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表面処理

0.03mmで「熱」を断つ

京都府

尾池アドバンストフィルム株式会社

2026年2月9日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 産業設備の高温部からふく射する熱ロスを削減し、省エネに貢献する遮熱膜の連続成膜法開発
基盤技術分野 表面処理
対象となる産業分野 環境・エネルギー、航空・宇宙、自動車、産業機械、半導体、光学機器、化学品製造
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(省エネ性向上)、環境配慮
キーワード ふく射、赤外光、薄膜、スパッタリング、ロール・ツー・ロール
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 令和4年度~令和6年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本研究開発では、ロールツーロール成膜法を用いた高温環境対応遮熱膜の開発を行った。ステンレス箔上にSiO2/NiSix/SiNx多層構造を形成し、赤外域で輻射率5%以下の低輻射特性と600℃で10年以上の耐熱寿命を両立する技術を確立した。幅600mm×長さ100mの大面積遮熱膜の製造技術を開発し、産業用高温配管や電気炉などでの省エネルギー効果を実証した。従来困難とされていた極薄ステンレス箔への安定成膜と大面積均一性を実現し、実用レベルの遮熱性能を達成した。

600mm幅高温遮熱箔
開発した技術のポイント

・NiSix層の組成制御技術
-輻射率の低減、耐熱性の向上を実現するNiSixターゲットの組成を最適化

・多層バリア構造(SiNx/NiSix/SiO2/SUS箔)の最適化
-表面SiNx層の成膜条件最適化による酸素拡散防止
-SUS箔との界面のSiO2層の成膜条件最適化によるSi拡散防止
-各層のスパッタリング成膜条件・膜厚の精密制御技術の構築

・ロールツーロール大面積成膜技術
-幅600mm連続成膜の実現
-キャリアフィルム貼合による極薄箔搬送技術

具体的な成果

・大面積遮熱膜の製造
-幅600mm×長さ100mの遮熱膜を製造
-長方向10点・幅方向5点測定にて広い赤外波長帯にて輻射率5%以下を実現

・耐熱性能の向上
-大気中600℃で10年以上の耐熱寿命を安定的に達成

・遮熱性能の実証
-ホットプレート上での伝熱モデルにて遮熱(温度低減)効果の可視化に成功
-高温配管の模擬環境下にて7~64%(断熱材の有無)の放熱量削減効果を確認
-電気炉への内壁セットによって2~12%(温度に依存)の電力削減効果を確認

・技術基盤の確立
-極薄ステンレス箔(10~30μm)への安定成膜技術
-ロールツーロール連続成膜プロセスの確立

知財出願や広報活動等の状況

研究開発過程で得られた技術については今後の特許出願を検討している。
広報活動としては、2025年1月29日から31日にかけて東京ビッグサイト東ホールで開催された新機能性材料展に出展し、3日間で273名の来場者を獲得した。展示会では遮熱効果の実演を行い、480部のチラシを配布した。この展示会を通じて12社の顧客候補を獲得し、うち9社にサンプルを提供、7社で継続評価を実施している。従来関わりの少なかった業種への認知度向上と幅広い顧客候補の獲得を実現した。

研究開発成果の利用シーン

・高温配管の省エネルギー化
-発電設備、石油化学プラント、製造業の高温配管での熱損失低減

・電気炉の省エネルギー化
-炉内断熱材との組み合わせによる消費電力削減

・断熱材との併用システム
-既存断熱材の性能向上と薄型化の実現
-設置困難箇所での断熱・遮熱効果の発揮

・産業用熱処理装置
-各種加熱装置での熱効率向上と省エネルギー

・機器保護用途
-高温環境下での機器・部品の熱保護

これらの用途により、産業分野での大幅なエネルギー削減とCO2排出量低減に貢献する。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

展示会出展により獲得した12社の顧客候補のうち、現在9社にサンプルを提供し、7社で継続評価を実施している。産業別の内訳は機械10社、石油化学4社、鉄鋼1社、食品1社、その他製造業4社、非製造業1社となっている。具体的な用途としては断熱部代替、熱反射板、遮蔽板、薄型断熱、機器保護、配管断熱などが挙げられている。評価結果では省エネ効果が確認されており、一部の顧客からは継続的な本格評価の要望を受けている。今後は石油化学産業を重点分野として販路開拓を進める予定である。海外市場については現状十分な情報が得られておらず、JETROなどを活用した市場調査と販路開拓を検討している。

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造

製品・サービスのPRポイント

・世界初の大面積高温遮熱膜技術
-幅600mm×長さ100mの連続成膜を実現
-赤外域で輻射率5%以下の優れた遮熱性能

・優れた省エネ効果
-熱(赤外線)の輻射抑制や反射閉じ込めによる省エネ効果
-600℃環境で最大70%の放熱量削減

・長期耐久性の実現
-大気中600℃で10年以上の耐熱寿命を確保
-産業用途での長期安定使用が可能

・施工性とコスト優位性
-極薄構造(30μm)による省スペース化
-既存断熱材との組み合わせによるコスト低減

・環境貢献効果
-CO2削減による脱炭素化への貢献

高温遮熱箔と酸化SUS箔の遮熱性能比較
今後の実用化・事業化の見通し

2023年2月に閣議決定されたGX実現に向けた基本方針において徹底した省エネの推進が掲げられており、産業部門のエネルギー起源CO2排出量が37%を占める中で、本技術への需要は高まると予想される。特に石油化学、鉄鋼・金属、機械製造業での500~700℃温度帯でのエネルギー使用量が大きく、これらの分野が主要な販売先となる見込みである。現在継続評価中の7社からの具体的な採用決定と量産体制の構築を進め、2025年度中の本格的な事業化開始を目指している。また、海外市場進出も視野に入れた事業展開を計画している。

実用化・事業化にあたっての課題

・ハンドリング性の改善
-設置時の破れ防止のため箔厚を50μmに増加
-保護フィルム貼合によるコシの向上

・設置方法の標準化
-溶接、共締め、挟み込み等の施工方法確立
-エンボス加工による接触面積減少の検討

・用途最適化の推進
-顧客ニーズに応じた最適使用箇所の提案
-具体的な適用方法の技術サポート

・加工技術の拡充
-任意形状への加工技術開発
-穴あけ加工後の納品対応
-板材への直接成膜技術の検討

これらの課題解決により、より幅広い産業分野での実用化を目指している。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 尾池アドバンストフィルム株式会社
事業管理機関 一般財団法人ファインセラミックスセンター
研究等実施機関 尾池アドバンストフィルム株式会社
一般財団法人ファインセラミックスセンター
アドバイザー 大阪公立大学
トヨタ自動車株式会社
東ソー株式会社

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 尾池アドバンストフィルム株式会社(法人番号:5130001012092)
事業内容 プラスチックフィルムの表面加工製品および二次加工製品の製造販売
社員数 250 名
生産拠点 プラスチックフィルムの表面加工製品および二次加工製品の製造販売
本社所在地 〒601-8122 京都府京都市南区上鳥羽北塔ノ本町34番地
ホームページ https://www.oike-kogyo.co.jp/
連絡先窓口 尾池アドバンストフィルム株式会社 熱マネジメント材料グループ 檜木利雄
メールアドレス t-hinoki@oike-jp.com
電話番号 075-748-8771