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レーザ・パターニングとインモールド成形での異種材料複合化技術による次世代HV/EV用ECUケースの開発

ヤマセ電気株式会社(宮城県)
新規事業創出部 部長 早坂一則
主任技師 佐藤昌之

サポインによって量産化成功!革新的特許技術「レザリッジ」

会社紹介

車載組立

ヤマセ電気株式会社は1972年創業以来エレクトロニクス分野で事業を展開している会社である。
製品設計・金型設計製作・プレス・成形・基板部品実装・製品組立まで一貫して行う幅広いコア技術を有している。
主な製品は、車載電装ユニット・スマートフォン関連部品・警報機・カメラ等光学機器、更には自社製造のLED照明製品がある。

アピールポイント

LED照明「スーパーエコライトHPJ

部品加工から完成品組立まで一貫して行えるため、クライアントの手間を省き、品質改善やリードタイム、コスト面の削減を行うことができる。
「革新的製造への挑戦」という方針の基、日々改善を繰り返す技術向上心の高い企業だ。
技術力の高さは、自社製品の広告掲載機能付きLED照明「アドライト」が宮城県内の優れた工業製品に贈られる「第7回みやぎ優れMONO」を受賞したことからも証明されている。

特許取得技術「レザリッジ」

レザリッジの加工の様子

異種材料複合化技術「レザリッジ」は、レーザ加工により、金属の表面に強固なアンカー形状を作りこみ、樹脂部品と一体化する技術だ。
名前の由来は、接合部分の形状が「畑の畝」に似ていたことから「レーザ」+「リッジ」を合わせた造語で「レザリッジ」という商標を定めた。
レザリッジは、従来の接合と異なり、金属と樹脂を介在物なしで接合できるため、「部品点数の削減」「コストカット」「軽量化」「小型化」に成功した。

「レザリッジ」加工表面ステンレス

特徴としては、主に下記5点が挙げられる。

1.様々な異種材料と接合できる。
2.金属と接合した箇所だけに加工することができる。
3.処理した面を簡単に観察できるため、生産上での管理ができる。
4.経時変化が起きにくいため、長期間保管ができる。
5.汎用設備で行えるため、工程をシンプルにできる。

携帯やスマートフォン、自動車、航空機業界での活躍が想像できる革新的なレザリッジの開発には面白いエピソードがある。

失敗から生まれた新技術

新規事業創出部 主任技師 佐藤昌之さん

佐藤主任が、金属筐体のモデルにレーザマーカを使用して文字入れを行う際、設定を間違えたのが始まりだ。設定を間違えて掘られた表面の起伏が激しく、非常に食いつきの良い状態になっていた。
佐藤主任は拡大した表面の拡大画像を見て、同時期に研究していた接合テーマへの転用の可能性を感じた。社内で報告したところ「無理だ」という声もあったが、「あきらめないで開発したことが成功のポイントでした」と佐藤主任は言う。

サポインを申請したきっかけ

サポインの採択以前にレザリッジの基礎的な技術を得られていたが、事業化するためには、川下企業の獲得や品質の向上、量産体制を整える必要があった。
試作や評価、研究を持続する資金確保が必要だったため、株式会社インテリジェント・コスモス研究機構様からの紹介でサポインの採択を目指した。

サポインの良かったところ

新規事業創出部 部長 早坂一則さん

営業を担当した早坂部長と、開発を担当した佐藤主任からそれぞれ伺った。
早坂部長は、「サポインに採択されたという点で最初から一定以上の信頼を得られたこと。営業活動の際にも国に認められた研究成果ということで、訪問先に受け入れて頂きやすかったです。」と。

専用機器の導入の一例

佐藤主任は、「研究開発用の専用設備を導入できたこと。導入までは、製造部門の開いた時間で行っていたため、専用設備の導入で開発スピードが格段に上がりました。」と紹介してくれた。

思い出深い成果

工場内の様子

1. 川下企業の自動車メーカーに賛同頂けた。
サポイン成功のポイントとして、「川下企業の出口戦略」が重要だというアドバイスを頂き、獲得に動いていた。自動車メーカーに飛び込み訪問し、当日に承諾を得られたことが、本プロジェクトが好転していくきっかけになった大変思い出深い出来事だ。

2. サポイン開発中、量産に採用された。
サポインで準備した成果と資料を使い、クライアントに説明したことで採用された。
最大手スマホメーカーの外装標準部品に採用され、長期に渡って大量に量産中である。
多数の納入数にも関わらず「剥がれた」というクレームがない。品質の高さがわかる実績だ。

今後の展開

現在は「薄型」、「軽量化」に焦点を当て、携帯、スマートフォン、デジタルカメラ、などの筐体に力を入れている。今後は、「車載部品」や難易度の高い「航空機業界」、「宇宙産業」も視野に入れて開発を進めている。
また、「第7回みやぎ優れMONO」を受賞した自社製品LEDの更なる開発と販売を行っていく。

ヤマセ電気は、開発力と営業力、品質の高さでエレクトロニクス業界から日本のものづくりに革新を起こし続けてくれるだろう。

紹介動画
研究開発技術情報
プロジェクト名:
レーザ・パターニングとインモールド成形での異種材料複合化技術によるHV/EV用ECUケースの開発
事業実施年度:
平成23年度~平成25年度