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表面処理

大口径(300mm)ウェハに対応した高耐熱性めっき技術

長野県

大和電機工業株式会社

2026年2月9日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 大口径(300mm)ウェハに対応した高耐熱性めっき技術の開発
基盤技術分野 表面処理
対象となる産業分野 自動車、半導体、エレクトロニクス
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化
キーワード めっき、精密切削加工
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 令和4年度~令和6年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本研究開発では、低リンNi/Pd/厚付けAuめっきを用いた耐熱性の高いめっきを安定的に施すための技術確立を300mmウェハにて達成し事業化を目指した。具体的には、高温加熱によるクラック対策として、皮膜中のリン濃度が1~4%のNiめっき(低リンNiめっき)を用いることで熱処理後のリン化合物の生成および皮膜の体積収縮を抑え、クラックを防止する方法を開発した。また、ワイヤー接合信頼性の確保のため、NiとAuの間にPdをバリア層として挿入し、AuめっきやPdの厚膜化により、NiとPdのAu表面への拡散を防止する技術を確立した。さらに、300mmウェハにおける外観ムラ改善として、前処理プロセスの最適化により、Alスパイクの抑制、Znの均一な析出を実現した。

開発した技術のポイント

・低リンNiめっき技術の開発
-皮膜中のリン濃度を1~4%に制御することで、高温加熱時の体積収縮を抑制しクラック発生を防止
-特殊な微量添加剤を用いて析出性を補い、±2%以内の濃度管理を実現

・Ni/Pd/厚付けAu積層構造の確立
-Pdをバリア層として挿入し、NiのAu表面への拡散を防止
-置換反応に加えて還元反応によりAuの厚付けが可能なAuめっき浴を開発

・300mmウェハでの均一成膜技術
-めっき槽内の撹拌状態、液流量、エアー量を最適化
-Ni膜厚均一性(σ値0.2以下)、リン濃度均一性(2.5±1.0%)を達成

・前処理プロセスの改善
-Al電極の結晶粒子サイズを測定し、処理条件を最適化
-Alエッチング量0.5μm以下を実現し外観ムラを改善

300mmウェハ面内でNi膜厚を均一に成膜
300mmウェハ面内でAu膜厚を均一に成膜
具体的な成果

・Niめっき膜厚・リン濃度の均一性達成
-300mmウェハにおけるNi膜厚均一性σ値0.2以下を達成
-Ni皮膜中のリン濃度2.5±1.0%の均一性を確保

・ワイヤー接合信頼性の確保
-300mmウェハにおけるAuワイヤーボンディング後のシェア試験でのAu残り率30%以上を達成
-高温加熱後もクラックが発生しない耐熱性を実現

・前処理プロセスの最適化
-Al電極の最大エッチング量0.5μm以下を達成
-Alスパイクの抑制とZnの均一析出により外観ムラを改善

・量産化技術の確立
-自動搬送装置を導入し、量産機を想定した条件での技術確立
-ビーカーレベルから300mmウェハでの実用化まで一貫した技術開発を完了

Znの均一析出
第三年度自動搬送装置導入
研究開発成果の利用シーン

本研究開発成果は、車載向けパワー半導体の製造において利用される。具体的には、電動車のバッテリー、モーター、発電機、パワーコントロールユニット(PCU)などに搭載されるパワー半導体チップの表面処理に適用される。従来のAlワイヤーやAlリボンに代わり、低抵抗で許容電流が高いCuクリップを用いたはんだ実装や、電気抵抗が低いAuワイヤーやCuワイヤーによる信号端子接続において、高温リフロー(350~370℃程度)に耐える耐熱性めっきとして活用される。また、300mmウェハでの量産化により、半導体メーカーやデバイスメーカーの生産効率向上およびコストダウンに貢献する。2040年には世界の乗用車販売台数の半数以上を電動車が占める予測となっており、本技術の需要は大幅な拡大が見込まれる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

現在、他めっきメーカー含め試作レベルの対応にとどまっている300mmウェハへの低リンNi/Pd/Au積層めっき加工において、本研究では実用化レベルでの技術確立を達成した。めっき試験機に自動搬送装置を導入し、量産機を想定した条件での300mmウェハ処理技術を確立している。川下製造業者である半導体メーカーやデバイスメーカーからは、電動車の普及に伴う市場拡大の動きから、パワー半導体の生産増強を進めており、生産効率向上およびコストダウンのために大口径化(300mm対応)を強く要望されている。株式会社デンソーにおいて実施された信頼性評価試験では、実装を想定した高温加熱においても低リンNi/Pd/厚付けAu構造はクラックが発生しないことが確認され、実用化への道筋が整っている。

提携可能な製品・サービス内容

加工・組立・処理

製品・サービスのPRポイント

・世界初の300mmウェハ対応高耐熱性めっき技術
-従来不可能であった300mmウェハでの低リンNi/Pd/厚付けAu積層めっきの量産化を実現
-350~370℃の高温リフローでもクラックが発生しない優れた耐熱性を確保

・高精度な面内均一性
-Ni膜厚均一性σ値0.2以下、リン濃度2.5±1.0%の高精度制御
-ウェハ面内でのPd/Auめっき皮膜の優れた均一性を実現

・優れたワイヤー接合信頼性
-Auワイヤーボンディング後のシェア試験でAu残り率30%以上を確保
-NiとPdのAu表面への拡散を効果的に防止

・量産化対応技術
-自動搬送装置による量産機を想定した処理条件を確立
-外観ムラを大幅に改善し、高品質な製品を安定供給可能

今後の実用化・事業化の見通し

パワー半導体市場は2025年には2020年比で40%以上の市場拡大が見込まれており、特に自動車産業向けが飛躍的に拡大する予測となっている。2040年には世界の乗用車販売台数の半数以上を電動車が占める見通しであり、本技術への需要は確実に増加する。現在、川下製造業者である半導体メーカーやデバイスメーカーから300mmウェハでの製造を期待されており、本研究で確立した技術は直ちに実用化可能な状況にある。大和電機工業株式会社では、めっき試験機での技術確立を基に、量産ラインへの展開を進めている。また、株式会社デンソーでの評価結果により実装信頼性が確認されており、他の自動車部品メーカーへの展開も期待される。今後3年以内の本格的な事業化を目標としている。

オートライン(〜12inch)
実用化・事業化にあたっての課題

・プロセス制御の高精度化
-低リンNiめっきの微量添加剤濃度管理を±2%以内に制御する必要があり、中リンNiめっき(±20%)と比べて格段に厳しい管理が求められる
-ウェハ大口径化により、ウェハ全体への均一な添加剤供給がより困難となる

・量産設備への技術移転
-試験機で確立した条件を量産設備に適用する際の装置間差の克服
-めっき槽内の撹拌状態、液流量制御システムの最適化

・外観ムラの完全な解消
-前処理工程で発生するAlスパイクやZnの不均一析出の更なる改善
-めっき液中の微量成分挙動制御による外観品質の安定化

・コスト競争力の確保
-高精度制御に伴う製造コスト増加の抑制
-貴金属使用量の最適化による材料コスト削減

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 大和電機工業株式会社
事業管理機関 公益財団法人長野県産業振興機構
研究等実施機関 大和電機工業株式会社
国立大学法人信州大学
アドバイザー 株式会社デンソー
奥野製薬工業株式会社
長野県工業技術総合センター

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 大和電機工業株式会社(法人番号:9100001018700)
事業内容 めっき加工業
社員数 420 名
生産拠点 諏訪事業所、松本事業所、特機事業所
本社所在地 〒393-0043 長野県諏訪郡下諏訪町東四王5197
ホームページ https://yamato-elec.co.jp
連絡先窓口 大和電機工業株式会社 技術部 常務取締役 倉科匡
メールアドレス kurashina@yamato-elec.co.jp
電話番号 0266-27-7379