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強力な研究開発推進体制を構築、新たに発生した課題も関係者との密なコミュニケーションを通じて対応し研究開発を実施

株式会社ソルテック 代表取締役社長                浅間秀蔵氏(写真中央右)
          開発部 生産技術 サポインリーダー     中川浩幸氏(写真右)
山形県工業技術センター 企画調整部 連携支援室          一刀弘真氏(写真中央左)
公益財団法人山形県産業技術振興機構 振興部プロジェクト推進課   阿部哲氏(写真左)

研究開発推進のため、社内外で強固な協力体制を構築

サポイン事業に応募したきっかけおよび研究開発を開始したきっかけを教えてください

山形県工業技術センターの置賜試験場に株主である川下企業との共同案件で訪問した際に、試験場の方より、サポイン事業の紹介を受けた。当社は長く大手テレビメーカーから多くの仕事を受けていたのだが、生産拠点が海外に移りつつあった時期、新たな顧客開拓・技術開発を進める必要性を強く感じていた。そのタイミングでサポイン事業を知り、新たな顧客開拓や開発に良いチャンスだと感じたため、応募を決断した。今回のサポイン事業研究は、2007年に行っていた厚い板材のバリなし打ち抜き工法の開発が土台となっている。そのときの研究開発を通じて得られた成果を基に、医療機器、車載用電子機器関連の分野の川下産業の金属プレス加工で要望が多くなっている難加工薄板材(1mm以下)へのバリなし平押し工法の適用を行った。

アドバイザー等の社外関係者とはどのように関係を構築されましたか

豊田工業大学の近藤一義先生は、今回のサポイン事業で用いている平押し法の開発関係者である。研究開発を進める上で有用な意見やアドバイスを頂けると考え、アドバイザーとして入って頂いた。塑性加工学会のつながりがあったためアプローチを行い、サポイン事業開始前から様々なアドバイスを頂くことができた。
また、以前から顧客としてつながりのあった企業の方にもアドバイザーとして入って頂き、市場ニーズ等多くの意見を頂いた。

バリ無し打ち抜き加工の断面比較

関係者とはどの程度の頻度で打合せを行っていましたか

アドバイザー全員が参加する推進会議を年2回開催して研究開発へのアドバイスを頂いた。推進会議だけでは十分な意見をいただけないこともあるため、アドバイザーには随時個別に相談を行うことで研究課題へ対応を行っていたほか、研究開発の研究員メンバー間ではほぼ毎週打合せを行うことで進捗状況を常に把握していた。

関係者の密なコミュニケーションを通じて、問題の拡大を最小限にコントロール

研究開発の目標はどのようにして設定されましたか

サポイン事業開始前は、難加工薄板材のバリなし打ち抜き加工技術を開発できたとしても、事業化まで達するにはハードルがあると考えていた。現在、結果的に事業化まで達することができたが、その背景には開発に参画頂いた大学、学会、公設機関、川下企業からのアドバイスが大きい。特に近藤先生のアドバイスを通じて解決した技術的な課題は多い。今回のサポイン事業ではSPCC、SUSおよびチタンという3つの金属材料を加工対象としていたが、サポインの終了時点ではこの内、SPCCとSUSの2種類の技術開発実用化に成功し、現在、サンプル出荷も行っている。また、チタンについては補完研究を進めている。

研究開発中に発生した問題はどのように解決されたのでしょうか

研究開発スケジュールに遅延が生じた際、遅れを解消するために社外関係者と密接に連絡を取り、現状の進捗状況や課題の把握を逐次行いタイムリーに対策を立てるようにした。また、サポイン事業への参画人数を増やし、役割分担を明確にした上で研究開発を進めた。少人数が通常業務と並行してサポイン事業を進めていたことがスケジュールに遅れが出た要因の一つであったため、特に現場で業務に当たる人員を投入することで開発成果創出のスピードアップを強く意識した。
また、研究開発の中で出てきた課題をアドバイザーの方々にご指導いただいたことも、スケジュールの遅れを早期に解決し、研究開発成果を創出する上で非常に大きかった。

外部への積極的なPRが新たな市場ニーズの抽出に貢献

市場のニーズをどのように把握されましたか

サポイン事業開始前は、開発した技術を車載用電子機器と医療機器に使用できるニーズを顧客から直接把握していた。車載用電子機器は、以前から取引関係があり、今回もアドバイザーとして入って頂いている川下企業の方から、医療機器については大手企業から定年後に入社した営業の方から歯列矯正治療具に使用できるとのニーズを伺った。
また、サポイン事業期間中にはサポイン事業の研究内容を展示会で発表した結果、シェーバーの歯やフードカッターに使用したい等の問い合わせを受け、当初想定していた産業以外への展開が視野に入ってきている。一般的に展示会は3年目で効果が出ると言われているため、今後の売上につながるように継続して出展していきたい。
サポイン事業を通じて、国や県の支援、展示会等を活用しようという意識が今まで以上に強くなった。様々な方の目に触れる機会を増やすことで、興味を持っていただく企業が増え、問い合わせや名刺の集まりを格段に増やすことができる。

研究開発によるバリ対策の効果

展示会以外にどのように開発製品をPRされていますか

直接顧客に足を運び、開発製品・技術についてプレゼンテーションを行っている。プレゼンテーションでは、競合企業のプレゼン技術の高さを意識して、内容を精査した上で簡潔に良さが伝わるよう工夫している。
また、製品や技術は実際に使っていただくことで良さが分かって頂けることから、サンプル品の出荷を行い、顧客に性能検査を行ってもらう機会を多く持つようになる。

サポイン事業を効果的に利用する上でのメッセージ、アドバイス

最後に、今後サポイン事業に応募を検討される方や、現在実施されている方にメッセージをお願いいたします

今回、サポイン事業で大きな成果をあげることができたが、事業の終了間近に話が挙がった「バリなし加工に関連する新しい技術開発」については、事前にニーズや必要性を予測してサポイン事業の実施計画に記載し、事業内で開発を行うことができていれば、更なる成果が挙がっていたかもしれない。応募段階で将来の事業化に向けた研究計画を綿密に検討することがサポイン事業の有効活用に繋がるのではないだろうか。
また、社内体制として研究開発のリーダーが本来の業務も兼任していたのだが、アシストを別に置くことで研究開発により注力できたかもしれない。
研究開発メンバー間が頻繁にコミュニケーションを取り、可能な限り直接打合せを行うことで、研究開発で出てきた課題へのフィードバックも迅速に対応でき、研究開発はスムーズに進むだろう。密度が高いコミュニケーションを取っていたからこそ、今回のサポイン事業での課題にも対処できたと考えている。

サポイン技術情報
プロジェクト名:
難加工薄板材のバリ無し打ち抜き加工技術の開発
事業実施年度:
平成24年度~平成26年度
研究開発の目的:
1.0mm以下の薄板での適用が困難とされてきた平押し法に、金型構造の改良と防振対策を施すことにより、薄板材のバリ無し打ち抜き加工技術を開発するとともに、加工部品のバリ無しを保証する検査技術を確立する
事業化の状況:
SPCC(冷間圧延鋼板)およびステンレス鋼について、川下企業の求める部品を想定した試作を行い、川下企業の要求を満たすバリ無し加工が可能であることを確認した