接合・実装
加熱圧着で金属と樹脂を一体化、パッキンレスで高気密、角型LiB封止の新たな工法
大阪府
睦月電機株式会社
2026年2月9日更新
プロジェクトの基本情報
| プロジェクト名 | 金属と樹脂との加熱圧着直接接合技術を用いた角型LiBの高気密封口板開発及び低コスト製造装置開発 |
|---|---|
| 基盤技術分野 | 接合・実装 |
| 対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、自動車、産業機械、建築物・構造物、電池 |
| 産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、環境配慮、低コスト化 |
| キーワード | 直接接合、高気密、加熱圧着、LiB |
| 事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
| 事業実施年度 | 令和4年度~令和6年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本研究開発では、現在カシメ法で作製されている角型LiBの封口板のコストや耐久強度等の問題を解決するため、独自レーザ照射による金属粗面化処理技術と誘導加熱圧着技術を応用した金属と樹脂との直接加熱圧着技術による高気密接合を確立し、角型LiBの高気密封口板を作製することを目的とした。具体的には、高気密性能を得るための加工条件探索、気密性の非破壊検査法、高気密封口板部品のリサイクルのための分別、低コスト製造装置の作製、誤差逆伝播学習法を用いたニューラルネットワークによる接合条件による接合強度や気密性予測の5つの課題に対応した。研究体制は睦月電機株式会社が総括研究代表者、国立大学法人東京大学が副総括研究代表者として一般財団法人大阪科学技術センターからの間接補助により実施した。
開発した技術のポイント
・独自レーザ粗面化技術により、金属材料とアンカー効果による高い接合界面作製を可能にした
・銅材、アルミ材に加え、メッキ品の接合処理が可能となった
・接合場所に集中してレーザや誘導加熱接合エネルギーを与えるため排出CO2低減化を実現した
・パッキンにPFAよりも原料単価の安いPPS使用によるコスト低減化を図った
・カシメ法には無い、端子部と蓋部の間に直接接合による強固な接合強度付与による部品簡略化を実現した
・クリープや応力緩和の影響がないため振動や経年劣化の影響を小さくした
・部品点数を半減することによるコスト低減化を達成した
・多数個同時作製が可能になり、生産性向上、コスト低減化を実現した
・接合端子や蓋部の若干の汚れや腐食などがあっても処理可能で、環境対応及びコスト低減化を図った
・部品要求寸法精度を低くすることによるコスト低減化を実現した
具体的な成果
・角型LiBの形状や使用素材などの情報をもとに、誘導加熱圧着法を用いた樹脂挟み込み評価用テストピースを作製し、気密性と接合強度の評価を行い、性能低下がないことを確認した
・上下2コイル使用誘導加熱圧着実験装置及びパイロット装置を作製し、実験装置を用いたテストピースで目標を達成していることを確認した
・レーザ処理が的確に行われているかを確認する方法として、レーザ変位計装置を作製し、接合品の非破壊管理手段として、超音波探傷法を用いた2次元評価装置を作製した
・加熱をトリガーとして金属と樹脂とを容易に分別することが可能であることを確認し、分別した後の金属部品に新たに樹脂部品を接合するリユースが可能であることを確認した
・1コイル装置に比べて1/2以下にタクトタイムを短縮化する装置設計を完了し、低コストで作製可能な装置を完成した
・100件以上のレーザの照射条件や誘導加熱圧着の条件を変えて作成したビッグデータを用いて、試験条件から接合強度値を予想確度90%以上でできるような予測システムを構築した
知財出願や広報活動等の状況
・特許出願4件を実施し、2025年4月23日現在、日本国内で特許権利化済みである。
・密閉容器用蓋の製造方法(睦月電機株式会社、PCT/JP2022/041587、2022年11月8日出願、日本・米国・欧州・中国)
・金属部材、金属樹脂接合体、及び金属樹脂接合体の製造方法(睦月電機株式会社、PCT/JP2023/041367、2023年11月16日出願、日本・米国・欧州・中国)
・金属樹脂接合体の製造方法(睦月電機株式会社、PCT/JP2023/041368、2023年11月16日出願、日本・米国・欧州・中国)
・剥離方法及び金属樹脂接合体の製造方法(睦月電機株式会社、特願2024-197516、2024年11月12日出願、日本)
展示会・学会参加として、令和5年度6回、令和6年度7回の技術紹介と情報収集を実施し、弊社名刺交換数は100枚以上を達成した。
研究開発成果の利用シーン
現在、高気密封止性を利用した角型LiB以外の製品展開も視野に入れ、ニーズが有る川下企業の要求仕様に対して、必要性能の達成を目指し技術開発を行っている。約80社以上の川下企業と試作を行い、品質、コストなどのマッチング作業を進めており、その中で事業化に近い製品も出てきている状況である。角型LiBに加え、丸形や他の高気密性を必要とする製品へのニーズにも対応するため、レーザパイロット装置及び加熱圧着パイロット装置の治具作製、耐久性強化などの最適化を検討し、低コストで作製可能な装置を完成した。本装置を用いて、角型LiBへの応用以外に、高気密封止性を必要とする製品に対して試作や事業化展開を検討中であり、現在事業化に向けて具体的に進んでいる案件もある。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
睦月電機は20年以上にわたり各種電池向けガスケットの製造販売を実施しており、日本国内の主たる電池製造企業10社以上と直接取引している。車載用LiB製造企業については、パナソニック、プライムプラネットエナジー&ソリューションズ、リチウムエナジージャパン、ブルーエナジー、ビークルエナジージャパンといった主要メーカーとの直接取引を行っている。LiBセル数で年間約3億個のガスケット部品供給をしており、国内シェアトップクラスである。セル技術開発部門と直接交流ができる関係性を活かし、まずはこれら国内主要LiB製造企業へ販売促進を実施する。特にグローバルでもトップシェアを争うパナソニックやプライムプラネットエナジー&ソリューションズに採用されれば、他の企業への波及効果が大きく、最も重要なアプローチ先であり、既に技術提案を実施し共同開発に向けたアプローチを開始している。
提携可能な製品・サービス内容
加工・組立・処理
製品・サービスのPRポイント
・クリープや応力緩和の影響がないため振動や経年劣化の影響が小さい
・部品点数を半減することによるコスト低減化が可能
・多数個同時作製が可能になり、生産性向上、コスト低減化を実現
・接合端子や蓋部の若干の汚れや腐食などがあっても処理可能で、環境対応及びコスト低減化
・部品要求寸法精度が低くなる事によるコスト低減化
・パッキンにPFAよりも原料単価の安いPPS使用によるコスト低減化
・カシメ法には無い、端子部と蓋部の間に直接接合による強固な接合強度付与による部品簡略化、コスト削減
・独自レーザ粗面化技術により、金属材料とアンカー効果による高い接合界面作製が可能
・接合場所に集中してレーザや誘導加熱接合エネルギーを与えるため排出CO2低減化
・レーザ処理や誘導加熱の時間短縮条件化により、生産タクトタイム短縮によるランニングコスト低減化が可能
今後の実用化・事業化の見通し
新規開拓としてはLCA規制の起案国であるヨーロッパLiB製造企業(ノースボルト社、ブリティッシュボルト社、オートモーティブ・セルズ・カンパニー社、フォルクスワーゲン社など)への展開も実施し、日本発の加工要素技術がグローバルに使用されることを目指す。更に、角型LiBだけではなく、丸形や他の高気密性を必要とする製品への応用を求める要望が多くあることが、展示会出展や技術紹介などの結果から得られており、当初の目論見である国内・国外の角型LiB用としての事業展開に加え、高気密性やリサイクル・リユースの視点からの新規案件についても、個別の要求仕様に対する有効性の確認と、実用性を考慮した装置の改善について、引き続き検討を進めていく計画である。
実用化・事業化にあたっての課題
LiBを含めてEV向け電池の多様化が進んでおり、引き続き車載用電池の市場や技術の動向を注視する必要がある。合わせて、角型LiB用封口板以外の新規接合封止案件に関する情報収集を継続して行っていく必要がある。また、非破壊検査装置のデータ蓄積と改良を継続し、生産ラインへの組み込みを視野に、個々の顧客の要求仕様に合わせた品質保証の観点からの課題解決に取り組む必要がある。超音波探傷による接合界面エコーの変化は、接合状態によって変化し、それを観察することによって接合界面の良否判定が可能となったが、測定結果がどのような情報を示すかまでは解明できておらず、今後の課題として、様々な接合状態の超音波探傷のデータと接合強度との関係から、接合状態の管理ツールとして使えるものにする必要がある。
プロジェクトの実施体制
| 主たる研究等実施機関 | 睦月電機株式会社 |
|---|---|
| 事業管理機関 | 一般財団法人大阪科学技術センター 技術振興部 |
| 研究等実施機関 | 睦月電機株式会社 国立大学法人東京大学生産技術研究所 機械・生体系部門 教授 梶原優介 |
主たる研究等実施機関 企業情報
| 企業名 | 睦月電機株式会社(法人番号:5120001019015) |
|---|---|
| 事業内容 | 樹脂の成形加工業 |
| 社員数 | 180 名 |
| 本社所在地 | 〒544-0004 大阪府大阪市生野区巽北4丁目1番28号 |
| ホームページ | https://www.mutsuki.co.jp/ |
| 連絡先窓口 | 睦月電機株式会社 研究開発室 室長 斎聖一 |
| メールアドレス | mec229@mutsuki.co.jp |
| 電話番号 | 06-6754-0110 |
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