材料製造プロセス
環境配慮型セルロース材料複合樹脂の研究開発
静岡県
TENTOK株式会社
2026年2月9日更新
プロジェクトの基本情報
| プロジェクト名 | 製紙技術を応用したミクロ微細化セルロース繊維によるガラス繊維強化樹脂代替材料の製造プロセスの研究開発 |
|---|---|
| 基盤技術分野 | 材料製造プロセス |
| 対象となる産業分野 | 自動車 |
| 産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(小型化・軽量化)、環境配慮 |
| キーワード | セルロース複合樹脂、二軸混練、射出成形、自動車、軽量化 |
| 事業化状況 | 研究実施中 |
| 事業実施年度 | 令和4年度~令和6年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
製紙技術を応用したミクロ微細化セルロース繊維によるガラス繊維強化樹脂代替材料の製造プロセス研究開発を行った。従来のナノセルロースでは衝撃特性が要求の半分程度に留まり、パルプ繊維では樹脂中への分散が困難で強度特性が劣るという課題があった。そこで両者の中間的なサイズである繊維長約1mm程度のミクロレベルに微細化したセルロース(MC)を用い、MCと化学繊維を均一分散させた独自の混抄紙製造技術を活用した。この技術により試験的に試作したMC/PP混抄紙をPP樹脂と混練することで、従来品とは異なり衝撃特性が大きく向上することを発見した。川下企業で使用するペレット形状の製品を提供するための量産技術確立を目指した。
開発した技術のポイント
・MCの形状制御方法の確立
-繊維長0.1~1.0mmの占有率50%以上を実現する微細化条件を確立
-大型微細化処理装置で10t/月の量産体制を構築
・分散性評価技術の確立
-X線CT画像解析による二値化処理で繊維分散性の数値化を実現
-変動係数(標準偏差/平均値)により分散性評価が可能
・混抄紙製造技術
-MC配合率70%以上の高配合MC/PP繊維混抄紙の製造に成功
-製紙技術を活用した均一分散技術を確立
・相溶化剤による界面制御
-PP樹脂とセルロース繊維の界面制御により接着性を向上
-高せん断スクリューエレメント使用で物性向上を実現
具体的な成果
・物性面での成果
-MC40%配合でGF10の公称値を上回る性能を達成(引張強度56MPa、曲げ弾性率4.5GPa、シャルピー衝撃強度6.3kJ/平方メートル)
-MC30%でもGF10同等のスペックを確認
・生産技術の成果
-中量試作機で1t/月の生産性と品質バラツキ10%以下を達成
-連続生産時の強度特性バラツキを10%以下に制御
・リサイクル性の確認
-リサイクル2回品でもシャルピー衝撃値5.0kJ/平方メートル以上を維持
-分子量分布や分子構造に大きな変化がないことを確認
・川下企業での実機評価
-ユニプレス株式会社で自動車用アンダーカバーの成形試験を実施
-株式会社駿河エンジニアリングでハット型成形品の評価を実施
知財出願や広報活動等の状況
・特許出願
-発明の名称: セルロース樹脂複合体の製造方法(出願番号: 特願2025-9258)
-セルロース繊維と熱可塑性樹脂繊維を含む不織布を紐化して紙紐を得る紐化工程と、紙紐を切断して紙紐ペレットを得る切断工程、紙紐ペレットと熱可塑性樹脂を混練する混練工程による製造方法
・広報活動
-ふじのくにセルロース循環経済フォーラム(令和5年10月)で展示
-nano tech2024(令和6年1月)で展示
-スズキ自動車SUZUKI SOLIO BANDITのインパネアッパーボックス(浜名湖花博2024)に実装
-TOYOTA自動車コンセプトカー「もくまる」インパネボックス、フロントパネル(ふじのくにセルロース循環経済国際展示会2024)に実装
-大阪CNF展示会(令和7年7月)で展示
-ふじのくにセルロース循環経済国際展示会2025(令和7年10月)で展示
-第5回サステナブルマテリアル展(令和7年11月)で展示
研究開発成果の利用シーン
自動車部材を中心とした用途展開が期待される。具体的には、バンパーやアンダーカバーなど現在ガラス繊維強化PP樹脂が使用されている部材の代替として利用可能である。持続可能材料である植物繊維を使用し、ガラス繊維と同等以上の強度性能を有しながら、ガラス繊維にはないリサイクル性を実現している。電動車普及に伴う車体軽量化ニーズに対応し、カーボンニュートラル実現に貢献する材料として期待される。高級グレードやコンセプトカーなどでの実績を通じて、実用化に向けた検証が進められている。また、自動車以外の用途については、例えばホテルの歯ブラシやブラシ等のアメニティで、環境配慮の観点で各種未利用バイオマス材料複合樹脂が使用されてきており、繊維強化樹脂が求められる各種製品への展開可能性がある。
さらに、最近では汎用性の高いPPをベースとした3Dプリンター用のセルロース/PP複合樹脂原料としての応用も検討されている。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
評価協力会社であるユニプレス株式会社、株式会社駿河エンジニアリングとの連携により、自動車メーカー、他の認定取得に向けた取り組みを進めている。顧客要求スペック達成後、迅速に実販売開始を計画している。並行して、既存の樹脂メーカー(GF10製造販売会社)に対しても販売を行うことで、既存の物流・商流を活用した市場展開を図る。富士市のCNFプラットフォーム(企業団体会員数146)を通じた会員企業への直接販売も実施する。また、各種展示会を通じて自動車部品メーカーや衣料用樹脂部品等にも新規引き合いに対応している。しかしながら、いずれも基本物性と製品規格の達成には時間がかかるとともに、低コストへの要求も強く求められており、事業化は令和10年に以降に遅れる可能性が出てきている。現在は、展示会やHPからの引き合いで事業化の可能性の高い案件を優先的に開発に取り組んでいる。
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・環境面でのメリット
-持続可能材料である植物繊維を使用し、リサイクル可能
-自社内工程端材の植物繊維も利用し、より環境負荷低減を促進する
-カーボンニュートラル実現に貢献する材料
・性能面での優位性
-GF10同等以上の強度性能(引張強度、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強度)
-リサイクル時の強度維持性に優れる
・製造技術の独自性
-製紙技術を応用した繊維形状制御技術
-MCと化学繊維の均一分散技術
-大型微細化処理システムによる量産対応(10t/月)
・コスト競争力
-MC原料コストを1,000円/kg以下で供給可能
-製品価格2,000円/kgでの提供が可能(現在は、1000円以下/kgの要求が強い)
・実績とユーザー評価
-自動車部材メーカーでの実機評価により成形性と物性を確認済み
-コンセプトカーでの実装実績
-自動車分野以外からの引き合いにも対応している
今後の実用化・事業化の見通し
市場予測では、CNF使用製品における自動車業界の市場規模は2050年の想定で自動車関係で1.5兆円規模が見込まれており、GF10代替分野に絞っても1,000億程度になると想定される。当初、本件製品を2050年までにGF10代替として段階的に置き換えていく計画であったが、欧州ELV規制等の対応に伴い、現在、自動車業界の最優先事項はリサイクル樹脂の活用に移り、セルロース材料の活用はその後の課題となっている。そのため、事業化に関しても、令和10年以降の遅れが見込まれる。また、販売単価に関しても、2,000円/kgで、自動車一台当たりの使用量10kg、大手自動車メーカーの1品種年間生産台数40,000台を前提とし、年間使用量400t、売上高8億円を見込んでいたが、数量が多い汎用グレードには1000円/kgを下回る単価要望が強く、自動車関係のみで当初の売上計画を達成することが困難となっており、自動車以外の用途展開にも注力するとともに、国外への展開も検討していく。そのため、令和8年3月にはフランスパリで開催される世界最大級のコンポジット展示会「JEC WORLD2026」に静岡県ブースで出展する予定である。
実用化・事業化にあたっての課題
・技術面での課題
-低温衝撃試験では全ての条件で割れ・亀裂が発生しており、外装系部材への適用には制約がある
-大型射出成形機での滞留時間増加によりセルロース繊維の色変化が進行する問題
-MFR(成形時の熱流動性)が低く、成形性悪化や成形不良発生の可能性
・市場展開での課題
-自動車メーカー各社で評価方法が異なるため、個別対応が必要
-既存GF10メーカーとの競争における差別化戦略の確立
・生産体制での課題
-本格量産(400t/年)に向けた設備投資と生産体制の確立
-品質安定性と量産時のバラツキ制御
-原料調達の安定化と大幅なコスト低減
これらの課題解決のため、川下企業との継続的な共同開発と段階的な市場展開が重要である。
プロジェクトの実施体制
| 主たる研究等実施機関 | TENTOK株式会社 製造部 |
|---|---|
| 事業管理機関 | 公益財団法人静岡県産業振興財団 |
| 研究等実施機関 | 国立大学法人静岡大学 グローバル共創科学部 准教授 青木 憲治 |
| アドバイザー | 金沢工業大学 富士工業技術支援センター 富士市産業政策課 ユニプレス株式会社 株式会社駿河エンジニアリング |
参考情報
- 参考サイト
- www.tentok.co.jp
主たる研究等実施機関 企業情報
| 企業名 | TENTOK株式会社(法人番号:1080101009089) |
|---|---|
| 事業内容 | ・業種:紙パルプ ・事業内容:特殊紙および不織布の研究、開発、生産、加工、販売 |
| 社員数 | 283 名 |
| 生産拠点 | 本社工場 |
| 本社所在地 | 〒419-0205 静岡県富士市天間264番地 |
| ホームページ | www.tentok.co.jp |
| 連絡先窓口 | TENTOK株式会社 第二製造課 岡風呂兼一 |
| メールアドレス | k.okaburo@tentok.co.jp |
| 電話番号 | 0545-71-2623 |
研究開発された技術を探す



