バイオ
人工構造タンパク質を用いた内装表皮向け生地開発及び内外装樹脂部品向け複合材料開発
山形県
Spiber株式会社
2026年2月6日更新
プロジェクトの基本情報
| プロジェクト名 | 人工構造タンパク質繊維を用いた自動車内装用部材開発 |
|---|---|
| 基盤技術分野 | バイオ |
| 対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、自動車 |
| 産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、環境配慮 |
| キーワード | タンパク質、サステナビリティ、自動車部品、複合材料、内装表皮 |
| 事業化状況 | 事業化に成功 |
| 事業実施年度 | 令和4年度~令和6年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本事業では自動車産業における環境負荷の低い新素材へのニーズの高まりを受け、低環境負荷素材 である人工構造タンパク質繊維を用いた自動車内装用部材開発に取り組む。本事業の開発対象として「自動車シート・内装材」と「内外装樹脂部品」を設定した。自動車シート・内装材については、紡績関連メーカと連携し、人工タンパク質の紡績糸及び防縮・染色加工技術の開発を行なった。内外装樹脂部品については、自動車向け複合材関連メーカと連携し、熱可塑性樹脂複合材の開発を行なった。
開発した技術のポイント
【自動車シート・内装材】
現状、人工構造タンパク質繊維は、肌触りや風合いの良さ、複数種類の繊維を混紡することによる保温性等の機能性の付与等の特徴を有することから、アパレル向け繊維としての適用が進んでいる。このような優れた特徴を持つ紡績糸を自動車シート・内装表皮として使用する上では、「構造タンパク質繊維の強度や耐摩耗性、収縮率等の物性の向上」と「自動車産業への普及に向けた量産化対応」が必要となるため、リサイクルPET繊維と紡績することにより、風合いと耐久性を両立した新規紡績糸の開発を行なった。
【内外装樹脂部品】
現行材料である熱可塑性樹脂(ポリプロピレン)複合材料に対して、タルクの代わりに人工構造タンパク質繊維及び粉末を補強材として加え、樹脂の物性を向上させることによって、現行素材と同等の性能を、より少ない材料で実現し、樹脂使用量の低減を図った。
具体的な成果
【自動車シート・内装材】
人工構造タンパク質繊維とリサイクルPET繊維を用いた紡績糸の開発、量産プロセス確立、防縮率10%以下の染色・防縮工程の最適化を達成し、自動車シートカバーとして2026年春以降の搭載・販売が予定されている。また、ダッシュボートマット試作も実施。
【内外装樹脂部品】
PPに添加する人工構造タンパク質繊維の前処理、最適繊維長(1mm)・繊維径(10〜13μm)の決定、複合材料配合・押出条件の最適化により、曲げ弾性率やシャルピー衝撃強度などの自動車部品要求物性を達成した。
知財出願や広報活動等の状況
【内外装樹脂部品】
BP繊維の添加によりPPの耐熱性が向上したことを受け、当該複合化技術について特許出願済み。
研究開発成果の利用シーン
【自動車シート・内装材】
開発した人工構造タンパク質紡績糸により、自動車シート・内装表皮の強度・耐摩耗性を確保しつつ、量産対応が可能となる。
【内外装樹脂部品】
人工構造タンパク質繊維の添加により、現状のPP製部品の性能を維持しつつ、PPの使用量を低減可能であり、ルーフガーニッシュやドアトリム、インパネなどの部品への適用により、環境負荷低減が可能になる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
トヨタ自動車・THE NORTH FACE・Spiberの協業により、ランドクルーザー向け自動車シートカバーへの採用が決定し、2026年3月に販売予定である。また、内外装樹脂部品では部品試作・評価を通じ、事業化への具体的なロードマップを形成し、自動車メーカへの部品提案に向けて進捗している。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
BP-リサイクルPET紡績糸を用いたテキスタイルは、自動車メーカー要求品質を満たし、強度・耐摩耗性を備えながら、快適な触感と環境負荷低減を実現できる点が強みである。また、PPへの人工構造タンパク質短繊維の添加により耐熱性を大幅に向上できることが確認されており、従来材料では難しかった熱的特性の改善が可能となる。これらの成果は、自動車業界におけるリサイクル材利用やサーキュラエコノミー推進のニーズに応えるものであり、環境性能と実用性能を両立する素材として訴求できる。
今後の実用化・事業化の見通し
シート分野では、ランドクルーザー向け採用に続き、アクア等の量産車向けシートカバーの開発を進め、2026年7月以降の発売を予定している。また、標準シート材としての採用に向けて2025年8月から研究開発を開始し、大規模採用を目指す。樹脂部品分野では、耐熱性に加え線膨張率や曲げ特性、成形性、塗装性などの評価を継続し、部品としての優位性を示すことを通じて事業化を進める。材料改良と試作評価を並行し、幅広い適用拡大を図る。
実用化・事業化にあたっての課題
シート分野では、量産車の標準シートとしての採用に向けて、さらなる品質管理体制の強化や量産対応が必要である。また、BP皮革素材や再帰反射シート等の新形態展開においては、各企業との連携を進める必要がある。樹脂部品分野では、人工構造タンパク質短繊維の添加率低減や複合材料の物性向上、複合化工程ごとの技術開発が課題となる。さらに、部品としての性能評価を通じて、材料特性だけでなく部品全体での優位性を確立することが今後の実用化の鍵となる。
プロジェクトの実施体制
| 主たる研究等実施機関 | Spiber株式会社 R&D支援室 |
|---|---|
| 事業管理機関 | 一般社団法人構造タンパク質素材産業推進協会 虎ノ門事業所 |
| 研究等実施機関 | 長谷虎紡績株式会社 本社工場 公立大学法人富山県立大学 客員教授 永田 員也 |
| アドバイザー | トヨタ自動車株式会社 小島プレス工業株式会社 アウンデ紡織株式会社 |
参考情報
- Spiber株式会社
- https://spiber.inc/ja
主たる研究等実施機関 企業情報
| 企業名 | Spiber株式会社(法人番号:5390001008354) |
|---|---|
| 事業内容 | 繊維工業(衣服,その他の繊維製品を除く) |
| 社員数 | 255 名 |
| 生産拠点 | タイ国にて発酵量産プラントの運営、およびポリマーの製造 |
| 本社所在地 | 〒997-0052 山形県鶴岡市覚岸寺字水上234番地1 |
| ホームページ | https://spiber.inc/ |
| 連絡先窓口 | Spiber株式会社 Material部門 R&D支援セクション セクションマネージャー 村田 真也 |
| メールアドレス | murata@spiber.inc |
| 電話番号 | 0235-25-3907 |
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