バイオ
細胞形態情報に基づく、AI駆動型ラベルフリーセルソーティング技術の実用化
東京都
シンクサイト株式会社
2026年2月9日更新
プロジェクトの基本情報
| プロジェクト名 | AI駆動型の細胞解析技術を用いた、白血病の早期発見技術に関する研究開発 |
|---|---|
| 基盤技術分野 | バイオ |
| 対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
| 産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、低コスト化 |
| キーワード | ゴーストサイトメトリー、セルソーター、ラベルフリー、ソーティングチップ、教師なし機械学習 |
| 事業化状況 | 実用化間近 |
| 事業実施年度 | 令和4年度~令和6年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
AI駆動型の細胞解析技術を用いた白血病の早期発見技術に関する研究開発を実施した。シンクサイト株式会社が開発するゴーストサイトメトリー搭載装置に教師なし学習機能を実装し、白血病細胞が含まれる検体と健常検体の細胞形態情報から、次元圧縮により二次元空間上に表現する手法を用いて、教師データとなる細胞染色情報がなくても特定の細胞集団を抽出できるアルゴリズムを開発した。また、当該アルゴリズムを実装したソーティング機構を、より低減したランニングコストで稼働できる装置を作成することを目的とした。
開発した技術のポイント
・教師なし学習アルゴリズム: 教師データを付与できない細胞を判別するアルゴリズムを開発し、UMAP解析により次元圧縮により二次元空間上に表現する手法を用いて、健常検体では見られない慢性骨髄性白血病(以下CML)特有の形態が示唆される細胞集団を抽出
・ゴーストサイトメトリー搭載装置への実装: シンクサイト社が有する、新規の光学情報検出(動的ゴーストイメージング法)と機械学習を組み合わせて細胞の形態情報を高速に判別する技術を搭載した測定装置に上記アルゴリズムを新たに実装
・マイクロ流路チップの改良: 安価なプラスチック材質を用いたチップを開発し、ソーティングのランニングコストを低減
具体的な成果
・白血病患者および健常人由来の白血球細胞に対し、ゴーストサイトメトリー搭載装置により取得した形態情報から教師なし学習の判別モデルを作成し、注目した細胞集団をソーティングできるようになった。
・ソーティングした細胞を対象にシングルセルRNAシーケンス解析を実施した結果、異常細胞としての性質が示唆される遺伝子を検出でき、特定の系統の細胞がCMLに特異的な形態情報を有することが示唆された。
・マイクロ流路チップの改良において、ワーキングディスタンス等の要求仕様を満たし且つ安価なプラスチック材質の試作品を完成し、現有材質のチップとを上回る分析性能を達成した。
知財出願や広報活動等の状況
今後もゴーストサイトメトリー技術に関して継続して国際特許出願を行う計画である。コア技術であるゴーストサイトメトリーに関する基本特許、光学や流体技術等の要素部分に関する発明等の要素技術特許、機械・電気等の製品化にあたっての工夫に関する特許、検査診断や再生医療等への応用に関するアプリケーション特許と多重的に出願することで、事業領域を包括的にカバーする強固な参入障壁を築く方針である。具体的には、機械学習アルゴリズム、マイクロ流体制御方法、細胞判別・分取装置、細胞判別プログラムなどの新規出願を計画している。
研究開発成果の利用シーン
・臨床診断:白血病を早期発見するため、ゴーストサイトメトリー技術を基盤としたCMLの判別モデルを搭載した自動血球計数装置が想定される。病院等の医療機関及び受託検査を行う臨床検査機関が主要な顧客となる。
・細胞治療・再生医療:免疫系細胞やiPS細胞・間葉系幹細胞などの幹細胞を対象に、有望・不良ロットやクローンの選別および分離、最終的に製品となり得る細胞製品の品質評価への応用が期待される。これらを取り扱う研究開発機関やメーカーが主要な顧客となる。
・産業用細胞:抗体などのタンパク産生細胞、酵母や藻類などの単細胞生物を対象とした研究開発における、不良ロットやクローンの選別や分離への応用が期待される。これらを取り扱う研究開発機関やメーカーが主要な顧客となる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
2023年に研究用ゴーストサイトメトリー搭載装置(VisionSort)を上市し、販売経験・ノウハウを蓄積している。今後、臨床検査への応用に向けて探索的使用を想定した装置を2026年頃までにリリースし、主要国での浸透を目指す。その販売エリアとして日本に加え、最も市場が大きく他地域への波及効果も大きい北米を中心に、次いで欧州・中国などへの浸透を図る。装置の製造にあたっては、現在日本および米国の受託製造企業に委託しているが、医療機器の製造基準を満たした製造施設への委託も考慮している。直接の顧客として、病院等の医療機関及び受託検査を行う臨床検査機関を想定している。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
疾患によっては、血液細胞を染色して塗抹標本を作成し、人の眼による観察に頼らざるを得なかった従来の血液形態検査に代わり、染色や標本の作成が不要で検体を装置にセットするだけで検査結果が判明する、画期的な簡便性・迅速性・客観性を有する。特に、高齢化に伴い先進主要国における白血病患者数は年々増加しているものの、当検査には熟練技術が必要でそのような専門スキルを持つ臨床検査技師が不足している。このような医療機関の現状において、人手を掛けずに迅速且つ一定基準で病態細胞を早期に発見する技術へのニーズは、世界的に極めて高い。
今後の実用化・事業化の見通し
血液分析に関するグローバルの市場規模は2024年時点で1兆1,250億円(75億ドル)規模だったところ、年率5.2%での成長が期待され、2034年までには1兆8,450億円(123億ドル)に達すると見込まれる。世界的な人口増加、先進国における高齢化の進展等に伴い糖尿病、心血管疾患、がんなどの慢性疾患の罹患率が増加し、これらの疾患の診断やモニタリングに血液検査が不可欠であるため市場の持続的な成長が見込まれる。現有および直近の研究用装置から発展して、装置本体を体外診断用の医療機器として、CMLなど白血病細胞の検出を目的とした判別モデルを搭載したソフトウェアを疾病診断用プログラム機器として登録することが想定される。本事業で得られた成果については、現在論文を作成中であり、並行して関連学会での発表も進めている。また、改良チップの量産化については、2027年中の稼働を目指してタイムライン等の協議を進めている。
実用化・事業化にあたっての課題
・機械学習による判別モデルのさらなる検証:他の細胞種や表現型を対象に、教師あり・なし学習によるラベルフリー判別モデルで評価した結果の答え合わせ、すなわち、ソーティングした細胞の解析によるエビデンス取得を進めている。
・教師なし学習によるアプリケーションの増設:CMLに関する判別モデルは、臨床検査装置における新たな診断アプリケーションとして開発の対象になり得るが、それ以外の用途を拡張すべく、CML患者における層別解析/CML以外の疾患への展開/臨床サンプル以外への展開、といった可能性を検討している。
・改良チップの量産化:量産品として最適化する際の技術的課題として、「プラスチック製部位どうしのアライメント精度とチップ間バラつきの最小化」が挙げられる。また、最適化したチップをGC搭載セルソーターに組み込む際の技術的課題として、「高速化及びチップ材質の硬度化に耐える、圧電素子を介した流体変位の維持」が挙げられる。マイクロ流体シミュレーションの数値解析を基に設計・試作したチップを実測する、といったサイクルを進めている。
事業化に向けた提携や連携の希望
ゴーストサイトメトリー技術を用いて、①新規創薬標的やバイオマーカー候補の分子を探索することに興味のある研究開発型の製薬企業、②特定の疾患セグメントにおける細胞プロファイリングに興味のある大学等の研究機関、との共同研究ベースの協業を希望している。
プロジェクトの実施体制
| 主たる研究等実施機関 | シンクサイト株式会社 |
|---|---|
| 事業管理機関 | 一般社団法人首都圏産業活性化協会 |
| 研究等実施機関 | シンクサイト株式会社 学校法人順天堂 順天堂大学大学院 医学研究科血液内科学 |
| アドバイザー | シスメックス株式会社 医学博士 越智清澄 |
参考情報
- Introduction to the VisionSort Platform
- https://thinkcyte.com/resource/ghost-cytometry-explained-in-2-minutes-jpn-%e6%97%a5%e6%9c%ac%e8%aa%9e/
主たる研究等実施機関 企業情報
| 企業名 | シンクサイト株式会社(法人番号:9010601049179) |
|---|---|
| 事業内容 | 細胞分析装置の開発・製造・販売 |
| 社員数 | 46 名 |
| 生産拠点 | 国内外の企業に製造を委託 |
| 本社所在地 | 〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学アントレプレナープラザ |
| ホームページ | https://thinkcyte.com/ |
| 連絡先窓口 | シンクサイト株式会社 事業開発部・水谷未来 |
| メールアドレス | mmizutani@thinkcyte.com |
| 電話番号 | 03-3868-2520 |
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