デザイン開発
オーラバブルは歯ブラシ、洗口液につづく第3の口腔ケア
福岡県
株式会社豊洋製作所
2025年1月24日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 要介護者のためのファインバブル技術を活用したマウスピース型口腔洗浄器のデザイン開発 |
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基盤技術分野 | デザイン開発 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、環境・エネルギー、美容 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、デザイン性・意匠性の向上 |
キーワード | ウルトラファインバブル、口腔ケア、口腔洗浄器、マウスピース、介護用具 |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 令和3年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本事業は、要介護者向けの新たな口腔ケア機器の開発を目指すものである。具体的には、ファインバブル技術を用いたマウスピース型口腔洗浄器を開発し、介護現場でのユーザビリティを向上させることを目的としている。ファインバブルとは、非常に小さい泡であり、その特性により歯垢の除去や洗浄効果が期待される。本製品は、温水の水圧で発生するファインバブルを用いて口腔内全体を洗浄するもので、従来の電動歯ブラシやノズル型洗浄器と比べて、安全性と洗浄効果に優れる。また、ユーザーのニーズに基づいたデザイン思考を取り入れ、介護者と要介護者の双方にとって使いやすい製品を目指している。
開発した技術のポイント
・本体開発
-使用者の利便性を重視し、3つの異なる形状と素材で簡易試作品を作製し、ユーザー評価を実施。デザイン案8種を作成し、最適な仕様を選定。
・マウスピース開発
-安全性を考慮した設計で、3Dプリンターを使用して生体適合性レジン材で試作品を製作。誤嚥防止機能や適切なサイズを備えた3種のデザイン案を作成。
・金型開発
-つなぎ目のない一体成型の本体部とバリが生じないマウスピース部の金型を設計・製作。審美性と耐久性を兼ね備えた製品仕様を確立。
・ファインバブル技術
-直径20mm、長さ50mm以内のベンチュリ管でファインバブルを生成。特定の形状で10×106個/ml以上のバブルを安定的に産生することを確認。
・洗浄能力
-ファインバブルを使用した人工プラークの除去率は水流による洗浄の3倍以上を達成。特に、特定のベンチュリ管を使用することで最大1.75倍の効果を確認。
・ユーザビリティ評価
-介護者の負担度を90%軽減し、要介護者の受容度を90%以上とするためのアンケート調査を完了し、改善点を反映した製品開発を実施。
具体的な成果
・パナソニックにてユーザ評価を実施し、ベース仕様決定し、デザイン案を8種を作製、主観調査を行った。
・3Dプリンターで生体適合レジン材で作製することにより口に咥えて検証でき、フランジサイズの違い等、デザイン案を3種作製した。
・金型作製・修正完了。
・スロート径1mmの6種(各2個)のベンチュリ管を作製し、バブル生成を確認した。低水圧のファインバブル形状測定完了。
・人工プラークの除去能3倍以上(ファインバブル水/水)を達成。
知財出願や広報活動等の状況
・マウスピース型ファインバブル口腔洗浄器の本体とマウスピースについて、計5件の意匠登録を完了。
・3つのデザインコンペにエントリーし、GOOD DESIGN AWARD 2023、福岡デザインアワード銀賞、国際ユニバーサルデザイン金賞を受賞。
・GOOD DESIGN AWARDでは「高齢者口腔ケアの革新的アイデア」として高く評価される。
・国際福祉機器展やCareTEX大阪などでの2つの短期展示と1つの長期展示を実施。
・展示会での展示により、多くの福祉関係者、行政関係者、海外からの参加者に製品を紹介。
・製品の技術的な広報として、複数の論文投稿および国内外の学会発表を実施。
研究開発成果の利用シーン
・介護施設での使用
-要介護者の口腔ケアを支援し、介護者の負担を軽減するため、介護施設の浴室やベッドサイドで使用。移動式口腔洗浄器としても利用可能。
・家庭での使用
-高齢者や口腔ケアが必要な家族のため、家庭の浴室や洗面台で日常的に使用可能。ハンドシャワーとの接続も容易。
・医療機関での使用
-インプラント手術前や訪問診療での口腔洗浄に活用。特に嚥下機能が低下した患者の口腔内ケアに適している。
・福祉系教育機関での使用
-福祉系専門学校などでの教育用具として、口腔ケア技術の学習に利用。
・美容やエステサロンでの使用
-美容意識の高いユーザー向けに、エステサロンなどでの口腔ケアサービスに利用。
・ECサイトでの一般消費者向け販売
-オンライン販売を通じて一般消費者に向けた口腔ケア製品として提供。
・海外市場での展開
-福祉機器として東南アジアなど海外の介護市場でも活用が期待される。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・介護施設向け販売
-現在3箇所の介護施設で試作機を導入して検証しているが、今後多くの施設に導入し、使用効果、安全性をさらに確認する。
-介護用品を扱う卸業者とはすでに展示会等で連絡交換しており、福祉用具登録(TAIS)をおこなう。
・一般消費者向け販売
-ホームページ上での販売を予定しており、現在プレサイト(https://www.orabubble.jp)を公開しており、販売サイトを追加する予定である。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
・高い洗浄効果
-ファインバブル技術を活用し、水流による洗浄に比べて3倍以上の歯垢除去能力を実現。
・簡単操作と使いやすさ
-マウスピース型設計で、口にくわえて3分間で洗浄完了。介護者や高齢者にとって使いやすい。
・安全設計
-誤嚥防止機能付きのマウスピースと水圧制御により、安心して使用できる。
・幅広い利用シーン
-介護施設、家庭、美容サロン、医療機関など、さまざまな場面での使用に適している。
・省スペース・簡単収納
-コンパクトな設計で、収納や持ち運びが容易。複数ユーザーでの利用も想定した設計。
・低コストでの導入
-簡易な組み立てと少ないパーツで、製造コストを抑え、価格設定を2.5万円以下に実現。
・デザイン性の高さ
-グッドデザイン賞など複数のデザイン賞を受賞し、見た目の良さと使いやすさを両立。
・介護者の負担軽減
-簡便な操作で介護者の労力を削減し、効率的な口腔ケアをサポート。
・国際展開の可能性
-福祉機器としての認定を目指し、国内外の市場での展開を計画中。
今後の実用化・事業化の見通し
・営業部門の設立
-製品販売のための営業部門を新設し、問い合わせ対応や修理部門の体制を整備。
・介護施設での導入拡大
-現在3箇所の介護施設で試作機を使用し、さらなる施設導入を目指し、使用効果と安全性の検証を続行。
・福祉用具登録の取得
-福祉用品としての認定を取得し、介護施設への導入を促進。
・ECサイトでの販売
-自社のホームページ上での販売を予定し、現在プレサイトを構築中。販売サイトを追加予定。
・クラウドファンディングの活用
-資金調達と市場での反応を得るため、クラウドファンディングの活用を検討。
・サブスクリプションモデルの検討
-継続利用を促進するためのサブスクリプションモデルの可能性を探る。
・医療機関向けの展開
-インプラント手術前や訪問診療向けの用途を訴求し、医科歯科市場への浸透を図る。
実用化・事業化にあたっての課題
・設計の見直し
-シャワーホースのワンタッチジョイントや水流ストップボタンの接続で干渉が発生するため、アンダーカバーの設計変更が必要。
・素材の改良
-本体およびマウスピースの抗菌素材への変更を検討中。
・サイズバリエーションの検討
-マウスピースは現状1種類だが、口腔の大きさに合わせて大中小の3種類のサイズ展開が必要か検討中。
・接触防止対策
-使用時にマウスピースと本体の接触を防ぐため、接続部の形状を改良する必要がある。
・一体成型の可能性
-水流ストップボタンを本体と一体成型できるか検討中。
・低水量タイプの開発
-水流量が1.5L/min以下の場合、現行のベンチュリ管よりも別の型のほうが効果的であるため、低水量タイプの製品バージョンの開発を検討。
・ユーザーガイドの整備
-マウスピースの使用方法や推奨流量に関する説明書の追加が必要。
事業化に向けた提携や連携の希望
一般家庭での使用を想定した場合、既存のシャワーとの共用が必要であるが、洗面台や浴室にオーラバブルを組み込み標準装備するためにはこれらの製作メーカとの連携が必要である。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社豊洋製作所 |
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事業管理機関 | 公益財団法人飯塚研究開発機構 |
研究等実施機関 | 九州大学芸術工学院 北九州工業高等専門学校 学校法人福岡大学 医学部、工学部 スタジオディーピーアイ株式会社 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社豊洋製作所(法人番号:1290801003394) |
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事業内容 | 水栓金具、輸送機器、医療機器部品などの加工を行う。 |
社員数 | 62 名 |
本社所在地 | 〒800-0304 福岡県京都郡苅田町鳥越町1-44 |
ホームページ | https://www.hoyo-s.co.jp/ |
連絡先窓口 | 代表取締役 小河原 悟 |
メールアドレス | s.ogahara.dt@adm.fukuoka-u.ac.jp |
電話番号 | 093-436-5200 |
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