複合・新機能材料
重希土類フリー磁石の適用によるEV向け小型高効率PMモータの開発
京都府
BIZYME株式会社
2025年1月23日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 希土類合金微細化技術を用いた重希土類フリー磁石の適用によるEV向け小型高効率アモルファスモータの開発 |
---|---|
基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 航空・宇宙、自動車、ロボット、産業機械、情報通信、電池、工作機械 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | モータ高効率化技術 、鉄基アモルファス合金、高 Bs 低鉄損モータコア材料 |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 令和3年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
EV向け小型高効率PMモータの開発を目指し、重希土類フリー磁石と鉄基厚板アモルファスコアを組み合わせた新しいモータの最適設計を行う。従来のPMモータは、鉄損が大きい電磁鋼板を使用し、高速域での効率低下やトルク低下が問題となっている。これに対し、鉄基アモルファス材料は透磁率が高く、損失を低減するため、高効率化が期待されている。しかし、重希土類を含まない磁石は製造コストが高く、磁気特性の低下を抑制する必要がある。本研究では、重希土類フリー磁石の製造において、希土類合金の微細化技術を用いて高い保磁力(HcJ: 1,200-1,500kA/m)を実現することを目指す。これにより、製造コストを抑えつつ、必要な磁気特性を持つ磁石の開発が可能となる。また、鉄基アモルファスを用いた積層コアと重希土類フリー磁石の組み合わせによるPMモータの最適設計を行い、磁石の性能と材料特性を最大限に活用することで、小型で高効率なEV向けモータの実現を目指している。
開発した技術のポイント
・重希土類フリー磁石の開発
-希土類磁石の微細化技術により、HcJ:1,100kA/mを達成し、1,200kA/m以上の可能性を確認。
・鉄基アモルファス積層コアの使用
-アモルファスコアを採用することで、モータの損失を低減し、動作温度を抑制。
・PMモータの最適設計
-アモルファス積層コアと重希土類フリー磁石を組み合わせたPMモータの設計を最適化し、トルクと損失のパレート最適解を取得。
・高効率モータの実現
-最大効率98.3%を達成するモータを実現し、モータサイズを10%以上小型化する見込みを得た。
・量産技術の確立
-アモルファス積層コアの量産技術を確立し、従来のコアと同等の価格での供給が可能な見通しを得た。
・応用展開の期待
-EVや産業用モータ分野での高効率化と低コスト化に寄与する技術として、日本の基盤技術の拡大に貢献する成果。
具体的な成果
・希土類合金の微細化が可能な真空2kg溶解ストリップキャスト装置を自社開発・立ち上げ、内製検討を可能にした。
・SC合金の製造条件を確立し、Nd-rich相間隔を2μm以下にする微細化技術を確立。重希土類フリー磁石でHcJ:1,100kA/mを達成し、1,200kA/m以上の可能性を確認。
・アモルファス積層コアと重希土類フリー磁石を組み合わせたPMモータの最適設計を実施し、トルクと損失のパレート最適解を得た。
・小型EV用5kWモータにて、最大効率98.3%を達成し、モータサイズを10%以上小型化する見込みを得た。
・アモルファス積層コアの量産技術を確立し、従来のコアと同等の価格での供給が可能になる見通しを得た。
・モータ設計と評価のフィードバックにより、効率99%の超高効率モータの実現性を確認し、高トルクが得られる可能性を示唆。
知財出願や広報活動等の状況
・市場ターゲットの細分化と情報共有: アルコニックス株式会社は、EV、ドローン、発電機、コンプレッサーなど9つの市場に細分化したマーケティング活動を実施し、関係者と情報を共有。
・インド市場での希土類磁石の生産とEV化を見据え、株式会社POGLIと高効率モータの早期投入を目指して情報交流を継続中。
・複数のPMモータ顧客から、アモルファス積層コアの具体的な製品に対する評価を受けており、顧客へのモータ設計最適化を進めている。
研究開発成果の利用シーン
掃除機用モータ、サーバ向けファンモータ、エアコン向けコンプレッサー、医療用モータ、小型EV向けモータ、電装モータ、四輪向けEVモータ、空モビリティー向けモータ、FA向けモータなどの製品にて利用が検討されている。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・PMモータ向けアモルファス積層コアについては、BIZYMEが参画するネクストコアテクノロジーズ株式会社にて事業化を既に計画しており、2024年1月に佐賀県および伊万里市と進出立地協定を締結し、伊万里市内の七ツ島工業団地に8,800坪の工場用地を確保済み、2025年度中の量産を目標に現在、準備中。
・重希土類フリー異方性焼結磁石については、安全保障上の問題から希土類磁石の脱中国化が市場から求められている背景もあり、現在、英国およびオーストラリアの希土類鉱山企業の希土類焼結磁石の製造プログラムへの協力を依頼されている。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、素材・部品製造、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
・アモルファス積層コアの活用を前提にしたモータ設計の最適化により、使用される異方性希土類焼結磁石に要求される固有保持力HcJの低下が見込まれることから、重希土類類フリー磁石が適用されるアイテムが増すことが推測される。
・加えてモータの小型化により磁石使用重量の低減が可能になることから、アモルファス積層コアはモータの大幅な効率改善を達成できるだけでなく、モータの小型低コスト化を実現、さらには希土類を安全保障上の戦略物質とした中国への牽制としても有効である。
今後の実用化・事業化の見通し
掃除機用モータ、サーバ向けファンモータ、エアコン向けコンプレッサー、医療用モータ、小型EV向けモータ、電装モータ、四輪向けEVモータ、空モビリティー向けモータ、FA向けモータなど複数のPMモータ顧客より具体的な製品を対象に評価を受けており、量産検討中。
実用化・事業化にあたっての課題
・モータの試作から製品化への迅速な移行が必要。
・市場動向を反映したモータの開発および製品化への取り組みを加速させる必要がある。
・EVやドローン、発電機、コンプレッサーなど多様な市場への対応策が必要。
・インド市場における希土類原料および磁石の生産状況に応じた対応が必要。
事業化に向けた提携や連携の希望
顧客のモータ性能を向上するコア素材性能の最適化をBIZYME株式会社にて今後も継続すると共に、アモルファスコアの量産ライン整備(ネクストコアテクノロジーズ、BIZYME株式会社、HILLTOP株式会社、株式会社小松精機工作所の三社合弁)を実施。佐賀県伊万里市の七ツ島工業団地に建設する伊万里工場にて2026年1月からアモルファスモータコアの量産および重希土類フリー磁石を含めたアモルファスモータの開発を進める。加えて、早期市場拡大を狙い、大手自動車メーカ、エアコンメーカへのアモルファス積層コア量産技術(特許、ノウハウ)の提供を協議中。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | BIZYME株式会社 |
---|---|
事業管理機関 | 公益財団法人佐賀県産業振興機構 |
研究等実施機関 | 株式会社明和製作所 国立大学法人佐賀大学 理工学部電気電子工学部門 |
アドバイザー | 株式会社POGLI アルコニックス株式会社 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | BIZYME株式会社(法人番号:1130002020593) |
---|---|
事業内容 | 磁性材料をはじめとする各種機能性材料の研究開発、機能性材料向け設備の設計製作、技術コンサルタント |
社員数 | 11 名 |
生産拠点 | Imari Lab.(佐賀県伊万里市新天町) |
本社所在地 | 〒600-8813 京都府京都市下京区中堂寺南町134番地 京都リサーチパーク内 ASTEMビル 8E04 |
ホームページ | https://bizyme.net/ |
連絡先窓口 | 代表取締役 金清裕和 |
メールアドレス | kanekiyo@bizyme.net |
電話番号 | 0955-25-9879 |
研究開発された技術を探す