文字サイズ
標準
色の変更

研究開発された技術紹介

  1. トップ
  2. 研究開発技術検索
  3. ヒトの全血を用いた高精度な生体抗酸化能測定を可能とする手法の開発と、生体内で抗酸化活性を示す発酵食品の開発検討

バイオ

ヒトの全血を用いた高精度な生体抗酸化能測定を可能とする手法の開発と、生体内で抗酸化活性を示す発酵食品の開発検討

熊本県

株式会社同仁グローカル

2022年1月28日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 全血を用いたヒト代謝系抗酸化能測定キットの開発
基盤技術分野 バイオ
対象となる産業分野 医療・健康・介護、食品
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)
キーワード 抗酸化能、ラジカル消去活性、全血、発酵食品、放射線被ばく
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 平成22年度~平成24年度

プロジェクトの詳細

事業概要

生体内では様々な活性酸素が発生しており、生体防御の機構として活用している場合もあれば、酸化ストレスとして様々な疾病を惹起する場合もあり、この酸化ストレスを抑える能力が抗酸化能である(図1体内活性酸素の動態)。活性酸素の消去系として働くと期待される発酵食品の抗酸化能測定は試験管内では数多く行われているが、ヒトが摂取した場合の体内抗酸化能測定は殆どない。我々の開発したフリーラジカルを捕捉する試薬(DPhPMPO)を用い、ヒトが発酵食品を摂取した後の全血のラジカル消去能の時間変化をモニターし、その変動を解析することにより、抗酸化能を指標とした発酵食品による生体への影響を評価するシステムを確立することを目的とした。測定原理と従来法との違いを図2と図3に示す(図2測定原理、図3従来技術との違い)。同時に、生じるラジカルの分析を通して、作用機構を解明することを目指した。初めに、ウサギ、マウス、ブタを用い発酵食品摂取による血液のラジカル消去能の変化と、関連して変動する成分の分析を行った。その後、治験機関でヒトに発酵食品を摂取してもらい、発酵食品の違いによる全血のラジカル消去能の違いを分析し、発酵食品の機能を評価する手法としての妥当性を検証した。

開発した技術のポイント

ヒトの全血を用いて生体内の抗酸化能を測定できるキットを開発し、食品の抗酸化活性と摂取後の生体内抗酸化能の相関を研究し、抗酸化活性の高い発酵食品の改良を目指す
(新技術)
・ラジカルを安定させる試薬を開発する
・検体種別毎の測定方法を確立する
(新技術の特徴)
・ラジカルを安定化させて測定する方法により測定精度が向上した
・ESR(Electron Spin Resonance)がない施設でも測定を依頼する事で実験を実施することが可能になる

具体的な成果

・ラジカルの安定化
‐脂溶性トラップ剤を用いてラジカルを安定させ、長時間に渡りESRで測定する方法を確立した
‐受託分析を可能にした
‐採血から測定までのプロセスを精査し、測定の精度を誤差5%以下に向上させた
・発酵食品の抗酸化能評価
‐「純搾り」醤油の抗酸化活性が高いことを見出し、醤油麹を使った「醤油味噌」の開発を行った
‐動物性発酵食品と植物性発酵食品の生体に及ぼす抗酸化能には違いがあることが分かった
‐食品摂取による血液の抗酸化能に及ぼす影響は動物種間で異なることが判明した
・測定キットi-STrap W.B.の製品化
‐生体の抗酸化能を正確に測定できるようになった

体内活性酸素の動態
測定原理
従来技術との違い
知財出願や広報活動等の状況

論文:L. Sun et al, Dose-dependent decrease in anti-oxidant capacity of whole blood after irradiation: A novel potential marker for biodosimetry, Scientific Reports, 09 May 2018

研究開発成果の利用シーン

・現時点:ヒト全血の抗酸化能測定キット(i-STrap W.B.)を使った生体成分(血液、唾液など)の抗酸化能の分析
・将来:機能食品開発への利用(高機能発酵食品開発/評価など)
・将来:健康診断への利用(抗酸化能の変動と疾病の関連性など)
・将来:研究支援事業(受託分析、ESR装置のない研究分野、研究者・研究機関支援)

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・ヒト全血用抗酸化能測定キットを開発し、キット化は完了した(図4抗酸化能測定キット「i-Strap W.B.」)
・大学などでの使用が始まり、販売実績が出つつある

抗酸化能測定キット「i-STrap W.B.」
提携可能な製品・サービス内容

試験・分析・評価

製品・サービスのPRポイント

・全血を用いて生体の抗酸化能を評価できるようになった
・生体の抗酸化状態は代謝が大きく影響しており、抗酸化性を示す食品摂取によって生体が抗酸化に向かう訳ではなく、本技術においてのみ生体の代謝過程を組み入れた測定が可能である
・また、抗酸化効果は動物種によって異なるため、動物ごとに評価する必要がある
・品質改良の根拠を数値で示すことで、生体の抗酸化能を向上させる発酵食品の開発に貢献することができる
・発酵食品は、その原料、発酵方法、酵母、温度、時間により抗酸化性に変化があり、本技術を活用することで抗酸化能の高い発酵食品の開発方向性を示すことができる

今後の実用化・事業化の見通し

・測定キットの製品化は完了しており、佐藤先生が主催した九州トランスレーショナル研究会(第一回、第二回/延岡市開催)で、各研究者がi-Strap W.B.を使った分析結果の報告がなされている
・トランスレーショナル研究会参加の研究機関が、放射線被ばく時の全血の抗酸化能の変動をi-STrap W.B.を用いて測定している
・トランスレーショナル研究会参加者へi-STrap W.B.を販売し、サンプルの幅を広げ、データ蓄積、論文化を進めていただく
・顧客数を増やし、同仁グローカル経由で販売を拡大する
・全血の抗酸化能値が健康管理の一指標になることを目指す

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社同仁化学研究所
事業管理機関 株式会社同仁化学研究所
研究等実施機関 株式会社同仁グローカル
株式会社山内本店
学校法人順正学園九州保健福祉大学
熊本県産業技術センター

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社同仁グローカル(法人番号:3330001011191)
事業内容 環境計量事業所
社員数 30 名
本社所在地 〒861-2202 熊本県上益城郡益城町田原2081-25
ホームページ http://www.dojin-glocal.com/
連絡先窓口 志賀匡宣
メールアドレス shiga@dojindo.co.jp
電話番号 096-286-1311