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ベース技術の確立と川下企業のニーズを的確に把握することで高いハードルを越えられる

バイスリープロジェクツ株式会社 代表取締役社長            菅野 直氏(写真)
株式会社インテリジェント・コスモス研究機構 プロジェクトマネージャー  多賀 雄次氏

サポイン事業開始後に明らかになった市場のニーズと高いハードル

研究開発のきっかけを教えてください

東北経済産業局(以下、東北経産局)と(株)インテリジェント・コスモス研究機構(以下、ICR)が事務局を務めている「マシンビジョン研究会」という画像処理をテーマとした研究会がある。4年前のマシンビジョン研究会第1回公開セミナーにおいて、当社や自動車メーカーが共同で、画像処理ソフトウェアや画像処理に関する自動車業界のニーズとその取組について発表する機会があった。そこで塗装表面上の微小な凹凸の処理に対するニーズが顕在化し、ソフトウェアに強みを持つ当社、精密機械加工メーカーの引地精工(株)(以下、引地精工)及び自動車メーカーと共同で、塗装表面の検査を自動化する画像処理ロボットの研究開発を行うことになった。

市場や市場のニーズが最初から見えていたということで、事業化の可能性は高いと感じていましたか

当初からニーズや技術課題はある程度顕在化していたが、目視検査基準は本来外部に出てくるようなものではない。サポイン事業開始後に、アドバイザーという形で自動車メーカーと契約を締結してから検査工程を見学させていただき、基準を知らされた。通常見せない部分をサポイン事業ということで見せてくれたのであろう。その際に出てきた細かなニーズと技術課題のハードルが高く、研究開発を進める上で問題が発生した。

欠陥検出事例(左 塗装面画像 右 検出画像)

ハードルが高いと分かってから、その要求に応えるためにどのような行動を取ったのでしょうか

実際に当社のソフトウェアを検査工程に入れてテストさせてもらえるよう依頼した。塗装工程には、車全体の塗装工程とバンパー等の後付けの工程、ドアミラー等の部品工程がある。ドアミラー等は外注のため、工場で行う全体工程とバンパーの工程で検査を行わせてもらえるよう依頼した。 最終的にはバンパーの工程に絞ってテストさせてもらった。

今振り返って、サポイン事業の開始前にもう少し準備が必要だったと感じることはありますか

塗装に関する専門家が社内におらず、勉強が少し足りなかったと思う。サポイン事業が始まってから塗装関係の勉強会に足を運んだが、前段階でもう少し準備ができていれば、と感じる。事業管理機関であるICRに依頼してマシンビジョン研究会に塗装の専門家を呼んでいただいた。新たな知識を入れる際に、ICRの様々なネットワークを駆使して専門家を紹介していただけたことが、問題解決の突破口として役に立った。

自ら情報・アドバイスを求める行動力とネットワークの活用が肝心

事業管理機関の多賀氏は、どのように当案件をご覧になっていましたか

結果的にうまく進んだのは、バイスリー、引地精工、宮城県産業技術総合センター、大学、地域企業、ICRのネットワークを上手に使うことができていたからではないだろうか。事業管理をしている側からすると、こちら側が手綱を握って細かな指示をしなくても、バイスリープロジェクツ(株)(以下、バイスリー)、引地精工は自ら情報やアドバイスを求めて動いていた。 
また、バイスリー、引地精工は技術のノウハウも持っているので、事業管理側は事業の進捗を円滑にすることに注力した。

川下企業にも研究開発に関わっていただいたことで、よりニーズが確認できたのではないでしょうか
川下企業との関係において、サポイン事業による波及効果はありましたか

川下企業は非常に貪欲に自分たちがどのようにその技術を使えるかを見ていることが良く分かった。川下のニーズと技術課題をしっかり把握できたという点がサポイン事業を活用して良かったと考える。
また、昨年1月に東北経産局主導で、東北6県が連携して新工法・新技術の展示会を自動車メーカー向けに行った。通常、展示会出展には審査があるため簡単に出られるものではないが、出展の際にはメーカーから注目していただき、現在数社と商談がある。また、技術の横展開の構想も出てきている。

大学の先生方にもアドバイスをいただいたと伺っています

大学の先生方のアドバイスや論文からソフトウェアプログラムに落とし込むことは今までなかったが、今回は違った。試行錯誤で進めることも大事だが、物事の原理原則や考え方に対する刺激をもらったのが大きかった。我々は何かの検査ということしか頭になかったが、先生方からは考えもしなかった論文を紹介していただいたり、考え方のプロセスでいい刺激をいただいた

学術的高度化ではなく事業化が目的あえて着地点を近くに置く

ゴールの設定にはどのような経緯があったのでしょうか

川下企業が決まっていたので、彼らの製品の導入計画に沿うようにゴールを設定した。約400本のバンパーを1ヶ月半かけてインラインの中で抜き取り検査をして戻すという作業を行った。当初は3年目から事業化させ、行う計画であったが、計画より前倒しで世に出す前の製品をチェックさせてもらった。
ラインに入れて耐えうるレベルのものを作るところをまずはゴールとした。高度化しようと思えばより精緻に検査するような技術を開発することは可能であったが、ラインで耐えうる段階のものを出すことが重要である。事業化の目途を立て、世に出すことが本案件の目的である。学術的高度化ではない。

「変曲線マッチング法」撮影構成図

サポイン事業を効果的に利用する上でのメッセージ、アドバイス

最後に、今後サポイン事業に応募を検討される方や、現在実施されている方にメッセージをお願いいたします

今一番苦労しているのは、販路の拡大である。試作品は納入できるようになっているが、試作品が1,2台売れただけではサポイン事業の莫大な資金を回収できないため、あらかじめ販路を拡大できるように考えておくことが必要である。
サポイン事業が終わってから売れるまでの時間的なギャップがあるため、事前に考えておく必要がある。事前に情報を出すことはリスクでもあるが、どのように販売するまでのギャップを縮小するかが重要であろう。 販路の拡大と汎用性のある製品の両軸で、売りやすいかたちを想定しておかなければいけない。
また、ベースの技術をしっかりと持ち、それがあると何が出来るかというサーベイを取り、成果のツリーを作り上げるのも良いのではないだろうか。成果のツリーを作り、幹をやるのか、枝をやるのかを考えて研究開発を行う。普遍的なベースの技術を開発するのか、客先の個別対応を行うのかによって異なってくるかもしれないが、そうして全体像を俯瞰し、視点がぶれなければそれなりにスムーズに事業化に進めるだろう。
当社製品はカスタマイズが必要な装置であるため、中間部分を狙って行きたいと考える。ベースがきちんと出来ていれば個別対応も可能である。
研究の準備をしっかり行い、またネットワークの素地があるかどうかが実用化・事業化の肝であると考える。

サポイン技術情報
プロジェクト名:
外観検査用産業用ロボットを高度化する画像処理組込みソフトウェアの開発と事業化
事業実施年度:
平成23年度~平成25年度
研究開発の目的:
自動車等の工業製品の塗装表面検査を自動化する組み込みソフトウェアと光学ヘッドの開発
事業化の状況:
サポイン事業終了時点では実用化に向けた開発の実施段階
今後は自動車関連メーカーへ試験装置を納入及び検査装置を共同開発する予定