バイオ
メタボリックシンドローム予防を目的とした健康食品の開発
大阪府
サラヤ株式会社
2025年1月28日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | メタボ予防成分モグロールを生成する新酵素反応技術の高度化とスケールアップ技術の確立 |
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基盤技術分野 | バイオ |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、環境・エネルギー、食品 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、低コスト化 |
キーワード | メタボリックシンドローム,予防,食品,モグロール,新酵素反応技術 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 令和2年度~令和4年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
モグロールは、ウリ科植物に含まれる天然由来の成分であり、メタボリックシンドローム予防を目的とした健康食品開発に適した成分である。本事業では、天然由来のモグロールを用いて、ヒトで安全性と機能性を評価し、培養細胞と実験動物で生体内の分子メカニズムを解明した。さらに新技術「新酵素反応技術」の高度化によりモグロールを高効率で生成し、高純度精製する手法を確立した。
従来技術と比べて、①生産量1,000倍以上、②価格1/100以下、③食品・化粧品・医薬品原料用途、④環境負荷低減を実現した。
開発した技術のポイント
1. 新酵素反応技術の高度化
・カビの培養上清中にモグロシドからモグロールを生成する単一酵素の同定を確認。
・担体に酵素を固定し、基質溶液を交換することで、酵素の繰り返し利用が可能であることを確認。
2. モグロールの安全性・機能性評価
・モグロールを用いた安全性試験(培養細胞、実験動物、ヒト)と機能性試験(ヒト)を外部機関で実施し、安全性と有効性を確認。
・高脂肪食を摂取させた肥満・糖尿病モデル(KKAy)マウスにおいて、モグロール摂取により、糖負荷試験で15.4%の血糖値抑制作用を確認。
・TGR5を介したインスリン分泌促進作用が関係することを確認。
3. 用途別精製技術の確立
・結晶化を利用することで、純度95%以上のモグロールが得られることを確認。
4. 商品化に向けた加工技術の確立
・モグロール入りタブレット試作品の安定性試験(室温1年)を実施し、各種物性とモグロール含量が基準内であることを確認(賞味期限1年)。
5. スケールアップ技術の確立
・既存の設備を利用して、新酵素反応技術により、年間120kgの生産が可能であることを確認。
具体的な成果
1. 新酵素反応技術の高度化
・同定した単一酵素の酵素タンパク質Aは、基質であるモグロシドの特定構造を認識し、構造によって異なる反応特性あり。
・酵素の繰り返し利用(連続16回)が可能。
2. モグロールの安全性・機能性評価
・動物試験の結果より、モグロールのヒトにおけるADIは、1,200mg/60kgbw/dayであると推定。
・健常な日本人を対象としたクロスオーバー比較試験で、モグロール摂取群がプラセボ群に比べて食後血糖値の上昇を抑制。
3. 用途別精製技術の確立
・噴霧乾燥において、熱変性を抑えた連続的な水分除去が可能。
・結晶化精製により、純度95%以上のモグロールを取得。
4. 商品化に向けた加工技術の確立
・モグロール入りタブレットは、1分間に1,000錠以上が製造可能。
・各種保管試験において、製品規格に合致。
5. スケールアップ技術の確立
・年間120kg相当量の食品グレードのモグロールが製造可能。
知財出願や広報活動等の状況
<論文発表:2件>
①Mogrol stimulates G-protein-coupled bile acid receptor 1 (GPBAR1/TGR5) and insulin secretion from pancreatic β-cells and suppresses hyperglycemia in mice、②ラカンカ由来モグロール含有食品の摂取による食後血糖値上昇抑制効果 ―ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験―
<学会発表:3件>
①第75回 日本栄養・食糧学会大会(2021年7月)、②22nd International Congress of Nutrition (ICN2022)(2022年12月)、③2023年度 日本農芸化学会大会(2023年3月)
<特許出願:1件>
①特願2023-130799、モグロール含有組成物及び血糖値上昇抑制用組成物
研究開発成果の利用シーン
食品:「モグロール入りタブレット」など、肥満や高血糖予防効果を持つ機能性表示食品として、健康食品市場での利用が想定される。特に、肥満予防や血糖値管理が必要な人々への健康維持サポートが期待される。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
ターゲット商品である「モグロール入りタブレット」等について、ヒト試験において効果が認められた項目を訴求する機能性表示食品として、消費者庁への届出の準備を行っている。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
・モグロールという、微量(12mg)、単回摂取、無味無臭、高安定性、安全な機能性食品素材の開発
・新技術「新酵素反応技術」による低コスト、環境負荷低減、高収率な製法の確立
今後の実用化・事業化の見通し
・モグロールを配合した機能性表示食品の届出
・サラヤの公式通販での販売
・SNSを通じたプロモーション、マーケティング、ユーザーからの意見をフィードバック
・ドラッグストアなどを中心に国内で取引のある企業を通じた販売
・既存販路を通じた海外展開を行い、本事業を拡大
実用化・事業化にあたっての課題
機能性表示食品は、安全性と機能性に関する科学的根拠が必要とされるため、消費者庁に関連書類が受理される必要がある。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | サラヤ株式会社 |
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事業管理機関 | 一般財団法人大阪科学技術センター |
研究等実施機関 | オークラ製菓株式会社 公立大学法人大阪 大阪公立大学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | サラヤ株式会社(法人番号:5120001009783) |
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事業内容 | ①家庭用及び業務用洗浄剤・消毒剤・うがい薬等の衛生用品と薬液供給機器等の開発・製造・販売、②食品衛生・環境衛生のコンサルティング、③食品等の開発・製造・販売 |
社員数 | 1502 名 |
本社所在地 | 〒546-0013 大阪府大阪市東住吉区湯里2-2-8 |
ホームページ | https://www.saraya.com/ |
連絡先窓口 | 天然素材研究所 課長 伊藤雄太 |
メールアドレス | ito-yut@saraya.com |
電話番号 | 072-977-1212 |
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