材料製造プロセス
マルチフィジックス解析を活用した変形予測
京都府
株式会社KOYO熱錬
2026年2月9日更新
プロジェクトの基本情報
| プロジェクト名 | ロジカル熱処理を実現するシミュレーション援用ゆがみ制御システムの開発 |
|---|---|
| 基盤技術分野 | 材料製造プロセス |
| 対象となる産業分野 | 航空・宇宙、自動車、産業機械 |
| 産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加) |
| キーワード | マルチフィジックス、窒化 |
| 事業化状況 | 実用化間近 |
| 事業実施年度 | 令和4年度~令和6年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本研究開発は、ロジカル熱処理を実現するシミュレーション援用ゆがみ制御システムの開発を目的とした。具体的には、団体急冷のない熱処理をゆがみ制御システムで支援することで、論理的に実施される熱処理を実現することである。
開発するゆがみ制御システムには、マルチフィジックス有限要素法に変態予測と複合則の機能を付加した熱処理シミュレーションソフトと、窒化部品に対して最適な窒化前形状を探索するためのゆがみ制御支援ソフトが含まれる。基盤ソフトとしてCOMSOL Multiphysicsを用い、窒化、高周波焼入れ、浸炭と高周波焼入れの複合処理等の熱処理を対象として、経済的にシミュレーションソフトを開発した。これにより、高精密部品の熱処理ゆがみに起因する多大な経済損失の解消を目指した。
開発した技術のポイント
・窒化シミュレーション機能の開発
‐窒化化合物の析出を考慮したモデルへと改良し、拡散層中における窒化析出モデルをCOMSOLに実装
‐計算負荷の少ない新しい窒化モデルを開発し、レーラー図の理論計算結果を組み込むことで化合物相の生成、形状変化、応力発生を時系列的に予測可能
・画像からのシミュレーションモデル生成機能
‐CADデータや図面がない場合でも画像情報から形状再現が可能となり、実用性が向上
・ゆがみ制御支援機能
‐各種ひずみの分布データを抽出・図化するソフトを開発し、ゆがみと発生する応力を可視化
・連続処理シミュレーション機能
‐窒化の質量%と相の体積分率の関係において、化合物層とみなす領域を窒素濃度を閾値として設定することで連続処理に対応
具体的な成果
・熱処理シミュレーション機能において、既存ソフトと同等の計算結果を確認し、窒化物生成に関する計算機能の妥当性を検証した
・丸棒試験片を用いた検証では、外径の小さい丸棒ほど伸び率が大きいことを実験で確認し、シミュレーション結果との相対差はなく目標を達成した
・板試験片を用いた検証では、シミュレーションと実測値の差異は約20%であったが、化合物層の厚みに換算すると1マイクロメートル未満に収まり、実用上十分な精度を確認した
・歯車試験片を用いた検証では、歯先および歯元位置におけるシミュレーションによる形状変化量は実測値とほぼ一致し、誤差は数マイクロン程度に収まった
・残留応力緩和モデルにおいて、窒化前加工による残留応力については、応力除去焼鈍を実施することで残留応力を緩和することをモデルとして組み込むことが有効であると確認した
研究開発成果の利用シーン
・次世代自動車、航空機、エネルギー機器等の高精密部品における熱処理ゆがみ制御
‐電気自動車の静粛性要求等に対応した異次元の精度制約への対応
・従来の浸炭焼入れから窒化、高周波焼入れ、複合処理等への移行によるゆがみのばらつき低減
・シミュレーションを用いた論理的な熱処理実施による試行錯誤の削減と経済損失の解消
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・本シミュレーション技術により、熱処理工程を事前に最適化することで部品の軽量化や高精度化を実現し、温室効果ガス削減にも貢献できる。今後も航空・産業機器分野の高度化ニーズに応え、より効率的で高品質なものづくりを支える技術として展開していく。
提携可能な製品・サービス内容
加工・組立・処理
製品・サービスのPRポイント
・市場に存在しない窒化プロセスのシミュレーション機能を実現し、他の熱処理ソフトウェアがカバーできていない分野での競争優位性を確保
・COMSOLをベースとした汎用性の高い計算機能により、窒化、高周波焼入れ、浸炭と高周波焼入れの複合処理等の幅広い熱処理に対応
・画像情報からシミュレーションモデルを生成する機能により、CADデータや図面がない場合でも利用可能で実用性が高い
・計算負荷が少ない新しい窒化モデルにより、現場で扱いやすく実用的なツールを提供
・丸棒、板、歯車等の試験片での検証により、実測値との高い一致性を確認済み
・熱処理の現場でシミュレーションに馴染みがない方も手軽に扱えるよう、ソフトウェアの使い勝手向上を検討
・世界的なソフトウェアであるCOMSOLをベースとすることで国際展開が容易
今後の実用化・事業化の見通し
今後は、熱処理工程の生産性向上を目的に、大学と連携して多様な材料に対応できる高度化シミュレーションモデルの開発を進める。これにより、より広い部品に適用可能な技術として実用化を進め、将来的な事業化・生産能力向上につなげていく。
プロジェクトの実施体制
| 主たる研究等実施機関 | 株式会社KOYO熱錬 |
|---|---|
| 事業管理機関 | 公益財団法人京都高度技術研究所 |
| 研究等実施機関 | 株式会社KOYO熱錬 学校法人近畿大学 |
主たる研究等実施機関 企業情報
| 企業名 | 株式会社KOYO熱錬(法人番号:9130001006388) |
|---|---|
| 事業内容 | 自動車、航空機、各種産業機械のっ金属熱処理加工を行う。 |
| 社員数 | 28 名 |
| 本社所在地 | 〒601-8349 京都府京都市南区吉祥院池田町38 |
| 連絡先窓口 | 株式会社KOYO熱錬 技術部 |
| メールアドレス | koyo550@skyblue.ocn.ne.jp |
| 電話番号 | 075-671-7121 |
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