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近未来型AIコンセプトカーに採用され
「関西ものづくり新撰2021」最優秀賞受賞!

(上段左から)
大喜株式会社 山崎 泰弘 様
大喜株式会社 常務取締役 岩本 類 様
大喜株式会社 専務取締役 山本 優子 様
(下段左から)
福井県工業技術センター 新産業創出研究部e-テキスタイル研究グループ主任研究員 笹山 秀樹 様
大喜株式会社 代表取締役 山本 岳由 様
ふくい産業支援センター オープンイノベーション推進部プロジェクト推進室室長 近藤 幸江 様

自動運転化で「内装に求められる機能」が変わった

光る織物誕生のきっかけとなった次世代型自動車の構想とはどんなものですか。

全自動整経機

現在、自動車内装材において、AI(⼈⼯知能)を活⽤した⾃動運転向けの新機能の構築が進んでいる。この自動運転化によって、これまでとは違った車内空間が誕生する。その中のひとつの要素として、光る織物についての話があった。光る織物自体のアイデアは面白いと思ったが、必ずしも自動車のシートである必要はないのではとその時は思った。しかし、自動車メーカーは次世代自動車に革新的なアイデアや機能を求めている。そして、自動運転にしても、完全に自動運転に切り変わるのではなく、飛行機のように手動と自動を併用しながら、という形で徐々に浸透させていくことになる。
その際に大切なのは、危険を知らせる手段だ。その手段として、今回織物を光らせサインを送るという構想が挙げられた。織物は、柔軟性に優れ、加工しやすいだけでなく、布の持つ温かみや高級感、ドライバーや同乗者が長時間乗車してもくつろげる心地よさの演出も可能で、デザイン面においても新しい可能性を秘めているためだ。
そのため、当社が開発した世界初のジャカード織とからみ織を融合した技術を使って、特殊側面発光糸の織物開発を始めた。デザイン性の高い発光ジャカード織物を実現するため、特殊側面発光糸をよこ糸に織り込む方法を採用している。

感性と機能性を両立する「発光ジャカード織物」

この技術の応用として、サポインではどんな開発を行いましたか。

まずその時使っていた設備で試したものの、よこ糸挿入時に特殊側面発光糸を適正に製織することができなかったため、サポインを活用し、新たな装置を導入。実用化・生産性・コストという課題をクリアする技術を確立することにした。
この技術は、大手自動車メーカーが開発している未来志向型コンセプトカーの車内のルーフに採用されている。これは自動運転時にはグリーン、通常運転時にはブルーの光が照らすように設定されている。事情があり、これまで公開することができなかったが、今後は、サポインで開発した新技術を大いにアピールしていきたい。

LightWeave写真(通常時)
LightWeave写真(導光時)

社内においてどのようにプロジェクトを進めましたか。

社内での開発は、私(社長)を中心に行った。通常業務もある中、新たに社内でチームを組んでサポインに取り組むというよりも、開発に必要な技術課題に直面した時に、その都度社内のスペシャリストに声をかけていき、ひとつずつ解決をしていった。
ものづくりのポリシーとして、社長が率先して現場主義でいなければ、いいものを生み出せないと思っている。開発とは、会社の命運を分ける真剣勝負であり、誰かに任せて楽はしていられない。

大手自動車メーカーも注目する発想力と専門性

自動車業界は何層にもなっていて、大手自動車メーカーと直接つながることは難しいと聞きます。そのつながりの秘密は何ですか。

運も味方していると思うが、しいて言うなら、大手自動車メーカーは、技術開発が重要事項であり、基本的にものづくりを大切にしているから、当社のような変わった発想のある企業に興味を持っていただけるのではないか。
当社は昔、大手紡績メーカーの特定工場として、ドレープカーテンなどを作っていた。二代目の私が社長に就任したのは、バブルがはじけてインテリアの需要が減り売上が急落した頃。何とか事業を安定させようと背水の陣で自動車産業への参入を試みた。当時、自動車のシートはビニールや編物製が多く、それゆえに差別化できると考えたが、思った以上に苦戦した。そんな頃、インテリア関係の取引先から声がかかり、高級セダンの「V」のシート地に採用されることになった。3車種の統合・後継車として登場したモデルだが、3年ほどで販売終了。再び苦境に立たされ、四苦八苦する中、「E」の特別仕様車に採用されたことがきっかけで、ようやく軌道に乗ることができた。そこでは、捨て身で進むしかなかった。多くのトライアンドエラーで今があり、数々の発想も、そこから生まれたものだ。
そんな経験から二代目社長にアドバイスするなら、先代の事業を守る必要はない、ということだ。「家業を何としても守っていかないと」と考えてしまうが、時代は変わっていくから、基礎はのこしたとしても、代が代わったら自分の新しい会社を一から築けばいい。おそらく、大手の方々も、同じものを感じてくださっているのかもしれない。

サポインを活用して良かったところはありますか。

特殊側面発光糸用複合開口開口システム搭載型レピア織機

多くの知見を活用できること。自社だけで開発するには限界があるが、アイデアの広がりや問題解決の方法など、他社・他団体との関わりによって、化学反応を起こすこともある。もちろん他の補助金に比べて、大きな金額であることも魅力だ。
ちなみに、サポインを活用することにしたのは、福井県工業技術センターの働きかけがきっかけだった。センターの設備を導入し、これをベースマシンとして進めていくことにしたのだが、その際にセンターからサポインをすすめられたのだ。周囲からは、サポインに1回で採択されるのは非常に難しいと聞いていたが、確かに大変で、提出書類の書き方に慣れていないうちは何度も書き直し、写真1枚のために何度も撮り直すなどわかりやすい書類作りのために徹夜で仕上げたこともある。しかし、親身になってサポートしていただいたおかげで採択に至ることができた。これはひとえに、導いてくれる人がいたおかげだったと思う。本当に感謝している。
サポインは新しい関係を生み、新しい情報を取り込んで、新しい分野にも切り込んでいくことができる。頑張るだけの価値はあったと思うので、機会があればぜひ挑戦してみてほしい。

そしてこの技術は、近畿経済産業局の「関西ものづくり新撰2021」において最優秀賞を受賞されました、おめでとうございます!

ありがとうございます。この不安定な時代に、国が資金以外にも産業を後押ししてくれるというのは、非常にありがたいこと。これも補助金を活用するメリットのひとつだろう。
私が新米社長だった頃、自動車シートの開発に転向したものの、何をしてもうまくいかない時代があった。そんな私を見かねてか、ある川下企業の方が細かく面倒みてくださったおかげで今がある。その時にその方から「とにかく愚直にやりなさい」と教わった。その時から、目の前の開発に真剣に取り組み、そこで生まれた人との関わりを大切にしている。この賞は、そのひとつの成果であると思う。ここで満足して立ち止まらず、次は光源とコラボして、さらなる挑戦へ移行するつもりだ。