測定計測
超音波探傷を用いてプレス成形時に診断する高度化技術であるコーニシュシステムは、広い分野で社会実装可能
大阪府
株式会社小西金型工学
2025年1月28日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | プレス加工製品の品質等向上のための加工時における常時検査技術の開発 |
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基盤技術分野 | 測定計測 |
対象となる産業分野 | 航空・宇宙、自動車、産業機械、建築物・構造物、電池、工作機械 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化 |
キーワード | 全数検査,超音波探傷,金型,センサ,AI |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 令和2年度~令和4年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
ユーザーが抱える多様な課題を解決するまでの過程には、予測困難な問題が複数存在し、原因究明と対策までに掛かる費用がロスコストとなる。従来の検査員による目視や治具を用いた非破壊検査方法では、プレス加工機の速い加工サイクルと同期した全数検査は不可能で、不良発生時の対応が遅れると、ロスコストの増加に繋がる。金型のお医者さんが開発したコーニシュシステムは、超音波探傷技術による診断によって、プレス成形した瞬間に診断する高度化技術である。1万面以上の金型を設計してきたノウハウをコーニシュシステムに集約し、診断技術によって得たデータから、予測困難な事象の原因を的確に把握し、課題解決に最適な対策案を提供する。新たに開発した超音波探傷解析による合否システム、順送型プレス加工の工程内においてリアルタイムでの欠陥評価と超音波探傷技術の構築によって、自動車、デジタル家電部品を初めとする金型成形品の検査技術の高度化を目指す。
開発した技術のポイント
・超音波伝搬結果解析判定ソフトウェアの開発
-超音波探傷器(OmniScan X3)で欠陥検出を行い、開発したソフトウェアに計測データを取り込み、探傷部位のしわやワレ検出を容易に合否判定できる実験に成功。
-しわやワレの探傷部位をPC上で解析でき、連続加工中でも自動で合否判定が可能な超音波伝搬結果解析判定ソフトウェアを独自開発。
・しわおよびワレの超音波探傷欠陥評価の研究開発
-超音波フェーズドアレイ計測を実施し、しわ高さ1.0mm以上のしわやワレ幅0.5mm以上の欠陥評価の検証を完了。
-プレス動作で超音波フェーズドアレイ計測を実施し、計測データの収集から解析判定まで一貫した自動システム化を実装。
具体的な成果
順送型サーボプレス機への搭載が可能なフェーズドアレイプローブの検査仕様(周波数、振動子の数、配置間隔)を決定。
-プレス加工中にしわ高さ0.1mm以上、ワレ幅0.5mm以上の欠陥を検出できる技術を確立。
-順送型油圧プレス機においても、しわ高さ1.0mm以上、ワレ幅0.5mm以上の欠陥検出が可能。
-超音波伝搬解析結果判定ソフトウェアの導入により、全自動による欠陥検出が可能。
-順送型プレス機とサーボプレス機の両方で、しわ高さ0.1mm以上、ワレ幅0.5mm以上の欠陥検出率99%を達成。
知財出願や広報活動等の状況
【プレスリリース】
・2022年10月24日, 日刊工業新聞社掲載
・業界専門誌「型技術」(日刊工業新聞社刊行)掲載, 小西修史, 小西遥大, (株)小西金型工学, リアルタイム非破壊検査欠陥検出システム「コーニシュセンサ」の開発と利活用技術 ,型技術10月号, Vol.38, No11, (2023)
【展示会出展実績】
・2022年10月 第25回 M-Tech 関西機械要素技術展 ・2022年 10月 2022 OSAKA 計測展(グランキューブ大阪国際場)
・2023年10月 第26回 M-Tech 関西機械要素技術展 ・2023年 12月 中小企業 新ものづくり・新サービス展 (東京ビッグサイト)
・2024年 6月 第12回ビジネスマッチングフェア2024(マイドームおおさか)
現在、特許出願申請準備中。
研究開発成果の利用シーン
本技術の成果は、自動車産業をはじめ、空調機器や建築部材など幅広い業界での応用が期待されている。特に、深絞り加工やプレス機を使用する製造プロセスにおいて、超音波フェーズドアレイ計測によるリアルタイムな欠陥検出が可能となり、生産効率向上と品質改善が図られる。リアルタイムでの不良品検出により、生産中の不良品の連続加工を防ぎ、生産ロットの保証と歩留まりコストの削減が可能である。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
実験検証を繰り返し、共同体内で事業展開の打ち合わせを進行中。自動車業界に加えて、給湯器やオフィス家具など他分野への拡大を目指し、具体的な事業化計画を策定中である。また、トヨタグループや複数のプレス加工企業からも技術導入の打診を受けており、今後の横展開が期待されている。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
新たに開発したの超音波探傷検査システムにより、金型成形中の欠陥検出をリアルタイムで行える点が最大の特徴。これにより、生産効率が向上し、品質不良の早期発見が可能になる。よって、製品の品質保証と加工コスト及び材料コストの低減に貢献できる。また、従来の非破壊検査技術では困難であった非破壊検査による全数検査を実現でき、検査工程の省人化に繋がる。超音波探傷技術を用いたコーニシュシステムは幅広い分野への適用が期待されており、従来技術では実現できなかった生産プロセスの自動化も推進できる。
今後の実用化・事業化の見通し
開発したコーニシュセンサは、プレス成形以外にも応用展開可能で射出成形やダイカストの工程で発生する成形品内の空洞なども検出可能ある。本研究開発の技術が、横展開のマーケットに拡がり、鍛造金型や樹脂成形金型やアルミダイカスト金型への波及効果の検討が、十分な可能性があると考える。また、プレス機などの既存設備をパレタイズ作業者まで部品を運ぶためのコンベア上で、製品をチェックしワレ・欠肉・シワなどの不具合を検出するような汎用の設備として使用することもできる。本事業成果を技術展示会での訴求を継続するとともに、顧客ニーズに対応して小西金型工学本社での研究成果物を活用してサンプル試験も可能であることから、その面での商談も進めていきたい。
実用化・事業化にあたっての課題
材料費の高騰や半導体不足が事業化の進行を妨げる要因となっている。また、設備の汎用性を高めるためには、より多くのデータ収集やカスタマイズが必要であり、中小企業にも導入可能な価格帯で提供することが課題とされている。また、成形と同時に探傷することは理論上可能ではあるが、コーニシュセンサの母材は樹脂であるため、金型が高温に加熱されている状況での探傷が課題である。ゆえに、本技術の更なる革新的発展には、材料側からのアプローチも重要である。
事業化に向けた提携や連携の希望
コーニシュ非破壊検査システム導入における仕様設定に係るフローは4つのSTEPに分かれている。
STEP① ヒアリング調査:検査対象品の品質管理ニーズをヒアリングし、実現可能性を探索する。
STEP② サンプル調査:サンプル品に対する非破壊検査を実施し、試験結果を基に意見交換する。
STEP③ 設備調査:既存設備の利活用方法を模索し、設備更新・部品交換の有無の検討をする。
STEP④ 仕様決め調査:良・不良品を決定する閾値を決めるなど、検査システムの仕様を決定する。
上記STEPに関わらず、課題解決に向けた継続的なコミュニケーションを実施することで、新たなソリューションの創出に貢献する。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社小西金型工学 |
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事業管理機関 | 一般財団法人大阪科学技術センター 技術振興部 |
研究等実施機関 | 独立行政法人国立高等専門学校機構 都城工業高等専門学校 機械工学科 准教授 瀬川裕二 |
アドバイザー | 熊本大学 工学部 機械数理工学科 教授 丸茂康男 フジテック株式会社 取締役会長 藤原洋 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社小西金型工学(法人番号:2122001002325) |
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事業内容 | プレス加工金型の設計・製造販売・修理・改造 |
社員数 | 7 名 |
生産拠点 | 本社工場(大阪府) |
本社所在地 | 〒579-8014 大阪府東大阪市中石切町6丁目4番47号 |
ホームページ | https://www.konishi-kanagata.co.jp |
連絡先窓口 | 代表取締役 小西修史 |
メールアドレス | s@konishi-kanagata.co.jp |
電話番号 | 072-981-3477 |
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