精密加工
燃料電池用の長寿命部分貴金属めっきチタンセパレータ
長野県
株式会社サイベックコーポレーション
2020年3月16日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 燃料電池用セパレータの長寿命化、低コスト化に向けた金型技術、金属プレス技術、めっき技術の高度化研究開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、自動車、電池 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | 高精度金型による低コスト成形、平面度向上成形、複合めっき、部分めっき、非破壊測定 |
事業化状況 | 研究中止または停滞中 |
事業実施年度 | 平成18年度~平成20年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
将来の新エネルギー機器として期待されている定置型燃料電池の大きな課題の一つである長寿命化・低コスト化に向けて、そのコスト比重の高いセパレータを金属化し大幅なるコスト低減と寿命向上を図る。具体的には、耐食性は良いけれど「加工が非常に難しい金属材の精密プレス加工技術の高度化」と「電気導電特性と耐久性の更なる向上を狙いとしためっき技術の高度化」を図り、新しいプレス・めっき複合生産システムを構築する
開発した技術のポイント
従来技術と新開発技術の比較
コスト比重の高いセパレーターを金属にし、プレス技術とめっき技術により大幅なコスト低減と寿命向上を図ろうとした。
面積120cm2サイズのチタン製セパレーターで、平坦度0.3mm以内、流路高さ±10μm以内、プレス上がり面粗度Ra=0.09μmの加工を可能とし、良好なスタック性を確保した。2mmピッチの狭溝セパレーターの順送プレスにも成功し、ほぼ目標を達成した。
難めっき材のチタンセパレーターへ緻密で密着性の良い貴金属直接めっき形成に成功し、良好な発電特性を得た。導電性が必要な部分にのみ、貴金属を直付けする技術を確立し、耐久性と低コストの両立を果した。金めっきは3μm、マイグレーション抵抗性が高いロジウムは約0.3μmの厚さで、耐久4万時間達成の目途を得た。
発電電圧は充分実用域にあり、スタック化した際のセル間電圧のバラツキも少ない。スタック化した場合の容積は従来の約6割、重量は約1/3と小型・軽量化を可能とした。
また、非破壊板厚測定方法を確立しプレス成形品形状の迅速な把握が可能となり、製品化への動きが始まった。部分めっき・順送プレス複合生産システムの実証により、量産推定で、1枚千円以内の見積もりを得て、燃料電池のトータルコスト低減の目途を得た。
(新技術)
<開発目標>
・セパレーターの金属プレス化・低コスト化1枚数百円レベル
・長寿命化耐久4万時間
・燃料電池特性の安定、実用域での運転
具体的な成果
・チタン製直付け部分貴金属めっきセパレーター
・低コスト:1枚千円以下
・運転耐久4万時間以上
・容積は従来の約6割、重量は約1/3と小型・軽量化
・スタックは、実用域の安定した燃料電池特性
研究開発成果の利用シーン
開発した高精度金型・プレス成形そして難加工材へのめっき技術の高度化技術により、燃料電池スタックに求められる安定した発電と低コスト化を実現することができる。家庭用並びに移動体(自動車、フォークリフトなど)における燃料電池向け金属セパレータにおいて利活用が可能となる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本研究開発にて進めた燃料電池用セパレータについては、川下企業の都合によりプロジェクト自体が中止となり、事業化には至っていない。一方で、本事業にて実施した川上企業の高度化技術は、他の客先において適用できており事業化を目指して引き続き取り組んでいる
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
従来カーボン素材から切削加工にて製作されていた燃料電池向けセパレータは非常に高価で生産性が低く大きな課題となっていた。素材を金属に置き換えることで超精密金型並びに金属プレス加工が可能なため生産性を飛躍的に向上することができる。また製品にめっき技術を付加することで製品性能に求められる安定した発電を実現することができた。これにより燃料電池スタックの小型化・軽量化を可能にし、低コスト化への実現への目処が立った。
今後の実用化・事業化の見通し
株式会社IHIシバウラでは、平成22年度以後、家庭用定置型燃料電池等の年約1千台程度(1Kw級換算)のテスト販売を企画しているが、早速本技術の搭載検討を進める。開発したセパレーターは、耐久性に優れ、振動に強いため、移動系燃料電池等へも展開できる点で優位となる可能性がある。金属プレス成形セパレーターにおいて目標とした耐久性、低コスト化に目途を付け、安定な発電に成功し、競争力のある技術開発に成功した。
実用化・事業化にあたっての課題
金属セパレーター採用燃料電池の更なる信頼性向上に向けたプレス技術の更なる高度化。
めっき技術の高度化による更なる低コスト化。超高集積化に向けた更なる実装技術の高度化。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社サイベックコーポレーション |
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事業管理機関 | 公益財団法人長野県テクノ財団 |
研究等実施機関 | サン工業株式会社 株式会社IHIシバウラ 長野県工業技術総合センター |
アドバイザー | 信州大学工学部:杉本教授、新井准教授 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社サイベックコーポレーション(法人番号:4100001015611) |
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事業内容 | 超精密部品の金型開発及びプレス加工 |
社員数 | 80 名 |
本社所在地 | 〒399-0704 長野県塩尻市広丘郷原南原1000-15 |
ホームページ | http://www.syvec.co.jp |
連絡先窓口 | VT研究所 GM 長田直樹 |
メールアドレス | info@syvec.co.jp |
電話番号 | 0263-51-1800 |
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