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研究開発参画者がそれぞれの役割を最優先で取り組み、研究開発を加速し、開発⽬標を早期に到達し、⽬標を⾼めてさらなる⾼度化を達成

タンレイ⼯業株式会社 代表取締役社⻑              ⾼橋⼗三夫⽒(写真中央左)
タンレイ⼯業株式会社 品質保証部課⻑              藤岡智裕⽒(写真右)
新潟県⼯業技術総合研究所下越技術⽀援センター 主任研究員    本⽥崇⽒(写真左)
公益財団法⼈新潟市産業振興財団 ビジネス⽀援センタースタッフ  関⽥桂⼦⽒(写真中央右)

顧客の課題解決に向け、参画者の得意な技術が活用できる、最適な体制を構築

サポイン事業に応募したきっかけを教えてください。

開発対象である真空装置⽤のSUS304製⼤型容器には、多様なサイズや⾁厚差のある形状でかつ⼀体構造化が川下企業より求められていた。ただし、その容器形状の複雑さ(⼤型・⾁厚差)や素材が難加⼯材であるといった特徴から、これまでのリングローリングでは製造困難で、従来は⼤型プレス機による型鍛造品を素材とした「切削⼯法」もしくは複数の部品の「溶接⼯法」により製造されていた。これらの⼯法では材料歩留まりが悪い上に⼯程数も多く、コスト⾼となり、その解決のためサポイン事業に応募した。トップダウンでの決定であり、その後の決断も早く、全社的な体制つくりもスムースにできた。社内の⽣産部⾨から独⽴した部⾨での研究開発だったため、研究開発には100%の傾注ができた。

体制構築の経緯を教えてください。

新潟市に⼯場建設したことから、新潟市産業振興財団(以下、IPC財団)と関係ができ、同財団より⼯業技術総合研究所(以下、総研)を紹介され、同所の持つシミュレーションの知⾒を活⽤しての新規技術の開発がスタートした。提案書作成の段階から共同体制で臨んだ。それまでは、困った問題があれば相談する組織との認識で特に強い連携はなかったことから、IPC財団の仲介は⼤きかった。
(IPC財団談)これまでも共同体制を数多く経験しているが、縦割り意識から参画者の得意技術を活かしきれないことも多い。本プロジェクトは連携を密に相互補完し合い課題に対処できた点から、最もうまくいった共同体制であった。

単独では到達できなかったレベルの研究開発に対し、有効なアドバイスが得られ、学術的な裏付けも獲得

プロジェクト実施中の状況を説明してください。

シミュレーションについては、1年⽬は弊社より開⽰したデータに基づくプログラミング、2年⽬からはそれを活⽤し、望ましい形が成形できるようになり、プロジェクトの⽬標はほぼ達成できた。3年⽬は、さらなる歩留まりの向上を⽬的に、ローラー形状の改善などシミュレーションによる⼯法提案と現場による加⼯テストを繰り返し⾏い、形状改善と⽋⾁などの⽋陥防⽌を図った。その結果、3年⽬で⽬標であった2⼯程より少ない1⼯程での成形が可能になり、加⼯時間は半分になった。また、事業期間内に量産試作で品質の確認まで⾏うことで、迅速に製品化することができた。

情報の共有化はどのように進めましたか。

開発した試作ライン

基本的には⽉1回の打ち合わせでコミュニケーションを図ってきた他、⽉数回⽴会いでの成形試験の実施や、電話やメールでほぼ毎⽇データのやり取りをした。その結果、当社にとって、学術的な裏付けが不⾜していた点を、シミュレーションにより原理・原則の解明まで進展できた。

具体的なコスト低減、横展開効果を説明してください。

本技術の適⽤は真空ポンプだけだが、中国に負けないコストで製造できるようになり、中国への受注を国内へ回帰させることができた。横展開としては、⾁厚があり、⾼さあるものや部分的に厚いものなど、型鍛造では不可能な多様な構造の製造も可能となり、複雑形状産業機械部品の量産化に結びつけた。

参画者がそれぞれの役割を最優先で取り組むことによる、研究開発の加速化、連携強化

連携がうまく⾏った要因は何でしょうか。

実施中を振り返ると、データ提⽰→シミュレーション→現場での加⼯→結果の検証→シミュレーションの改良といったPDCAサイクルを⾮常にうまく回せたと感じている。
国内でリングローリングの装置を持っている企業は少なく、さらにフローフォーミングを組み合わせた複合加⼯の成形ができるのは、国内では当社だけである。それゆえに、加⼯の情報やデータはなく、シミュレーションの前例もなかったため、壁に当たった時期もあった。しかし、お互いに本事業を最優先で取り組んだことで、開発のスピードが上がり、⾼精度なシミュレーション技術の開発や、新しい加⼯技術を開発することができた。
(総研談)タンレイ⼯業には、シミュレーションの結果をもとに現場で実践する熱意があった。また、必要な多くのデータの取得に応えてくれたため、シミュレーションの精度も上げることができた。その結果、効率的な開発が可能となり、サポイン事業が終了する前に製品化することができた。共同体制を作っても、どこまで⼒を投⼊できるかで成果は変わる。この協働関係は継続し、新たなサポイン事業が開始している。

事業資⾦は有効活⽤できたでしょうか。

研究開発のための加⼯荷重測定システム、⾼周波加熱装置、量産⾃動化を⽬的とした搬送ロボットや⾃動化改造等、サポイン事業で計画導⼊した装置がその⽬的に⾮常に有効に活⽤できたことで、研究開発が⽬標以上の成果を出せた。また、装置の選定にあたり、総研のアドバイスに無駄がなかった。

知的財産権の取り決めはどうしていましたか。

旋削加⼯後の製品

開始時点で秘密保持契約とともに、知財権の取り扱いについて協議をする取り決めを⾏っている。現在準備中であるが、共同出願の予定である。

サポインの副次的効果には何が考えられますか。

シミュレーションを共同で創る過程で、社内に技術蓄積、⼈材育成ができた。また、開発した技術について、他の製品への横展開も可能となった。

積極的な情報発信による事業化の推進

今後の技術成果の情報発信はどのようにお考えでしょうか。

新潟⽇報に研究開発成果の記事が掲載され、従来、技術的には無理と諦めていた形状の製品についても、今回の成果で可能となり、開発技術に関する引き合いが増えている。
今後の営業活動としては、展⽰会、会社パンフレット、カタログへの掲載を検討している。これまでは商社からの情報がメインであったが、情報発信を継続し、新規案件の獲得にも注⼒していく。

学術的な対外発表についてはどうお考えでしょうか。

総研からの成果の対外発表については、ユーザー名の公表以外は制約をしていない。

サポイン事業を効果的に利用する上でのメッセージ、アドバイス

最後に、今後サポイン事業に応募を検討される⽅や、現在実施されている⽅にメッセージをお願いいたします。

⾃社でできないことができる仲間が加わることは⼤きなメリットとなる。共同研究がうまくいった要因として、タンレイ⼯業の経験+総研のシミュレーションの組み合わせに恵まれたことが挙げられる。これにはIPC財団の仲介が有効であった。役割分担、利害関係の⾯から、全く違う⽴場であり、オープンな情報交換ができた。別の企業が⼊ると、こうはうまく⾏かなかったかもしれない。

サポイン技術情報
プロジェクト名:
真空装置用ステンレス製大型容器の多様な形状に対応する新加工技術の開発-リング鍛造と熱間フローフォーミングの複合化-
事業実施年度:
平成25年度~平成27年度
研究開発の目的:
リング鍛造に加⼯中の温度制御を取り⼊れた熱間フローフォーミングを組み合わせ、難加⼯材であるSUS304に対応した新たな成形技術を開発する。⼀体構造で⾼品質な容器の実現と材料ロス1/4以下、加⼯時間1/2以下、加⼯エネルギー50%削減による製造コスト1/2以下と納期1/2以下とする。
事業化の状況:
開発対象製品については、川下企業への出荷を開始して事業化することができた。また、開発技術は多様な製品形状へ適⽤できることから、他分野からも引き合いを受けている。今後、販路拡⼤へ向けて、更に市場調査等を進めていく予定である。