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サポイン事業において、保有する技術の高度化とともに、次のステップに組み込む技術を育成する、開発型のものづくり

株式会社ナガセインテグレックス  常務取締役 製造本部 副本部長 技術統括    板津武志氏(写真中央)
製造本部 テクニカルセンター長  次長補佐                  渡辺一人氏(写真右)
                 営業部 企画室               長瀬恵氏(写真左)

「油静圧」技術の使用装置で培った蓄積をベースとして、「水静圧」技術の使用装置に展開

サポイン事業による研究開発のきっかけや経緯を教えてください。

当社では現在まで「油静圧」の技術を使った装置を事業として続けてきているが、平成21年度のサポイン事業(低振動化・温度自律補正機能を有した、超精密加工機械の開発)で油静圧の技術を高度化する研究開発を実施し、かなりの精度まで高度化することができた。
それ以降、半導体や環境問題に対応できる装置作りに事業分野を拡げ、今回のサポイン事業の「水静圧の技術を使った装置」の開発に至った。油静圧からの流れがあり、その中で新たなものづくりに発展してきている。
得意とするところは静圧技術であるが、超精密なものであれば1ナノメートル分解能の装置や測定機等も社内で開発している。これまではお客さんからも資金をいただきながら、一緒に開発し、販売を進めてきたが、大きなものを開発しようとするとお客さんにとっても、当社にとっても資金面で大変なため、将来に向けたシーズを育成するためにサポイン事業を知って活用することにした。
お客さんと一緒の開発では、お客さんの要望・目標達成が中心となり、開発できる範囲も限られるが、サポイン事業では、今ある技術を高度化させて次のステップに組み込むことになるため、開発型のものづくりができると考えている。
お客さんに合わせた製品作りと比べて、サポイン事業では自分達が開発した商品を不特定多数に販売できることが大きく違うと思っている。また販売するまでに余裕ができる。

大学が持っている専門分野の強みを活用し、役割分担

サポイン事業での研究開発の体制について教えてください。

岐阜大学(流体専門)とは、地理的にも近いことから、これまでにお会いすることがあった。岩手大学については、シンポジウムでの発表をお聞きしてお声掛けしたことが繋がりとなった。
サポイン事業の中では、確認実験、具体的には、水の層流・乱流の実験、絞りの形状の検討をお願いするとともに、専門的な要素のアドバイスや先生方が元々開発されていた要素技術に基づくアイデアをいただいた。各先生には、進捗状況によって、何ヶ月かに1回は訪問いただいたり、当社から訪問したりして指導いただいた。

開発したピストンポンプの外観

「水」の圧力媒体により発生する課題を解決

研究開発での概要や苦労した点を教えてください。

従来技術では、ポンプを油で作動していましたが、水で作動すると挙動が違う。そのためコントロールには苦労した。例えば、表面張力は水の方が強く、バルブの制御が結構難しかった。通常はバルブの開閉は電気的に制御するが、水は圧力が変動することから、ピストンの同期制御や開閉したときのバルブを脈動が起きないように制御すること等、いろいろと社内で検討した。
ポンプに使用する水そのものについても、錆びない水ということで、純水から酸素や二酸化炭素の気体成分を取り除くことや、水素や窒素を入れることで酸化しにくい水を検討した。閉回路では脱気や気体を混ぜた水は使えたのですが、オープンにすると気体が混じるため、アルカリ系溶液をトライし、半年でも錆びないことは確認できた。現在、アルカリ系溶液による境界面での現象を確認しています。
さらに高速回転に対応できる回転軸も検討する中で、誘導モータのコイル側に電流が流れて発熱することは分かっていたが、誘導されるロータも電流が流れて発熱し、膨張が生じることで「かじる」ことが分かり、残った課題は社内で検討を進めている。

サポイン事業の成果をもとに事業展開を検討

サポイン事業の効果、今後の事業化について教えてください。

開発した高速回転軸受けユニット

研究開発の取掛かりで、中小企業は資金の問題があるが、サポイン事業では資金とともに目的も明確にして研究開発でき、その結果、ポンプの製品化にも繋がった。回転軸に関する残った課題については、鋳物にする前段階において、小スケールで検討を行い、そこから実用サイズに移行したと考えている。おそらく時間は2~3年掛かると思われるが、今後1年位で目途を付けていきたいと考えている。
半導体関係のSiC等の加工機に使うことを考えているが、現在作っている装置の中でメインとなるのは回転軸であり、その課題が解決できればと考えている。
その他には、高速スピンドルの領域で通常ベアリングやエアを使っているが、ベアリングでは回転数を上げられないことやエアだと剛性がない。剛性を上げて回転数を上げることができれば、違った加工ができることから、そこがもう1 つのターゲットと考えている。
また、大きなものを研削加工するときに、水を掛けて冷却して加工すると加工後に形状が変わる問題がある。本回転軸を使って、刃先で熱が出ないように切削加工できれば機械精度がそのまま転写でき、加工時間も短くできる。
食品業界でも回転軸を適用できる可能性がある。

サポイン事業を効果的に利用する上でのメッセージ、アドバイス

今後サポイン事業を活用する事業者へアドバイスをお願いします。

サポイン事業開始時にキラッと光るものが必要と事業管理機関の方に教えていただきました。その際には、日本の中で使う技術としての見方をした方がいいのではないかと思う。
一般的な回転体を使ったポンプは脈動が多いが、今回は静圧軸を使うことで余分なノイズを出さないポンプであり、今までと異なる形状で、コスト的に安くするということにも着目したものはおそらく世の中にないと考えている。

サポイン技術情報
プロジェクト名:
クリーンルーム環境対応の水静圧軸制御オイルレス加工マシンと防錆・循環水系システムの開発
事業実施年度:
平成26年度~平成28年度
研究開発の目的:
半導体業界向け定圧定量研削盤は油静圧軸受け機構であるため、不純物の混入を排除するクリーンルーム製造ラインへの導入が実現されていない。油に代わるクリーンな媒体を利用して、油静圧と同等の効率や高性能加工を実現するシステムを開発する。
事業化の状況:
電気防錆法による実験レベルでの防錆効果が確認出来たことから、今後は複雑な構造を持つ研削盤本体への実装に向けた研究開発を進める。スピンドルユニットのシステム開発を早期に進め、既存の研削盤に水静圧スピンドルを搭載して販売を行っていく。