精密加工
耐久性能と切断性能を兼ね備えた特殊シート材打抜き用次世代型刃物金型の開発
大阪府
株式会社塚谷刃物製作所
2020年3月20日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 液晶用特殊シート材高精度打抜き用次世代皮膜コーテッド金型の開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 印刷・情報記録 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(耐久性向上)、高性能化(精度向上) |
キーワード | 精密抜き加工、フレキシブルダイ |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成19年度~平成21年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
情報家電産業における市場競争の激化に伴うモデルの短寿命化・低価格化を、部品の供給面からサポートするための本件の提案とは、特にディスプレイデバイスにおいて重要な役割を果たす各種光学シート部材に関して、低価格でオンデマンドな供給を可能にする次世代型金型を開発し、試作から製造までを幅広くバックアップすることにより、今後の国際的優位性の維持・発展に貢献する
開発した技術のポイント
DLCコーティングを活用した次世代型エッチングダイ製法の確立
・塚谷刃物製作所が有するエッチングダイ製造技術を、DLC(ダイアモンド・ライク・カーボン)コーティング技術の活用により高度化した、次世代型エッチングダイの製法の確立を目指す
・DLC等のドライコーティングにより硬質膜を付与。従来型の3倍以上の耐久性を目指す
・イオンエッチングを利用した刃先部の機能化。成膜による基材への刃先食いつき性悪化を防止する
(新技術)
・塚谷刃物製作所が持つエッチングダイ製造技術シーズを、 DLCコーティング技術を利用した新技術で高度化
・課題の残る耐久性の不足を払拭し、 次世代エッチングダイの製法を確立
-従来型の3倍以上の耐久性
-コーティングによる加工性能劣化の低減
-従来型では不能な加工範囲への適応
-高精度、短納期、低コストへの要請への対応
具体的な成果
・DLCベースの高耐久性能膜の開発に成功
-刃物金型に最適な靭性と耐久性を兼ね備えたDLCベースの成膜技術の確立に向け、各種製膜方法や複合法を検討
-製膜装置で膜中の水素比率を増加させ、さらに金属成分を一定量添加した膜において、従来品の寿命との比較で5倍以上の耐久性を実現し、同時に適度な靭性を持たせることに成功
-密着性に関しては、適切な下地の調製により評価試験及び実装試験において十分であることを確認
・良好な切断性能を有するDLC膜の成膜法を完成
-刃物コーティング処理により失われる切断性能を改善するため、いったん成膜したDLC膜に、イオンエッチング加工を施すことにより、刃物金型の刃先を非常に鋭利化する加工条件(ガス圧、バイアス電圧、反応時間、ガス種等)を探索
-その結果、一定の条件下において、刃物金型上の刃先部のみを一様に鋭利化できる製膜法を確立
・耐久性能と切断性能を兼ね備える皮膜の調製に成功
-開発した2つの機能膜(高耐久性能膜と鋭利化膜)を2層積層することで、耐久性能と切断性能を両立する皮膜の調製に成功
-本技術は、「ダイカッターおよびその製造方法」として特許出願がなされている
知財出願や広報活動等の状況
特許出願:「ダイカッターおよびその製造方法」(特願 2010-040621)
研究開発成果の利用シーン
携帯電話、モバイルパソコン、液晶テレビ等に使用される難加工性シートの打抜き加工において、従来のセット金型、エッチングダイ等の技術に代えて本技術を導入することで、高精度、低コスト、高耐久性の加工を実現
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本件等で得られた表面処理技術(DLC)を施した高耐久性抜き型が、当該刃型の売上ベースで年間1億円程度を継続している。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
シール等の抜き型であるフレキシブルダイ(商標:ピナクルダイ)において、耐久性を要求される用途の注文に際し、本検討で得られた表面処理技術(DLC)を施すこ事が1つの主要アイテムとなっており、継続的な利用を進めている。
今後の実用化・事業化の見通し
本件等により得られた知見のうち、耐久性の向上を目的とした内容は事業化して既に数年が経過。当社の重要な製品アイテムとなっている。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社塚谷刃物製作所 |
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事業管理機関 | 学校法人関西大学 |
研究等実施機関 | 学校法人関西大学 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社塚谷刃物製作所(法人番号:3122001019293) |
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事業内容 | 工業用特殊刃物の製造・販売 |
社員数 | 290 名 |
生産拠点 | 大阪府八尾市、奈良県五條市、韓国、タイ |
本社所在地 | 〒581-0814 大阪府八尾市楠根町5-30 |
ホームページ | https/www.tsukatani-hamono.co.jp |
連絡先窓口 | 生産技術部 取締役 高野浩次郎 |
メールアドレス | takano0644@tsukatani-hamono.co.jp |
電話番号 | 072-996-8020 |
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