立体造形
溶融金属が細部まで行き届く減圧注湯法により薄肉複雑形状の鋳造品の製造を実現
北海道
札幌高級鋳物株式会社
2020年3月23日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 耐熱鋳鋼複雑薄肉化のための減圧注湯法の開発 |
---|---|
基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 自動車、産業機械 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化) |
キーワード | 複雑薄肉化、熱処理治具、耐熱鋳鋼、砂型鋳造 |
事業化状況 | 研究中止または停滞中 |
事業実施年度 | 平成21年度~平成21年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
自動車部品製造には熱処理は不可欠であり、これに用いられる治具は加熱急冷のヒートサイクルを何度となく繰返す。熱処理効率向上には製品増量の為の治具軽量化、省体積化が重要であり、具体的には治具薄肉省体積化がポイントになる。しかし、熱処理治具材料は鋳鉄ではなく高合金鋳鋼となるため、溶融金属の流れが悪く薄肉複雑化は困難であった。そこで、溶融金属の流れ改善の為の吸引(減圧)技術を用い、複雑薄肉形状の製造を可能としたい
開発した技術のポイント
複雑かつ現行鋳造品以上の薄さを実現させる
・減圧注湯法による鋳造技術の開発最薄部:3mm
(新技術)
<減圧注湯法による耐熱溶融金属の鋳造>
・油圧ポンプによるガス排出の上で注湯
(特徴)
・内部残存空気を減圧によって極力排除
・残存空気の背圧を小さくして溶湯の流れを改善
・薄肉複雑形状でも細部にまで行き届く鋳造治具を製造する減圧注湯法を開発
・減圧注湯法により溶融金属が砂型細部にまで侵入し、薄肉複雑形状品の製造が可能
具体的な成果
・減圧鋳造プロセスの有効性を確認
‐減圧吸引下において、砂型厚さLが小さく、砂の粒径が大きいほど、通気性は良好になり、かつ塗型により通気性が低減することを確認
‐トーナメント型鋳型薄肉部への溶湯充填における減圧効果を明らかにした
‐適切な減圧力と重力鋳造以上の高い砂型強度が必要であることを確認
‐トーナメント型鋳型の中央部分への注湯を行う際、中央部分にリブを追加した方が湯口が満ちるのが遅く、流体抵抗が減衰して湯流れがよりスムーズになることを確認
・減圧鋳造法の有効性を確認
‐減圧鋳造品は大気圧鋳造品に比べ、表面引け巣が少ないことを確認
‐低温注湯では、減圧鋳造における湯回りが良好であり、減圧鋳造法が湯回り改善に効果があることを確認
‐湯口からの空気の巻き込みをほとんどなくした掛け堰方式の採用により、湯回り、鋳肌、表面引け巣のいずれも改善し、かつ仕上がり品の外観は完成品に近い状態であることを確認
‐スタッキングトレイについて、直接被熱処理物のギアが挿入される三又棒部の仮想直径は、F用、R用ともに最大差が1mm以下となり、特段の問題がないことを確認
‐ギアホルダスタッキングトレイのギアの載る台座と、次のトレイが載る高さはそれぞれ最大差2.01mmと2.41mmとなり、最薄部3mm以下とする目標を達成
・減圧注湯設備仕様を確立
‐真空ポンプ設計は、水封式真空ポンプ4,600L/minの能力で4枠程度であれば十分との判断に到達
‐バグフィルター、空冷チラー、配管には当該設備仕様で十分であることを確認
‐シールはゴムホースを使用。上部シールはVプロセス用ビニールシートで十分であることを確認
・中央部板状部分のつなぎ追加による湯回りの改善
~鋳造品中央部の板状部分に湯が先に回るようにバイパスのようなつなぎ部を追加することにより、湯が回りにくい中央板状部分にも十分に湯が回り、ほぼ完成形状となった~
・湯口からの空気巻き込みを防止する掛け堰方式
~ノズルに栓をして掛け堰に溶湯を必要量流し込んだ後、ノズルを開放して一気に注湯を行うことで、砂型内の減圧状態を開放させにくく、注湯時の空気巻き込みも少なくなる~
研究開発成果の利用シーン
自動車部品の熱処理における熱処理効率を高めるため、薄肉形状で高い耐熱性を有する熱処理用治具
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
派生商品について、販売継続中
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
・納期短縮:少量(顧客の必要量)を短納期に納入が可能に
・軽量化:複雑薄肉化により耐久性が向上
今後の実用化・事業化の見通し
川下企業の評価・信頼のもと、派生製品の売り込みを図っていく
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 札幌高級鋳物株式会社 |
---|---|
事業管理機関 | 公益財団法人北海道中小企業総合支援センター |
研究等実施機関 | 学校法人近畿大学 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 工業試験場 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 札幌高級鋳物株式会社(法人番号:430001019734) |
---|---|
事業内容 | ステンレス鋳鋼、耐熱鋳鋼及び耐摩耗鋳鋼等の特殊鋼鋳造品の製造・販売 |
社員数 | 56 名 |
本社所在地 | 〒063-0833 北海道札幌市西区発寒13条12丁目2-1 |
ホームページ | http://www.sapporo-kokyu.co.jp |
連絡先窓口 | 製造部 |
メールアドレス | skias@sapporo-kokyu.co.jp |
電話番号 | 011-661-3333 |
研究開発された技術を探す