不燃透明複合材とそれを用いた照明カバーの製造技術の開発
代表取締役 小山昭彦
FRP製造課 課長 伊藤佑輝
宮城化成と産総研の技術を融合させて開発したニューコンポジット「EXVIEW」
会社紹介
株式会社宮城化成は1987年に宮城県築館町(現栗原市)にて創業。FRP(強化プラスチック)製品の成型・加工及び建築工事、仮設資材のレンタル・販売等の業務を行っている。
同社の主要製品は自動車関係の内装パネルや外装パネルであり、その中でもトラック用エアデフレクター(屋根の上に搭載されているFRP製品)の受注が多く、その他では特殊自動車の内装・外装パネルなども手掛けている。
研究開発(サポイン事業)のきっかけと内容
平成21年に東経連ビジネスセンターのコーディネーターから産業総合技術研究所東北センター(以下、産総研)の開発した、不燃性、耐熱性、ガス遮蔽性などを特徴とする粘土膜(クレースト)を紹介された。
産総研の粘土膜と、当社の軽量で高強度、耐蝕性及び光拡散性などの特徴があるGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)の異なる2種類の材料を複合させることにより、不燃性、透明性、光拡散性、軽量性、安全性の全てを併せ持つ新規複合材の製作が可能と考え、平成22年度宮城・仙台富県チャレンジ応援基金事業により開発を行う。
その後、サポイン事業を活用、協力企業との連携により、開発を実施し、「不燃性」、「透明性」を有したGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)を完成させた。
共同研究の内容としてはGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)の難燃化を宮城化成で開発を行い、産総研と粘土メーカーにて不燃・透明材に適した粘土や粘土のペースト開発を行ってきた。
研究段階において、粘土膜とFRPの密着が悪く、不燃の認定を取るのに時間が要したが協力企業との連携により、お互いに技術を高め、開発を行うことによって、今回の不燃・透明体が完成した。
研究開発(サポイン事業)で苦労した点
GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)は、日本鉄道車両機会技術協会で認定している「不燃性」の認定取得を目指して着火試験等の実証実験を行った。
「不燃性」の試験は、「アルコール燃焼試験」と「コーンカロリーメーター」試験の二種類あり、「アルコール燃焼試験」では、被サンプルを斜めに傾けて、下側からアルコールに火を点けて、板に着火するか否かを確認する試験であり、実際に火が点かなくても、炎の色の変化や火花の発生によって、不燃認定ではなく難燃認定になることなどから、「不燃性」の認定取得に至るまでにかなりの時間を要した。
応用商品の現在
サポインの成果としては、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)の不燃性・難燃性が上がったというところと、最終的には鉄道用車輌の材料の燃焼試験で不燃の認定を取れたということが最大の成果。研究開発終了後、量産プロセスの確立、製品化を実現させた。
現在、観光列車の車両の照明カバーとして採用されている。また、研究開発を続けた結果、2019年2月に建築材料用の不燃認定も取得することが出来た。
今後の展開
今後は、鉄道車両以外に建築分野でも販路拡大を目指していく。そしてさらなる応用分野への拡大に向けて不燃透明材の普及を目指す。
主な受賞歴
2014年 日本粘土学会 技術賞を受賞
第8回 みやぎ優れMONOに認定
JEC Asia2016イノベーションアワード
紹介動画
研究開発技術情報
- プロジェクト名:
- 不燃透明複合材とそれを用いた照明カバーの製造技術の開発
- 事業実施年度:
- 平成23年度~平成25年度
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