複合・新機能材料
メス等の医療機器に高耐久性を付与する表面改質熱処理による被膜形成技術
新潟県
JFE精密株式会社
2020年3月18日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 金属製品の高度化に向けた表面改質熱処理技術の開発 |
---|---|
基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
事業化状況 | 研究実施中 |
事業実施年度 | 平成21年度~平成21年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
手術器具製造業者に代表される医療機器産業に属する川下製造業者は金属製品等の高度化につき手術機器部品や手術器具の耐久性の向上を求めている。本件研究開発では金属製品の耐久性を高めるためにAIP及びUBMという表面改質熱処理技術を活用して金属の表面皮膜の積層化・複合化により高度化目標を達成しようとするものである
開発した技術のポイント
UBM法とAIP法を用いた表面改質熱処理技術による金属の高耐久性化
・高信頼性絶縁被膜
→絶縁耐圧1.0kV以上、密着性80N以上等
・高耐摩耗性、高耐食性被膜
→硬さHv2,000以上、耐磨耗性:AIP処理品並
・硬度、高耐食性、離型性・撥水性被膜
→濡れ角度100°以上、硬さHv1,500以上、密着性80N以上等
(新技術)
高機能性被膜
・多層化・複合化により高機能皮膜を開発
・医療用の適した絶縁性、耐食性、離型性、揮水性、高硬度、高対摩耗性
・メス等医療用鋼製小物に適用
具体的な成果
・絶縁被膜を得る熱処理技術の確立
‐絶縁DLC被膜のC-1水準の熱処理条件において、絶縁耐圧0.8kV、密着性はスクラッチ強度で40~80Nを得た
‐剥離・チッピング評価として曲げ角度45℃以上でも損傷が生じず、耐食性はSUS304と同等
‐絶縁DLCは被膜硬さが低く、被膜としては十分な密着性を有している
・硬度、高耐食性、離型性・撥水性被膜を得る熱処理技術の確立
‐SX-CRS(CrN)被膜のC-1水準の熱処理条件において、濡れ角度103.4°、密着性はスクラッチ強度で84~100N
‐硬さHv1,300、耐食性はSUS304と同等
‐密着性は、AIPによる成膜の際ボンバード条件をさらに強化することにより、被膜の緻密性を得ることができる
・高耐摩耗性、高耐食性被膜を得る熱処理技術の確立
‐汎用DLC被膜のD-2水準の熱処理条件において、硬さHv2,200、密着性はスクラッチ強度で98N
‐耐食性はSUS304と同等
‐また、ラットによる被膜熱処理したメスの切れ味評価を実施
研究開発成果の利用シーン
メス等医療用鋼製小物に被膜を形成し、生体組織に悪影響を与えない高耐久性(絶縁性、揮水性、高硬度、耐食性等)を付与する
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・実用化に向け、補完研究を継続
・サンプルなし
製品・サービスのPRポイント
・新方式の実現:セラミックと異なり金属上の被膜であり、曲げに強く、チッピングの心配もない
・耐久性・耐摩耗性向上:SX-CRSは硬度が高く(Hv1300以上)、高温(耐酸化温度550℃)でも使用できる離型性・撥水性被膜(濡れ角100℃以上)、高耐摩耗性被膜
今後の実用化・事業化の見通し
事業化に向け、評価を実施
・被膜の生成方法については安定した条件が確立されてきたので、現在実際の医療機器への評価方法等の試験を検討
・評価を実施後に問題点を挙げ、製品化への最終検討を行う
・最終検討後に前臨床試験を経てデータ収集を行い、事業化を目指す
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社ニチオン |
---|---|
事業管理機関 | 株式会社ニチオン |
研究等実施機関 | JFE精密株式会社 有限会社田中医科器械製作所 有限会社一木医療器製作所 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | JFE精密株式会社 |
---|---|
事業内容 | 素形材(粉末焼結品・冷間鍛造材品)の製造・販売、表面処理(AIP,UBM)コーティング受託加工 |
本社所在地 | 〒950-0063 新潟県新潟市東区上王瀬町2-3 |
ホームページ | http://www.jfe-seimitsu.co.jp |
連絡先窓口 | 取締役技術部長 寺尾星明 |
メールアドレス | tterao.hoshiaki@jfe-seimitsu.co.jp |
電話番号 | 025-270-7228 |
研究開発された技術を探す