | yano@toyokagaku.com |
電話番号 | 0748-52-5000 |
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