バイオ
マイクロRNAの活性を検出する「RNAスイッチ」技術を活用して、新しい疾患標的であるマイクロRNAを探索し、これまでになかった治療薬を開発する。
京都府
株式会社aceRNA Technologies
2025年1月27日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | RNAスイッチを用いた新規創薬ターゲット探索技術の研究開発 |
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基盤技術分野 | バイオ |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(信頼性・安全性向上) |
キーワード | miRNA,RNA switch,RNA医薬品 |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 令和2年度~令和4年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
・ヒト由来のmiRNA2,657種について細胞での活性をスクリーニングできるシステムを構築。
・本活性データを基に合成したRNAスイッチで細胞および生体のmiRNA活性を検出できることを確認。
・スクリーニングで得られたmiRNA活性・発現量データを細胞情報と共にデータベース化し、細胞特異的なmiRNAを自動的にランク付けするシステムを構築。
開発した技術のポイント
・RNAスイッチライブラリーを用いた疾患細胞に存在するmiRNAの同定
-次世代シークエンサーによるmiRNA活性スクリーニング手法を導入し、データの精度向上、必要な細胞量の低減を実現し、ヒトmiRNA2,657種についてデータ収集を完了。
・in vitroおよびin vivo試験
-RNAスイッチを利用することで5種以上の細胞で、内在性のmiRNA活性を評価できることを確認。
-RNAスイッチを利用することで、ヒト細胞で見出された細胞特異的なmiRNA活性をマウスの生体で検出可能であることを確認。
・標的miRNA探索プラットフォームの構築
-自社データベースを基にターゲット候補の自動選抜システムを構築。
具体的な成果
・RNAスイッチライブラリーを用いた疾患細胞に存在するmiRNAの同定
-次世代シークエンサーによるmiRNA活性スクリーニング手法を導入し、「細胞や試薬にかかるコストを1/4に削減」を大きく上回る効果が得られた。
・in vitroおよびin vivo試験
-確立したOFFスイッチを用いた評価系を利用し、市販のmiRNAアンチセンス試薬を用いて阻害効果を検証した結果、90%以上の抑制効果を確認。また、ONスイッチの配列最適化に取り組んだ結果、miRNAの相補配列の塩基を1つ置換することでONスイッチの効果向上を確認。
-上記RNAスイッチを利用することで、ヒト細胞で見出された細胞特異的なmiRNA活性をマウスの生体で検出可能であることを確認。
・標的miRNA探索プラットフォームの構築
-Switch-seqを活用したスクリーニングを展開した結果、ヒト初代細胞23種における全miRNA活性データを得た。
-miRNA発現量についてもヒト初代細胞26種、ヒトiPS細胞から分化誘導された細胞8種、計34種について測定し、データを得た。
研究開発成果の利用シーン
mRNAを治療薬として活用する可能性を探る製薬企業が増えてきている。本技術は、mRNA治療薬やウイルスベクター治療薬への応用について、以前から多くの関心を集めている。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
令和4年度のIVIS実験でin vivoでmiRNA活性が機能しているエビデンスを得たことにより、秘密保持契約下で協議する比率が直近の半年で40%程(59社中24社)に至った。令和6年時点で米・ファイザー社との共同研究を実施中で、その他複数の医薬品メーカー及びCDMOと具体的な協議を進めている状況にある。
提携可能な製品・サービス内容
共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
ヒトmiRNA 2,657種の細胞内での発現及び活性をスクリーニングできるin vitro プラットフォームを構築した。また、このプラットフォームを用い、ターゲット細胞内で検出されたmiRNAの発現量と活性をもとに作成したRNA switch をマウスに投与した結果 、生体内でも同様にターゲット細胞特異的に機能していることを示すエビデンスが得られている。
今後の実用化・事業化の見通し
今回整備したデータを活用してよりターゲットの細胞に対する特異性の高いmiRNAを選択可能となることから、今後、細胞特異的あるいは疾患特異的なmiRNAを探索し、RNA創薬に活用する要望が高まっている。実際に製薬企業との共同研究及び自社のPOC研究をすでに開始し、治療薬の創出を目指した創薬研究を加速している。これらの研究成果をもとに2027年までにIPOを実現するために事業展開を進めている。
実用化・事業化にあたっての課題
デリバリー技術、miRNAの安定性とターゲット遺伝子の持続的な発現を確保する技術が重要である。デリバリー技術については、専門企業との協業について検討することを推奨されるが、すでにデリバリー技術の特許を複数有する事業会社との共同研究を進めている。また、ターゲット遺伝子の持続的な発現ついては、viral-based self-amplifying mRNA (replicons)等の新たなRNA デザインの技術導入を進めて行く。
事業化に向けた提携や連携の希望
RNA医薬品を製造・開発中の製薬企業とのRNA switchを用いた医薬品開発の連携を模索中、また、RNA医薬品の開発に必須となる脂質ナノ粒子等のドラッグ・デリバリー技術を有するCDMOとの事業提携を模索中。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社aceRNA Technologies |
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事業管理機関 | 公益財団法人京都高度技術研究所 |
アドバイザー | 京都大学 iPS細胞研究所 藤田 祥彦氏 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社aceRNA Technologies(法人番号:3130001061959) |
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事業内容 | 医薬品開発 |
社員数 | 14 名 |
本社所在地 | 〒606-8304 京都府京都市左京区吉田下阿達町46-29 イノベーションハブ京都 |
ホームページ | https://acernatec.com/ja/ |
連絡先窓口 | 代表取締役 須川史啓 |
メールアドレス | f-sugawa@acernatec.com |
電話番号 | 075-757-6234 |
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