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医療分野への新規参⼊のテストモデルケースにおいて、産学官相互でイコールパートナーとして接し、誠実な対応の積み重ね、シーズの積み上げにより、実⽤化⽬標を達成

株式会社和幸製作所 取締役副社⻑         ⼩川暁⽒(写真中央)
株式会社和幸製作所 製造部部⻑          清野勉⽒(写真右)
さいたま商⼯会議所 総合政策推進部部⻑      ⿊⾦英明⽒(写真左)

商工会議所のメンバー企業として、初期段階から積極的に関与、緊密な連携を構築し、事業を開始

研究開発の経緯、応募のきっかけをご説明ください。

さいたま商⼯会議所の役員が慶應義塾⼤学医学部の先⽣から、医療現場の悩みを聞く機会を得たのがはじまり。内視鏡、腹腔鏡をはじめとする低侵襲治療は、開腹⼿術と⽐較して、⼊院期間、回復期間は⼤幅に短縮され、潜在的なニーズは⼤きい。⽇本の低侵襲治療は世界のレベルから⾒て⾼いものであるが、医療現場のニーズがものづくりの現場に⼗分に伝わっていないことから、ものづくり⼤国である⽇本の技術がまだまだ医療機器に活かしきれていない現状がある。例えば、お臍から腹腔鏡や術具を⼊れて⾏う腹腔鏡⼿術において、術野(⼿術を⾏うスペース)を確保するために、医師が鉗⼦等で内臓を持ち上げ、固定し続けなければならず、とても効率的であるとは⾔えない。「ロボット技術を使った第三の⼿があれば」など、現場のニーズは多い。そこで、さいたま商⼯会議所と慶應義塾⼤学医学部が連携をし、医療現場のニーズとものづくり企業の技術のマッチングによる新たな医療機器開発に向け、平成23年3⽉から、さいたま慶應イノベーションプロジェクト(SKIP)が始動。その取組みに賛同し、積極的に関与し、サポイン事業に取り組みに⾄った。
当社の事業内容は、交通信号、屋外⽤筺体、クリーンルーム等を製造している。⼤きなものでは、福島第⼀原発復旧作業⽤の⼤型放射性粉塵除去装置を製造した。交通信号は、国内市場は飽和状態で価格破壊が起こっている。新しい分野への取り組みが必要とされていた。

手術現場のニーズ、問題解決に必要な要素技術として、手術器具の固定化にフォーカスした製品

実施中の状況はいかがでしたか。

多関節ホルダーロボットアーム

プロジェクトの中⼼的な役割を担っていただいた慶應義塾⼤学医学部の⽮作直久教授は、⽇本を代表する内視鏡⼿術の権威のおひとりであり、同じく和⽥則仁先⽣は、医療現場の改善に向けた次世代の医療機器開発に意欲的に取り組まれている⽅。こうした先⽣⽅との出会いに恵まれて、プロジェクトにおける情報の共有化、活発なコミュニケ-ションが図れたことは、⼤きなアドバンテージとなったと感謝しています。先⽣⽅との打ち合わせは、必要に応じて実施させていただき、当社も迅速かつ誠実な対応を積み重ね、シーズの積み上げができ、製品化が⽬の前まできた。
研究開発の基本⽅針としては、⼿術器具の固定にフォーカスした。鉗⼦を固定する器具は市販もあり、産業⽤ロボットアームの応⽤でも可能である。しかしながら、ドイツの展⽰会で⾒たものは、⼤がかりでサイズも⼤きく、価格も500万円。医療現場への導⼊・普及には程遠いと、当時から疑問を感じていた。このため、私どものプロジェクトでは、操作性やコンパクト化、安全性を重視しディスポーザブルとするコンセプトを⽴て、先⽣⽅と相談させていただきながら、当初より低価格による普及を意識した開発を進めた。
具体的な機能としては、柔軟・フレキシブルであるが簡単なボタン操作で安全・確実に固定、患者の呼吸に合わせて患者との距離を⼀定に保つ機能、外的な衝突を受けても復元するなど、現場のニーズに由来するものである。
これらの基本技術は、当社が独⾃に開発をした多関節を組み合わせたコア技術で、中にワイヤーを通し、空気圧で引張り固定するもの。特に開発過程では、フレキシブル性と硬化性といった相反する動きの両⽴や、素材、機構のコンビネーションの最適化、さらに安全性については⼤変苦労したポイントのひとつであった。

大手が手を出さず、中小企業が取り組める有望ニッチ市場に早期に参入し地歩を固める

今後の⽅向性についてご説明ください。

インテリジェントホルダーロボットアーム

ある程度の製品化レベルまで完成したところではあるが、市場に出すまでにはさらなる精度の向上を⾏うべく、現在も改善・改良を⾏っているところである。
⼀番製品化に近づいているのは、マウスピース装着式の内視鏡フォルダーである。第1弾として、2016年6⽉の製品化を⽬標に、現在、最終的な市場調査として、関係する先⽣⽅にサンプル品の提供を⾏うなど、急ピッチで作業を進めている。回転は可能な状態を維持しつつ、内視鏡の挿⼊位置の固定と解除をワンタッチで⾏うもので、低侵襲のカテゴリーで内視鏡による⼿術でも、⼿術器具の固定ができないかという要望に応えたもの。製品は、開発当初より連携している医療メーカーの(株)トップがパッケージ化して販売する。内視鏡の分野では強⼒な営業⼒を有しており、⼼強いパートナーである。いずれは、こうした実績を積み重ねながら、当社ブランドとして販売ができればと考えている。現場の先⽣⽅からは、医師の第三の⼿として、すぐにでも必要との意⾒を得ており、これまで助⼿の医師が⽀えていた代わりとなり、助⼿が不在でも安⼼・確実にホールドすることが現実となる。
また、⾼度な動作を付加するマルチパーパスホルダーロボットアームや、すべての機能をひとつに凝縮したインテリジェントホルダーについても、29年度以降、順次製品化を進める。低侵襲治療は今後さらに伸びてくることが期待されており、こうしてマーケットの成熟する前に、私どもが参⼊できたことは、事業戦略の上からとても幸運であると捉えている。
今後は、⼤⼿メーカーが⼿を出さない、ニッチな分野をこれまで以上にしっかりと⾒極め、中⼩企業の強みを活かした開発⼒をさらに向上させていきたい。

さいたま地域の産業振興に向けたさいたま商工会議所の貢献

成功した要因についてお聞かせください。

医療分野は初めて取り組んだが、今後伸ばしていきたい分野でありテストケースであったが、結果として医療分野への参⼊の⼿掛かりを掴むことができた。それには、常に⾃社の技術⼒の向上を進めるともに、ニーズの吸い上げ能⼒の重要性を感じさせられた。
また、慶應義塾⼤学医学部から提起されたニーズを深堀りし、それぞれの⽬標を具体的にしたこと、実施中のモチベーショの維持も成功したポイントと考えている。さらに、事業管理機関であったさいたま商⼯会議所は、ニーズ・シーズのマッチングはもちろん、地域の産業振興としてプロジェクトのサポートをしていただき⾮常に感謝している。

サポイン事業を効果的に利用する上でのメッセージ、アドバイス

最後に、今後サポイン事業に応募を検討される⽅や、現在実施されている⽅にメッセージをお願いいたします。

技術の⾼度化から利益に繋がるまでには時間を要することから、研究開発費の⽀援は⼤変ありがたかった。本制度を使えるものなら、是⾮トライすべきである。事業を通じて、知識を深める、技術を⾝につける、会社の⼒をつける機会となる。

サポイン技術情報
プロジェクト名:
手術ロボット開発における位置決め技術の高度化(インテリジェントホルダーの開発)
事業実施年度:
平成25年度~平成27年度
研究開発の目的:
⼿術室において、術者のもうひとつの⼿として、特に外的な衝撃に対し、衝突度合いに応じた柔軟な動きを可能とし、元の位置に戻るヒューマノイド機能や、患者の呼吸等の僅かな動きに合わせて正確に位置をコントロールするセンサー機能など、あらゆる医療器具等を正確な位置で保持するマ3つの⼿術ロボットを開発する。
事業化の状況:
先⾏する2つの製品化において量産化を含めた最終仕様をしっかりと定め、29年度の薬事申請を確実に進め、早期の上市に繋げることとする。また、これまでの技術を集約した最終⽬標である「インテリジェントホルダー」については、技術の融合による安全性・有⽤性の評価を繰り返し⾏い、現場のニーズに基づく機能別仕様を明確化し、30年度の薬事申請、事業化を実現する。