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繊維業界で培った技術で、リチウムイオン電池材料を開発

テックワン株式会社
辰口研究センター
センター長 北野 高広 様

繊維産業で培った技術をリチウムイオン電池材料に展開

今回の研究開発が始まった背景を教えてください。

自動車産業は、21世紀に入り、ますます高まる地球環境保全問題やエネルギー問題に対処し、持続可能な循環型社会の実現に対応することが求められている。また、ハイブリッド車や電気自動車の市場の拡大、スマートフォンの需要増、自然エネルギーの送電系統のフラット化等のため、リチウムイオン電池の市場は拡大しており、その性能向上ニーズも高まっている。
わが国の繊維産業が非常に厳しい環境に置かれている中で、当社は、繊維だけではなく、常に新しいことにチャレンジし、世界の進化を見据えた新たな製品を市場に出すことを目指している。そこで、繊維業界で培った紡糸技術、熱処理工程や粉砕工程を含む特許取得済の新規製法を用いて、従来より小さな1µm以下のSiOの集合体を作製し、革新的な電気自動車向けリチウムイオン電池用シリコン負極材料を開発した。粒径が小さいため体積変化が小さく、容量及び電池寿命の向上が期待できる。

リチウムイオン電池用シリコン負極材料
リチウムイオン電池の構造

研究開発を進めるにあたり、どんなところに苦労されましたか。

サポイン採択前の苦労としては、採択後にスケジュールや内容に大幅な変更が生じないよう、予備検討を入念に行ったことだ。技術の開発はやってみないとわからない部分が大きいため、その部分で苦労した。採択後の苦労としては、決められたスケジュールどおりにプロジェクトを進めることだ。このプロジェクトは、一つの化学品=粉体を作るのに、いくつもスペックがある。ただ、サポインの期間が年度区切りなので、年度内に研究開発を完了しなければならず、スケジュール管理には苦慮した。なお、研究中に、顧客とのやりとりの中で新たな課題が見つかり、今回のテーマとは別に研究開発を進めている。

新たな市場への挑戦

繊維産業から自動車産業への参入にあたって、難しさは感じますか。

たしかに、サプライヤーの決まっている案件は、大企業が大企業に売るので参入障壁はある。しかし、自動車産業のパイ全体が大きくなっているので「サプライヤーが足りない部分は我々が補完する」という目論見で、テーマも市場も選び、販路開拓を進めているため、難しさは感じていない。

開発のパートナーとは、どのように連携し、進めていきましたか。

全体的なマネージメントは、事業管理機関である公益財団法人石川県産業創出支援機構(ISICO)が行った。採択前から、全体スケジュールや連携体の組み方等をアドバイスいただいたり、新たな連携先を紹介いただいたりした。採択後は、研究開発会議とは別に、定期的に実務者会議を開催していただき、細かい話はすり合わせたり、詰めたりすることができた。研究開発中に大きな問題が発生しなかったのは、事業管理機関がうまく調整してくれたことが大きい。加えて、共同研究を行った連携体が、それぞれコミュニケーション能力も開発能力も高いところだったので、プロジェクトをスムーズに進めることができた。これまで付き合いがあったところもあれば、事業管理機関から紹介を受けて初めて連携したところもあり、それぞれが自分の役目を果たすことで、滞りなく進めることができた。

研究開発から販路開拓まで一貫したサポート

サポインを活用してよかった点はありますか。

資金面はもちろんだが、研究開発のサポートだけでなく、販路開拓の面でも引き続きサポートしていただけるのは大変ありがたい。サポイン採択企業という条件で、経済産業省主催の商談会に参加できる。貴重な機会だけに、新たなビジネスマッチングに期待したい。

今後の事業化の展望を教えてください。

傘を一本売るのとは違って、電池はある程度まとまった量で動くので、電池メーカーへの有償提供というところまでは進んでいるが、電池メーカーから販売するまでにはまだ至っていない。現時点では、開発品として顧客に評価してもらっている段階である。今後は、提供先を増やすとともに、電池メーカーが事業化する、つまり、当社が作成した負極材料を用いたリチウムイオン電池が電気自動等に採用されるように、支援を続けていくことが課題である。

サポイン技術情報
プロジェクト名:
独自紡糸法による高容量・長寿命の電気自動車向けリチウムイオン電池用シリコン負極材料の研究開発
事業実施年度:
平成30年度~令和2年度