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世界が求める5G向け新素材・環境規制に
対応した黒色顔料を高機能&安定供給する技術を確立

中島産業株式会社
(左から)
生産部第2課係長  佐々木 敏秀 様
専務取締役     下條 克郎 様
代表取締役社長   中島 幹夫 様
総務部・購買部係長 鰐部 照巳 様

世界の環境規制の動きをつかみ、いち早く開発をすすめる

今回のテーマはどのような経緯で選定されたでしょうか。

導入した機器(微細粒子低減化粉砕分級装置)

世の中の流れを読む中で、「環境問題の動向」は重要だと感じている。今回のテーマもその中から生まれた。
EU諸国では電気・電子機器における生産から処分に至る全ての段階で、環境や人体に及ぼす危険性を最小化することを目的として、ローズ法が制定されている。このローズ法では、危険物質の使用が原則的に禁止されている。
例えば、自動車のリア・フロントガラスのエッジ部分に塗装膜として使われている黒色顔料。金属の自動車にガラスを載せると衝撃でガラスが割れてしまうため、金属とガラスの間に樹脂が塗ってあるが、これは紫外線で硬化してしまうため、紫外線遮蔽の素材が必要になる。一般的に使われているのが銅クロム顔料だが、これをガラスと混合してペースト化すると、焼付時に、有害な「6価クロム」に変化してしまう。
この部品はリサイクルできないため、そのまま廃棄されており、普通の水では大丈夫だが酸性雨にあたると6価クロムが溶出し土壌汚染を起こす危険性がある。そこで、次世代の環境対策顔料として、これらの有害物質を含まない黒色顔料を開発することになった。
そして、「コバルト・クロムフリー黒色顔料」については、すでに2012年にラボレベルでの開発に成功している。しかし量産化についてはまだまだ開発が必要であったため、サポインを活用し、安定供給できる生産方法の確立を目指したのである。
量産技術は非常に難易度の高いものだが、新たなテーマを設けて、高機能で安定供給できる生産方法の確立と、クリアしていた安全性をもう二段階ほどあげるように進めていった。
ラボで成功しているからといって、実際の生産現場で同様の結果が得られるわけではない。わずかな条件の違いが品質に大きな違いを生むため、今回の研究開発の中では、そこが最も時間を要する部分だった。

話題の「5G」の世界でも、この技術は注目されていますね。

5Gは従来の通信規格に比べて電気信号が減衰しやすいため、受信の躯体も従来の樹脂や金属から変えていかなくてはならない。そのため、5G対応スマホを開発するにあたっては、国内外のメーカーがしのぎを削って、新しい素材を求めているという段階だ。
当社の場合、強度のあるジルコニアに黒色顔料を加えたスマホケースについては、現在、大手世界企業に対して強度チェックやサンプル出荷の段階にきている。同時に、スマホの内部(半導体)にも、紫外線によって誤作動を起こさないように「電気絶縁性を持たせた黒色顔料」が必要なのだが、市場に存在しないため、5G関連で当社開発技術が大きな動きとなると期待している。

資金・スケジュール・チームの強力なサポートで開発が加速

サポインを活用してよかった点はありますか。

サポインのおかげで、資金的にもスケジュール的にも開発を加速できたと感じている。
採択前から自社で開発を進めてきて、「将来性のあることがわかっている、だからこの開発を必ず成功させるぞ」という思いを強く持っていた。しかし、さらなる改良に対して開発を継続させるには、まとまった資金が必要であり、そこに会社としての悩みがあった。そんな中でのサポインは、まさに「渡りに船」であった。
このチャンスをものにしようと現場も不屈の精神で取り組んでおり、トライアンドエラーの数は100や200では済まない。もう限界ではないかと思う瞬間が何度もあった。なかなか思った成果が出ないので、社内から不安の声もあったのも知っている。しかし、世界に名だたる会社からの引き合いの声が出てくると、不安視していた社内の雰囲気も前向きに変わり、結果的に良い効果があったと思う。
また、サポイン初年度は自動車産業へ特化した研究をしていたが、岐阜県産業経済振興センターのアドバイスで、2年目からは視野を広げ、セラミック部品向けやモバイル機器、携帯電話・タブレット電子部品向け、半導体封止材向けなど、新たな用途に対応する素材の開発を進めることになった。ありがたいことに、これがひとつのターニングポイントとなり、展示会での反響をきっかけに、5G向け製品を扱う世界各国の企業から多くの引き合いを受けている。とはいえ、すべては契約が締結されるまでわからない。確実なものにするために、私たちがやらなくてはならないことはまだあると感じている。これからもサポインを活用させていただきながら、事業を前へ前へと進めていきたい。

大口の需要に対応するための量産化を加速

今後の事業化の展望を教えてください。

導入した機器(連続バッチ式自動ユニット)

まずは、2021年2月から供給を開始。自動車ではなく現時点で需要の高い5G携帯関連から進めていく。もちろん自動車産業への供給も考えているが、採用までの期間が長いのと、5G化によって自動運転も様式が代わり、センサー類の変更も考えられるため、その時に条件に合うものを提供できるよう研究開発を継続中である。
今後はますます環境に関する規制が進み、現在は使用できる「銅クロム」もそのうち規制対象となるのではないか。そうなると、今後はさらに状況が変わってくるに違いない。
課題であった量産については、現在、月産15トン~30トンまでは生産可能であるが、さらに体制を加速させたい。

サポイン事業への挑戦を考えている企業さんに向けてアドバイスをお願いします。

サポインは事務作業等で煩雑な面はあるが、違った立場の専門家が集まり、プロジェクトを組むことによって、想定以上の成果を出すことができると実感した。また、サポインで良い関係を構築できたことで、様々な案内や取引先の紹介をいただくこともあった。このように、繋がりや広がりが生まれるのが、サポインの良さだと思う。サポインは、研究開発が簡単にできない今の時代に、非常にありがたい制度なので、うまく活用しながら事業拡大を目指していくと良いと思う。

サポイン技術情報
プロジェクト名:
次世代の環境規制を見据えたコバルト・クロムフリー黒色顔料の開発
事業実施年度:
平成29年度~令和1年度