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立体造形

無公害な鋳造技術による、鉛フリー青銅合金製の水道用バルブ・継手を安価に製造

愛知県

株式会社加藤製作所

2020年3月23日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 鉛フリー銅合金の減圧凍結システムによる低コストで無公害な鋳造技術の開発
基盤技術分野 立体造形
対象となる産業分野 産業機械、建築物・構造物
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化)、環境配慮
キーワード 無公害、薄肉化、高強度、鉛フリー
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 平成18年度~平成22年度

プロジェクトの詳細

事業概要

鉛を含まない青銅鋳物を安価に製造するため、鋳鉄で実績のある減圧凍結システムに独自の凍結中子技術を組み合わせた新しい環境配慮型の無公害な鋳造技術を開発し、鋳物の組織を微細化することにより強度を高めて鋳物の薄肉化を図るとともに、最適な鋳造方案による不良率の低減により製造コストの20%削減を達成する。これにより、民生品に要求される鉛フリーの潮流に合致した青銅鋳物をわが国から供給できる体制を構築する

開発した技術のポイント

環境に配慮しつつ、コストの削減に寄与する鉛フリー・薄肉青銅鋳物の鋳造技術
・重量:30%低減、歩留まり率:50%
→70~80%→鋳物製品にかかるコストを低減(20%低減)
・産業廃棄物、粉塵・騒音・振動・臭気の低減
→中小鋳物工場と隣接する住宅地への対策

(新技術)
<減圧凍結システム>
・歩留まり率:70~80%
・産業廃棄物、粉塵、騒音、振動の抑制
・鋳物の薄肉化が可能
・30%軽量化
→コスト20%削減

具体的な成果

凍結鋳造により、素材重量30%低減、歩留まり率77%に低減
・ビスマスを含む鉛フリー青銅合金のCAC902に対し、減圧凍結システムによる鋳造技術を確立。製品形状であるボールバルブ、メーターケースを試作鋳造
・凍結鋳造により湯流れ性が改善、薄肉鋳物を作製可能に。ボールバルブでは素材重量を30%低減
・ガス溶解炉から高周波誘導加熱溶解炉へ切り替え、鋳造品の歩留まり率を77%に低減
凍結中子により、環境配慮型の生産が可能に
・減圧凍結鋳造技術を応用して凍結中子(鋳物の中空部を作るための鋳型)の試作に成功
・凍結中子を用い、産業廃棄物の発生量を現状と比較して25%低減
・鋳物の取り出しを鋳型の自然崩壊のみで対応できるため、粉塵、騒音、振動、臭気を抑制
モデルプラントを構築し、実用化に向けた原価計算等を実施
・減圧凍結鋳造システムのモデルプラントを構築
・凍結鋳造の作業性や物流経路などの問題点を明らかにし、生産性のさらなる向上を図った
・凍結鋳造生産の原価計算を実施し、製品群・製造量等を見積った

知財出願や広報活動等の状況

特許出願:「凍結鋳型の製造方法」
(特願2009-102125)
特許出願:「鋳造用凍結鋳型及び鋳物の製造方法」
(特願2013-126753)
※但し、サポインだけでなく他の事業成果も含んだ結果です。

研究開発成果の利用シーン

水道配管のバルブ・継手などに用いられる鉛フリー青銅鋳物を、減圧凍結システムを用いて鋳造することによって薄肉化し、軽量化を実現すると同時に、コストの削減と工程の環境負荷低減を目指す

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

これまでに9社30製品以上を減圧凍結システムで製造してきたが、鉛フリーは5製品で、他は低鉛材がほとんどである。鉛フリー材の場合、機械加工が大変難しく、低鉛材も原材料の価格が通常材よりも高く、薄肉化による価格低減分を回収できていない。つまり、事業化(製品受注)には達しているが、利益が出ていない状況である。これではまだ「事業化した」とは言えないかもしれない。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造

製品・サービスのPRポイント

青銅合金製の鋳物製品の価格は、主にその製品重量によって決まるため、薄肉・高強度化を標榜すると、当然ながら顧客から価格低減を求められる。従来の鋳造方法に比べ、砂型が完成するまでの手間がかかる上、鋳物自体が固いので機械加工も時間がかかりコストアップになってしまう。この辺りの折り合いがなかなか付かないのであるが、価格は高くとも(若しくは今までと等価)、重量を減らしたい、強度を高くしたい、等の要望がある製品分野を開拓してゆく必要がある。それは水道業界のみならず、広くこのサービスを訴求していきたい。

今後の実用化・事業化の見通し

実用化にむけ、試作・価格調整を実施中
・試作品の性能試験、鋳肌の改善要求に対応する研究を継続中
・実用化を実現するため、顧客の協力を得て減圧凍結システムでの量産試作を行い、最終価格の調整を進めている

実用化・事業化にあたっての課題

今以上のコスト削減。新分野の顧客の獲得。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社加藤製作所
日本青銅株式会社
岡崎精機株式会社
安藤シェル有限会社
事業管理機関 公益財団法人中部科学技術センター
研究等実施機関 国立研究開発法人産業技術総合研究所

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社加藤製作所(法人番号:1180001045307)
事業内容 (水道用バルブ)減圧弁、安全弁、空気抜弁、定圧弁、ボール弁、湯水混合弁、その他(給水栓)湯水混合栓、単水栓、ボールタップ、その他(水道用継手)エルボ、チーズ、ベンド、ヘッダー、その他(ステンレス製品)バルブ、継手、その他
社員数 25 名
生産拠点 本社工場(愛知県) 岐阜工場(岐阜県) 海外工場(中国、ベトナム)
本社所在地 〒452-0942 愛知県清須市清洲1668
ホームページ http://www.katovalvefittings.jp
連絡先窓口 総務部 藤木 龍也
メールアドレス t-fujiki@katovalvefittings.jp
電話番号 052-400-7231