材料製造プロセス
医療,畜産コスメで広く利用される短鎖核酸を大量に製造するための連続生産装置を試作する
兵庫県
株式会社ナティアス
2026年2月5日更新
プロジェクトの基本情報
| プロジェクト名 | 核酸連続生産装置の開発 |
|---|---|
| 基盤技術分野 | 材料製造プロセス |
| 対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、農業、化学品製造 |
| 産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化 |
| キーワード | 連続生産、完全封じ込め、PAT |
| 事業化状況 | 実用化間近 |
| 事業実施年度 | 令和4年度~令和6年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本課題において、申請企業と神戸大学が持つ核酸製造技術と静岡大学の技術を融合した完全自動生産システムの開発を行う。提案者は製造上の問題を解決するためにBlockmerと呼ばれる複数のヌクレオチドが予め連結した中間体原料を開発し、核酸APIの高品質化を進めてきた。Blockmerを用いることで、本質的に不純物の種類が大きく低減される。不純物の少量化によって、精製負荷が下がり、生産性が向上するという副次的な効果も存在する。提案者と東レエンジニアリング社で共同開発した核酸合成装置「Molecutideser」は、海外の競合メーカーの装置に比して、品質面で大きな優位性があり、市場の評価も高い。
開発した技術のポイント
・Blockmer技術の実装により高純度な核酸が得られる
・フロー合成技術により生産性が2桁以上向上する
・工程削減により機械駆動部が極小化される
・上記を統合することにより、連続生産が実現する
Blockmer技術の実装は工程の最短化に貢献し、シンプルなシステムとなることからフロー合成技術が実現する。2種の8量体Blockmerを結合させる工程を2つの溶液を高精度に混合することで結合させ、その後の処理剤を反応液が流れるチューブ内へ適宜追加することで、製造を完結させる。反応溶液が流れるチューブが反応場となり、製造スケールは送液速度を固定した状態で送液時間のみを変数とすることでパイロット製造から本格製造までを同一の装置でおこなうことが可能となる。
具体的な成果
オリゴヌクレオチド(短鎖核酸)の連続生産装置を試作した。各プロセスに必要な装置において製造条件を最適化した後、各装置を接続した。試作機の長期運転をおこない、問題なく稼働することを確認した。具体的には、4kgのヌクレオシド原料を合成し、8量体BlockmerをKgスケールで合成可能な製造法を開発した。98%以上の純度であり、クロマトグラフィ精製も不要なプロセスの最適化に成功した。脱保護工程では50°C,7hという短時間で変換率100%を達成し、24量体以上のDNAの脱保護にも対応した。膜分離精製法では回収率70%を達成し、電気透析装置についても同様の回収率を達成した。24時間稼働の他、1週間の稼働試験についても実施し、大きな問題なく完了した。
知財出願や広報活動等の状況
すでに国際特許を申請し日米印で権利化、欧中で移行中のBlockmer中間体の使用により工程が大幅に削減され連続生産が実現すると想定し、装置を設計した。Blockmerは物質特許により保護されており、商標も取得している。他社の参入障壁は非常に高い状況となっている。競合他社も近年開発された低分子や抗体医薬品の製造例を参考にフロー技術の導入を計画しているが、16量体以上の核酸の合成には60工程以上が必要となるため、せいぜい数量体程度の合成にとどまる。16量体以上の核酸をフロー技術で製造するためには少なくとも4量体以上のBlockmerが必要であるが、これらBlockmerの物質特許は各国で権利化されることから他社の参入障壁が著しく高い状況となっている。
研究開発成果の利用シーン
本装置では製造管理も徹底されるため、生産される核酸は工業、医療、畜産、コスメなど様々な分野での利用が期待される。核酸受託製造市場は現在500億円程度の規模であるが、今後10年で2,000億円を越える市場になると予測されている。本提案の連続生産装置は原料の投入から粉末化まで外気に触れることなく装置内で完了するため、完全な封じ込めが実現し、クリーン施設は不要となる(装置メンテナンスのために清浄なエアーカーテンを送風するアイソレータのみ装置の上方に設置する)。従来技術の10分の1以下の製造コストとなるため、輸送コストを考慮しても、海外競合に対して十分な価格競争力も確保できると考えている。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本事業では、すでに上市されている東レエンジニアリング社と共同開発したMolecutideserをベースに、提案者のBlockmer原料を適用し、スケールアップとPART11対応、PAT技術により工業利用から医薬利用まで可能な核酸の生産機を試作する。ナティアスが基本設計した合成装置をWaters、旭化成、Merck、Buchiの装置を統合して製作した。生産機はこれを簡素化した装置を新たに設計/製造し、GMP生産を本格化する。生産に使用するBlockmer中間体の原料が国内外の複数のサプライヤーからナティアスに供給される。連続生産装置はBlockmer中間体の生産にも利用され、事業完了後には核酸APIに加えてBlockmerについてもナティアスが製造元となり製販をおこなう。
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、製品製造、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
・Blockmer技術の実装により高純度な核酸が得られる
・フロー合成技術により生産性が2桁以上向上する
・工程削減により機械駆動部が極小化される
・上記を統合することにより、連続生産が実現する
従来技術の10分の1以下の製造コストとなり、輸送コストを考慮しても海外競合に対して十分な価格競争力を確保できる。通常核酸製造は7つのプロセスをそれぞれ別のクリーンルーム内で作業する必要があり、広大な面積のクリーン施設が必要となるが、本提案の連続生産装置は原料の投入から粉末化まで外気に触れることなく装置内で完了するため、完全な封じ込めが実現し、クリーン施設は不要となる。
今後の実用化・事業化の見通し
本装置を利用する実生産に向けて施設の整備計画を策定し、製造管理体制の整備も進めている。核酸連続生産施設図面では左側中央プールのエリアに本事業で開発した試作機、右に大規模な生産機を新たに設置予定である。業界トップ企業と連携し、グローバルな販売網を構築する。平時より、ワクチン開発/製造用部素材をグローバルに供給する。上記アライアンスを活用し、平時よりアジュバント、CAPアナログだけでなく他の部素材、例えばDNAテンプレートや高純度mRNAについて、独自中間体を活用してグローバルに供給し、パンデミック時に迅速供給できる体制を構築する。核酸業界に影響力のある米国に本社を持つ業界リーダー(Alnylam、Ionis等)との契約が呼び水となり核酸医薬を開発しているその他製薬企業からの引き合いが急増すると想定する。
実用化・事業化にあたっての課題
核酸APIの製造方法は20年以上変わらず、それは核酸合成技術が変わらないからに他ならず、近年の製造設備の成熟により、生産性が一部改善されたに過ぎない。すなわち、品質や生産性の改善には核酸合成技術の根本的な開発が必要となる。また、フロー合成技術の分野から見ても、条件を微調整するだけで様々な配列や鎖長が可能で、配列の違いによって機能や用途が異なる核酸はフロー合成の応用、アウトプットとして理想的であると考えられ、本成果は学術領域の発展にも大きく貢献するものである。業界リーダーからの契約の獲得を当社の最重要アクティビティと位置付けて活動している。
プロジェクトの実施体制
| 主たる研究等実施機関 | 株式会社ナティアス |
|---|---|
| 事業管理機関 | 株式会社ナティアス |
| 研究等実施機関 | 株式会社ナティアス 国立大学法人神戸大学 国立大学法人静岡大学 |
主たる研究等実施機関 企業情報
| 企業名 | 株式会社ナティアス(法人番号:3470001015352) |
|---|---|
| 事業内容 | 製造業 |
| 社員数 | 17 名 |
| 本社所在地 | 〒650-0047 兵庫県神戸市中央区港島南町5−5−2 |
| ホームページ | http://www.natias.co.jp/ |
| 連絡先窓口 | 株式会社ナティアス 管理部 横田由美子 |
| メールアドレス | keiri@natias.co.jp |
| 電話番号 | 078-599-9495 |
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